【二話】ChatGPTからの短編お題①『願いを一つだけ叶える自販機』
1. 『願いを一つだけ叶える自販機』
深夜の商店街で出会った古い自販機が「願いを一つだけ叶える」と言う。
主人公はどんな願いを選ぶ?
(ChatGPTより)
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「マジか」
彼の目に入ったのは、人で溢れかえる駅。終電を待つ駅構内に、人身事故のアナウンスが響いている。
新歓の三次会から抜け出してきた彼は、改札前で立ち尽くした。タクシー乗り場の行列の長さは、見ただけで頭痛がしそうなほどだった。
三次会に戻って始発を待つか?
いや、泥酔した人間の世話はしたくない。
彼はテーパードパンツのポケットからスマートフォンを取り出し、電話をかけた。
十コール鳴らしても出なければ諦めようと思っていた彼だが、七コール目で電話をとった姉に、彼は無邪気に喋りかけた。
「宇多田ヒカルじゃん」
「寝ぼけてんの?」
「今さ、S駅にいるんだけど人身事故。そちらに泊まってもよろしいですか?」
「歩いて帰れば?」
「夜道でカツアゲされるかも」
「無いものをどう盗るのよ」
「ああ、彼氏来てる?」
「来るならハーゲンダッツ買ってきて」
捲し立てられた捨てゼリフを最後に、電話は一方的に切られ、彼は耳の後ろを掻く。
「何味だよ」
それは行く宛のない呟きだった。
彼はブルゾンのファスナーをしっかりと閉めた。肌寒い夜風を浴びながら、二駅分ほど歩く。駅を離れると人の気配は薄く、空気もどことなく澄んでいる。
寂れた商店街のアーケードをくぐり、中年のサラリーマンとすれ違う。酔っているのか足元はややふらつき、なにやらブツブツと日頃の文句を羅列している。スナックから聞こえるカラオケの音漏れに、「下手くそがよお」と野次を飛ばして去っていった。向かいから歩いてきた若いカップルが、ふざけた写真を撮って笑いあう。足元を横切る白い猫、切れかけた看板の照明、シャッターのしまる音、どこかの店から聞こえる楽しそうな声。夜の散歩も悪くない、と彼は思った。
「そういや、コンビニどこだっけ?」
スマートフォンで検索すると、マップに表示された最寄りのコンビニは、商店街を出てすぐの場所だった。幸い、姉の住むマンションとそれほど離れて居ないようだ。
ようやく商店街の出口に差し掛かると、左側でチカチカなにか光っている。そこには今にも壊れそうな小ぶりな自販機が佇んでいた。『全品八十円』の大きな表記に、金欠の彼の心は大きく揺らぐ。しかし商品のラインナップは絶妙にそそられないものばかりだった。ミックスジュース、コーヒー牛乳、いちごミルク、ルイボスティー、野菜ジュース。
「消去法でルイボスティーだな」
スマートフォンをかざそうとするも、かざす場所は見当たらない。彼は今年最大のため息をついた。
「この、シャッター商店街が」
ブルゾンのポケットからコインケースを取り出し、内部の覇権を握る一円玉と五円玉を掻き分け、十円玉でなんとか八十円を捻出する。小銭を慎重に投入し、ルイボスティーのボタンを押そうとした瞬間、自販機の明かりが全て消えてしまった。
「嘘だろ!俺の八十円!」
彼は自販機を叩いたり、色々なボタンを押してみたものの、その無機物からはなんの反応もなかった。
「今日は不運だ……」
うなだれて自販機に寄りかかると、自販機から機械的な音声が鳴り始める。
テレレレッテレー
ソコノアナタ
ナカナイデ
アナタノネガイ
ヒトツダケ
カナエテアゲル
突然、自販機が極彩色に光りだす。
「おおお……久しぶりに光っとるな」
振り返ると、カップ酒を呑みながらやってきた禿げた老人が居た。
「これ、なんですか?」
老人は懐かしそうに自販機を撫でると、神妙な表情で話し始めた。
「普段はただの、ぶっ壊れた自販機なんだ。詳しくはわからんが、たまにこうして願いをきいてくれる不思議な道具に変わるのよ」
「八十円で、なんでも叶うんですか?」
「俺んときは五十円」
「安う……で、お爺さんは何を願ったんすか?」
彼は興味津々で耳を傾ける。
「俺はな、好きな女と一緒になりたいと願ったよ」
「で?」
「結婚できたさ」
「うらやまし」
「でもな、幸せにはなれんかった」
「うそやん」
老人はカップ酒をあおって、口元を拭った。
「他人を縛り付けるなんざ、不幸以外のなにものでもない。諸行無常であるべきなのによ」
「ああ、大変参考になりました」
彼はハッとして、深々とお辞儀をした。脳内にうっすら浮かんでいた初恋の相手を急いで掻き消し、真剣に考え直した。他人を巻き込まず、悲劇を迎えることなく、幸せにはなれないものか。
大金持ち?
いや、常に金目当ての奴らが群がってきそうだ。
IQ200?
なんだかとても生きづらそう。
5ヶ国語習得?
最早、翻訳アプリでいい気もする。
「よっしゃ、決めた」
膝を叩いて気合を入れた彼を見て、老人は生唾を飲む。カップ酒を置いて腕を組み、未来ある若者のたった一つの願いを見届ける覚悟を決めた。
「ふん、ここで見守らせてもらおう。願いを言え」
「よろしくお願いします」
彼は大きく息を吸い、光り輝く自販機に向かって己の願望をさらけ出した。
「ハーゲンダッツ抹茶味」




