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《完結》とんでもない侯爵に嫁がされた女流作家の伯爵令嬢  作者: ヴァンドール


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79話

 本日、私はリリアーナ様とご一緒に、ルイス様の公爵邸を訪れている。

 というのも、この公爵邸には、私が活動を始めた頃の初期作品から現在に至るまでの作品がすべて保管されている。


 リリアーナ様は、ご自身の国には私の作品がすべて揃っているわけではないとおっしゃっていた。

 それならば、ここへお連れすればきっと喜んでいただけると思い、今回お誘いした。


 以前、私が使っていた書斎は、今もそのまま残されていた。

 私はそこに作品をすべて並べ、リリアーナ様にお見せした。


 すると彼女は目を輝かせ、一冊一冊を大切そうに手に取りながら、熱心にページをめくっていた。


 私はその間に公爵邸の皆さんに挨拶をしに行った。

 皆さんは揃ってお祝いを言ってくれた。


「この度は本当におめでとうございます」


 私は皆さんに笑顔を向けた。

 

「また時々こちらにも寄らせていただきますので、よろしくお願いします」


 そう言って、リリアーナ様の元に戻った。


 ルイス様はいずれ、この公爵邸は私たちに子供が複数人できたら、その中の誰かに継がせると仰っていた。

 いったい何人お作りになるつもりなのかしらと考え、顔を赤らめているとリリアーナ様から声をかけられた。


「何かありましたか?」

 

「い、いえ別に、それよりお好きな本をお持ちください」

 

「では、私が持っていないものが三冊あるのですが、よろしいでしょうか?」

 

「勿論です。そのためにこちらにお連れしたのですから」


 そして私はその三冊全てに『親愛なるリリアーナ様へ』と書いてサインをすると、彼女はとても感激してくださった。


 それから私はリリアーナ様に尋ねた。


「これから私が母のように慕っている方のところへご案内しますので、お付き合いくださいませんか?」

 

「勿論喜んで」

 

 その後、先触れを出しておいたエマ先生のお宅へと伺った。

 驚いたことに、そこにはラナウド伯爵がいらっしゃっていた。なんでも伯爵領でもブドウの木に異変が起こったので、エマ先生のご子息であるルイノール子爵を訪ねて来られたそうだ。


 私はリリアーナ王女に、ラナウド伯爵を紹介した。


「こちらは、私の従兄のラナウド伯爵です」


 伯爵は、結婚式の際にすでにリリアーナ王女のお姿を拝見していたようだ。


「これは王女殿下。初めてお目にかかります。アンリ嬢の従兄で、ラナウド伯爵領を治めております、アンソニーと申します」


 そう丁寧に挨拶されると、リリアーナ様は少し頬を染めて答えられた。


「わたくしは、東の国の第一王女、リリアーナと申します」


(今のは、気のせいかしら?)

 そう思ったものの、私はあえて気づかないふりをした。


 その後、私はラナウド伯爵に提案してみた。


「植物の病気に詳しいクリス様は、すでにご自国へ戻られてしまいましたが、私の弟のジョンのところへ行ってみてください。彼もつい最近、同じような経験をしていますから、きっと詳しいはずです」


 すると伯爵は、即座に頷いた。


「急で申し訳ありませんが、今から向かわせていただきます」


 そう言い残し、慌ただしく出て行かれた。


 それを見送って、エマ先生が苦笑しながら呟かれた。


「まったく、嵐のように忙しい子ね」


ーーーー


 その後、私はリリアーナ様にエマ先生をご紹介し、和やかな歓談のひとときを過ごしたのち、王宮へ戻ることになった。


 帰りの馬車の中で、なぜかリリアーナ様は、ラナウド伯爵のことをやけに詳しく尋ねてこられた。


(……まさか)


 そんな予感がよぎったけれど、今は触れないことにした。

 なぜだか、とても嫌な予感がしたから……


ーーーー


 その夜、寝室でルイス様に今日一日の出来事を話した。


「それは……かなり面倒なことが起こりそうだな」


 と仰ったあと、少し考え込むようにして


「ブドウの木の件も、気になるな」


 とも付け加えられた。


 その後は昨夜と同じように口づけを交わした。けれど今夜は昨夜よりもずっと長く、なかなか眠らせてもらえなかった。

 ようやく眠りについたのは、朝方近くだった。




 翌朝、というより、すでに昼近くになってから、私はようやく目を覚ました。

 結局、朝食は昼食になってしまったというのに、ルイス様はいつも通り朝から執務に励んでいらっしゃる。


「……なんて体力なのかしら」


 私は一人、ぽつりと呟いた。




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