【三話】ChatGPTからの短編お題②『転生先が“あと3分で滅ぶ世界”だった件』
2. 『転生先が“あと3分で滅ぶ世界”だった件』
せっかく転生したのに、世界は3分後に消滅予定。
主人公はその3分間で何をする?
(ChatGPTより)
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その時、頭上からに落ちてきたのは、窓拭き作業用のゴンドラであった。運悪く下敷きとなった男子高校生は、その場で死亡が確認された。
すでにお気付きかと思うが、不運な死を遂げた人間の行き先は、大抵決まっているものだ。
彼が目を覚ますと、そこは教会の床の上だった。なんとも言えない生臭さと、ぼやける視界。
「無事に産まれたよ……よく頑張ったね」
産婆に声をかけられた女は涙を流していた。命がけで双子を産み落としたその若い女は、か細い声で『ごめんね』と繰り返し呟いている。彼らは柔らかい布に包まれて、横たわる母親の胸元へ誘われた。
「かわいい」
母親はそう言って、小さな我が子たちに触れる。
「本当に、なんてかわいらしいんだろうね」
産婆は涙を浮かべ、双子と彼らの母親を抱きしめた。
「滅び行く世界に産み落とすなんて、私はひどい母親だわ」
「この子たちは、そんなこと思っちゃいないよ」
産婆は微笑む。三人に温かい毛布を掛け、ランタンの明かりを消した。
「疲れたろ、眠っておしまいなさい。世界の終わりなんて見なくていい。幸せなまま死ぬんだよ」
地鳴りのような音が響いている。双子の背を優しく撫でながら、母親は目を閉じた。煤けた空気も、誰かの悲鳴も、彼らの眠りを妨げることはなかった。あたりは終末の光に包み込まれていき、無に還っていく。全てが滅ぶその寸前、双子の兄の手の甲に、紋章のようなアザが発現し、世界は一度幕を下ろした。
◆二巡目
彼らが目を覚ますと、そこは教会の床の上だった。なんとも言えない生臭さと、ぼやける視界。
「無事に産まれたよ……よく頑張ったね」
産婆に声をかけられた女は涙を流した。命がけで双子を産み落としたその若い女は、か細い声で『ごめんね』と繰り返し呟いている。彼らは柔らかい布に包まれて、横たわる母親の胸元へ誘われた。
「かわいい」
母親はそう言って、小さな我が子たちに触れる。
「本当に、なんてかわいらしいんだろうね」
産婆は涙を浮かべ、彼らの母親ごと双子を抱きしめた。
「滅び行く世界に産み落とすなんて、私はひどい母親だわ」
「この子たちは、そんなこと思っちゃいないよ」
産婆はふと赤ん坊に目をやった。
「先に産まれた子、手の甲にアザみたいなのがあるね。まあ、珍しいことじゃない」
「本当ね、双子の見分けが楽だわ」
産婆は三人に温かい毛布を掛け、ランタンの明かりを消した。
「疲れたろ、眠っておしまいなさい。世界の終わりなんて見なくていい。幸せなまま死ぬんだよ」
地鳴りのような音が響く。双子の背を優しく撫でながら、母親は目を閉じた。
双子の兄が、モゾモゾと動く。
―――この流れ、さっきもやったよな?
兄は母親の胸から下りようと身体をよじるが、産まれたての身体では叶わなかった。
「ああ、そろそろ死ぬ」
その兄の呟きに、弟が目を開ける。二人の視線が合った時、あたりは光に包まれて、彼の意識は再び途切れた。
◆三巡目
彼らが目を覚ますと、そこは教会の床の上だった。なんとも言えない生臭さと、ぼやける視界。
「無事に産まれたよ……よく頑張ったね」
産婆に声をかけられた女は涙を流した。命がけで双子を産み落としたその若い女は、か細い声で『ごめんね』と繰り返し呟いている。彼らは柔らかい布に包まれようとしている。
「これ、一生続くの?」
双子の兄が突然話し始める。彼は前世で不運な死を遂げた男子高校生であった。
驚いた産婆が危うく双子を落としそうになるが、聞き間違いかと首を横に振った。赤ん坊は知能的にも身体的にも話せるわけがない。双子を母親の胸元へ置き、産婆が声をかけようとした瞬間のことだった。
「一生続いたら困るよ」
それまでじっとしていた双子の弟が、はっきりと呟いた。産婆は叫び、彼らをを置いて走り去った。悪魔か何かだと思ったに違いない。
母親は目を閉じて、経典のようなものを必死に唱えている。彼らは悪魔ではない、ただの転生者であった。
「君も転生かな?どうやって死んだの?」
弟が兄へ問いかける。
「友達と工事現場の近くを歩いてたら、なんか落ちてきた」
「もしかしてカナタなの!?」
「お前、ユウトか……」
友人と共に転生したことが発覚し、しばしの喜びを噛み締めるも、あたりは容赦なく光に包まれた。
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◆七巡目
「この前見た映画覚えてるか?」
「アウトレイジ?」
「違う、ループするやつ」
「コンティニュー?」
「もっと平和的なやつ」
「リバー、流れないでよ」
「そう、それ。あれは二分間を延々と繰り返してた」
「そうだね」
「俺たちには約三分もあるわけだ」
「一分多いくらいで何も変わらないと思う」
「試す価値はあるだろ」
最早、二人には他人の視線など気にする余地はなかった。話し始めると産婆は毎回逃げ、母親は毎回なにか唱えている。
「唯一気になるのって、これなんよ」
カナタは、右手の甲にある紋章のようなものを見た。
「一巡目の死に際に急に現れた」
「おや、僕の手にはない」
「だから、俺はこのアザがループの原因だと仮定する」
「君のチートスキルってわけか」
「でも、このチートスキルが原因で訳分からん状況に陥ってる」
「わかった。ちゃんと考えてみよう」
彼らはほとんど詰んでいた。なぜなら、産まれたてで手足は思うように動かない。首から上だけよく動くのは、転生モノの御愛嬌だろうか。頼みの綱は、逃げてしまう産婆と何か唱え続ける母親の二人だけだった。
「産後まもない女性を動かすわけにはいかない」
「じゃあ、婆さんを動かすか」
「僕たちが喋ると逃げていくけど」
「そうなんだよな、でも喋らないと何も変わらん」
カナタはハッとして、短い腕をユウトに伸ばした。
「お前は何部だ」
「演劇部だけど……」
「なんか崇高な存在になってみてくれ」
彼らには入念なリハーサルをする時間はない。しかし、リテイクなら何度でもできる。彼らが決心したところで、あたりは光に包まれた。
◆八巡目
「我は預言者として産まれし者」
ユウトは産婆に向かって話し始めた。
「よ、預言者……大変!司祭様!」
産婆は司祭を呼びに走っていった。ユウトは流れに変化をつけることができ、小さくガッツポーズをした。カナタは自分が案を出したにも関わらず、母親の胸で笑い転げている。
産婆が連れてきたのは年老いた男だった。男は司祭にしてあまりにみすぼらしい身なりをしていたが、品位だけは保っているようで、何とも優雅な所作で頭を垂れた。
「おお、預言者様……御言葉を賜りたく参じました」
「司祭、面を上げよ」
カナタは吹き出すのをこらえる為に、九九の七の段を唱えていた。普通は素数を数えるところだが、カナタは素数の存在を知らないので、未だに危うい七の段を唱えている。
「終末が迫っている」
ユウトはゆっくりとした口調で話し始めた。
司祭と産婆は震えながら目を閉じている。
「やがて、あたりは光に包まれ、全てが神の御下へ還るだろう」
「しかし、それを変える術があるとしたら、貴殿たちは動いてくれるか」
預言者からの問いに、司祭は恐る恐る口を開く。
「かの魔王が復活し、勇者も死んだ今、私に出来ることとは一体……」
魔王という言葉を聞き、カナタが重要な記憶を思い出しかけたところで、あたりは光に包まれた。
◆九巡目
「勇者、死んだんだね」
「そりゃ世界も滅びるわ」
急に喋りだした赤ん坊に驚き、産婆が叫んで逃げ出し、母親は経典を唱える。
「俺さ、転生前に誰かと契約したと思う」
ユウトが怪訝な顔をして振り返る。
「そんな重要なこと、もっと早く教えてほしかったよ」
「いや、さっき魔王の話聞いた時、急に記憶が甦ったわ」
「完全に忘れてたってこと?」
「そう。完全に忘れてた」
カナタは少し間を置いて、記憶を辿りながら話し始める。
「たしか、転生先は選べないけど、スキルは選べるって言われたと思う。それで、どんなスキルにしようかなって悩んでたことまでは思い出した」
「そして死に戻りを選んだんだ?」
「まだ記憶が曖昧だが多分そうだと思う。三分後に消滅する世界ってわかってたら違うスキルにしたのに」
「我々は死に方も選べないし、転生先も選べない人生だったね」
「唯一選んだスキルもあまり役に立たない」
「そんなことないよ、この死に戻りがなければ最初の三分で全部終わってたし」
ユウトはふと首をかしげて明後日の方向を仰ぎ見た。
「ねえ、どうして君のスキルで僕まで死に戻りするんだ?母親も産婆も死に戻りしないのに」
「それはわからん、双子だから?」
カナタは自身の手の甲をしげしげと眺めたあと、ユウトの手を取り、彼の手の甲を指さす。
「もしかしたら、お前もなにかスキルを貰ってるんじゃないか。この状況を打開できるスゲェやつを」
二人の未来にわずかな可能性が見えたところで、あたりは光に包まれた。
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◆十七巡目
「どう足掻いたって、生後三分で魔王は倒せねえ」
「僕のスキルもわからないままだ」
「もう一度状況を整理するぞ」
「カナタが何者かと契約し、死に戻りのスキルを手に入れた。転生先のこの世界は、魔王が復活し、すでに勇者は死んている。ちなみに勇者が死んだのは三時間前だから、三分前にしか戻れない僕たちには何も出来ない」
「代わりに魔王を倒す奴もいない」
「三分で勇者を作れるか?」
「ラーメンじゃないんだから」
「また司祭から情報収集しようぜ」
「そうしよう」
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◆二十五巡目
「おお、預言者様……御言葉を賜りたく参じました」
幾度の情報収集が行われ、司祭はその度に頭を垂れている。
「勇者は死に、聖剣は主を失った。新たな使い手は居らぬのか」
司祭は震える声で答える。
「恐れながら……聖剣は勇者と同様、神に選ばれしスキルを持った職人が、勇者の個性に合わせて作ります。他者が勇者の聖剣を使いこなすなど不可能かと……」
カナタは落胆し、溜息をついた。そろそろ死ぬ頃合いとなり、司祭と産婆は下がっていった。先程から不自然に黙るユウトを見て、カナタは手足をバタつかせて彼をつついた。
「どうしたんだよ、腹でも痛いのか?」
「カナタ………思い出したよ、僕のスキル」
「マジ!?なんのスキルだ!?」
「刀鍛冶だ」
五秒の沈黙を経て、二人は吹き出す。ここが終末ではなければ、勇者と、聖剣を生み出す鍛冶職人として生きていく未来があったかもしれない。
―――もう駄目だわ。
カナタとユウトは穏やかに微笑みあい、世界は再び光に包まれた。




