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81話

 王宮へと戻った私たちは、ロザリーさんから驚くべき事実を聞かされた。

 それは、リリアーナ様が毎日のようにラナウド伯爵に迎えに来てもらい、出かけているということだった。

 そして夕方過ぎには馬車で送られ、お戻りになるそうだ。

 ということは、そろそろ帰られる頃だ。私は

「まだ私たちが隣国へ向かった日から半月位しか経っていないはずですよね?」

 とルイス様に言うと

「そのはずだが」

 と、一言。そこへちょうど、ラナウド伯爵に送られて、帰って来られたリリアーナ様が、エスコートをされ馬車から降りるところだった。

 それを見た私たちは慌てて側に駆け寄って

「もしかしてお二人は、お付き合いなさっているのですか?」

 と単刀直入に聞いてしまった。 

 するとリリアーナ様が

「お付き合いというほどのことではありませんわ」

 と言われたので

「でも毎日のように会われているのですよね?」

と聞くと、今度はラナウド伯爵が

「お一人では退屈だと仰るもので」

 と答えた。その会話でおおよその見当はついてしまったが、それはそれで少々面倒なことになりそうな予感がしたので、リリアーナ様には明日、ゆっくりとお話ししましょうと伝え、とりあえず私たちも帰ってきたばかりで疲れていたので、今日のところは詳しい話は聞かないことにして私室へと向かった。

 そしてルイス様と二人で大きなため息をついてしまった。

 あの様子だと、リリアーナ様が退屈だからとラナウド伯爵を誘い、彼は隣国の王女様だから断っては失礼だからと付き合っているだけのように感じた。

 詳しいことはまず明日にでもエマ先生に聞くことにして、今夜は疲れていたので早く寝ることにしたはずなのに、ルイス様は今夜もすぐには寝かせてはくれなかった。

 私を抱きかかえたまま、バスルームへと直行して、いつものように優しく洗われた。そしてベッドに連れていかれ、気づけば外は朝日に照らされていた。思わず『その体力はどこからくるのかしら』と尋ねたくなった。

 そんな私は疲れの残る身体に鞭を打ち、リリアーナ様に会う前にエマ先生のお屋敷へと向かった。

 そしてエマ先生に、あのお二人が毎日会っているようですがどうなっているのか尋ねてみた。

 するとエマ先生は、やはり昨夜の私とルイス様の予感した通りの展開で間違いなさそうだと言われた。私は

「このまま放っておいて良いのでしょうか?」

 と尋ねたら、エマ先生は

「このままというわけにはいかないわ。長引かないうちになんとかしないとこじれるだけよ」

 と仰った。そして

「こちらからそれとなく甥に気持ちを確かめてみるわ」

 と言ってくれた。私は

「すいませんが宜しくお願いします」

 と言って頭を下げると

「やたらと頭を下げるものではないわ。貴女はもう王妃になったのですよ」

 と言われてしまった。そう言えば、全く自覚がないことに初めて気づかされた。


 その後、私は王宮へと戻り、今度はリリアーナ様のお部屋を訪ねた。

 リリアーナ様はとても機嫌が良く

「今日はどちらに連れて行ってもらおうかしら?」

 と心は既にここにはなかった。

 私はとりあえず

「ラナウド伯爵のことはどう思われているのですか?」

 と聞くと、顔を赤らめ

「素敵な方だと思いますわ」

 と一言だけ答えて黙ってしまわれた。

 それ以上尋ねることは危険だと本能が訴えている気がしたのでやめておいた。

 とりあえず、エマ先生からの報告を聞くまでは余計なことは聞かないことにした。


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