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《完結》とんでもない侯爵に嫁がされた女流作家の伯爵令嬢  作者: ヴァンドール


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74/85

74話

 結婚式の準備に追われながらも、充実した日々は続いていた。

 そんな中、すっかり傷の痛みもなくなった私は、先日ジョンに渡した農薬のことが気になり、伯爵邸に様子を見に行きたいとルイス様にお願いをした。

 あの日以来、かなり過保護になってしまわれたルイス様には許可を取らなければ、外出出来なくなってしまった。それでも護衛を付けて行くならと渋々許可を出してくれた。


 そしていざ外出しようとしたらオリビア様が声をかけてきた。


「今日はアカデミーがお休みだから私もご一緒してもよいかしら?」

 

「構いませんが、ブドウの木の様子を見に行くだけですよ」

 

「だったらクリス様もお誘いします、農薬が効いているか気になさっていたので」


 と言われ、クリス様を呼びに行かれてしまった。そうこうしていたらリリアーナ王女まで来てしまい『このメンバーで伯爵邸に押しかけたら皆びっくりしてしまうわ』と思ったが、止められるはずもなく皆さんをお連れして向かうことになってしまった。


 先触れは出したが、まさかこんなに大勢で来るとは思っていないはず。


 伯爵邸に着くと、予想どおり皆が大慌てでお茶の準備を始めた。だけど私はブドウの木を確かめに来ただけだったので、果樹園へ直接向かうことにした。ジョンには後から来るよう伝えてほしいと告げ、果樹園へと向かった。


 たぶんクリス様は葡萄の木にしか興味を持たれないはずだから、と笑いそうになったことは言わずにおこう。


 そして果樹園に着き、農家の人たちに案内されながらブドウの木を見て回っていると、ちょうどそこにジョンもやって来た。


「姉上、ありがとうございました。おかげで随分とブドウの木も回復しました」


 そう言ってくれたので、私は心から安心した。

 そしてクリス様も笑顔で仰った。


「もう、これならもう大丈夫だ」

 


 その後、伯爵邸の使用人たちが緊張している様子だったため、私はこのまま帰ろうとした。だけど、ジョンから、継母がぜひ皆様に寄ってほしいと言っていると聞き、それならと少しだけお邪魔することにした。


 屋敷に入ると継母が丁重に皆さんをおもてなししてくださり、意外な一面だなと思った。そして深々と頭を下げた。


「この度は皆様のお力添えで伯爵領が救われました。本当にありがとうございました」


 とお礼を述べた。その後、和やかな雰囲気で軽く談笑をしていたら、継母に呼ばれ、隣の部屋に入ると今までのことを謝られた。

 あまりに急だったので驚いていたが、継母は私にずっと謝りたかったと言った。だから私も返した。


「もう気にしていません。それより、これからジョンとこの伯爵領をお願いします」

 

「何とお礼を言ったらいいのか……」


 と本当にすまなそうにされていた。


「今なら少しだけですが、あの時受けた仕打ちがなんだったのか、わかる気がします。父を思うからこその嫉妬からだったんではないですか?」


 そして私は続けた。

 

「亡くなった人には勝てません。だって良いことしか思い出せないのですから。父は新しい家族も愛していました。だからこそジョンが生まれたのだし、私の目から見てもとても大事にしていると感じていました」


「そうね、気づくのが遅すぎたわね。あの人が亡くなって、ずっとあとになってわかったのだから」


 そう呟いた。そして晴れ晴れとした表情で言ってくれた。


「結婚式、楽しみにしているわ」 


 なんだか今までのわだかまりが嘘の様に薄れた。

 その後、私たちは寛ぎながらお茶をいただき、伯爵邸を後にした。


 帰りの馬車の中で私は皆さんにお礼を言って、気づけば王宮へと着いていた。

 馬車を降りようとしたらどこから現れたのかルイス様が手を差し出してくれながら驚いている。


「まさか、このメンバーで行ったのか?」


 それよりも私はいつから待っていたのかそちらの方に驚いていた。


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