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《完結》とんでもない侯爵に嫁がされた女流作家の伯爵令嬢  作者: ヴァンドール


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64話

東の国の王宮にて


「何なのだ、あの亡命してきた元国王は。適当な屋敷を与えおったら毎晩のようにドンチャン騒ぎをしおって、おまけに女を取っ替え引っ替えときた」


「陛下、ご報告なのですが、あの元国王はかなりの財を蓄え国宝級の物を持ってきたと言っていましたが、ほとんどが偽物らしく、持ってきた資金もそう長くはもたないのではとのこと」


「何! それは誠か!」


 実は東の国の国王が亡命を受け入れたのには理由があった。それは、持ってきた金銀財宝を取り上げてから隣国に返し、恩を売って自分の娘を現国王に嫁がせようと企んだのだ。


 最初の話ではかなりの財宝を持ち込んだという話だったが、蓋を開けてみたら大したことはなかったらしい。だったらとっとと追い返してしまった方が得策だ。 


 現国王と元国王は異母兄弟だが、両親共、元国王に殺されたという噂だ。

 どんなことをしてでもも取り返したいはず。だったらこちらから送り返せば感謝されるに違いない。

 そこで我が娘を嫁がせるとは、なんと良い考えか。


 確か隣接する国々とも和平を結んだと聞いている。よって、これから我が国の貿易の活路を見いだすには実に良い機会だ。


「リリアーナ、頑張って隣国の国王を落とすのだぞ」


「お父様、どんな男性だってわたくしの美貌をもってすればなびかないわけありませんわ」 


 本当はこの時、わたくしはお父様に内緒にしていることがあり、実は隣国へは他の目的のため、兼ねてより行きたいと思っていた。

『あーこれで待ちに待ったわたくしの夢が叶うわ』 


ーーーー


 

 そして東の国王は隣国の現国王に書簡を送った。

 その内容とは、

 元国王には表向き、亡命を受け入れたことになっているが、時を見てそちらの国に国王、自らが送り届けるといった内容だった。


 それから数日後、書簡を読んだルイス国王は

不審に思った。


「亡命は受け入れなかったようだな。東の国はこちらとは敵対する気はないようだ。しかし国王自らこちらの国に来るとは、いったいどういうことだ?」


 しかし無下にするわけにもいかない。とりあえず歓迎の意を示さなければならないと判断した。


『はー、次から次へと面倒ごとばかり起こる』


 思わずため息が出た。

 立憲君主制になったというのに、少しも仕事が減らない、むしろ増える一方だった。


 それから半月経った頃、元国王を捕らえた東の国王が、何故か娘である第一王女を連れてやってきた。


 元国王を手引きしたこちらの国の貴族は、いつのまにか行方をくらまし、見つからなかったという。

 元国王を崇拝していたはずなのに己だけ逃げたとは、だったらこんな面倒ごとなど最初から起こさないでもらいたい。

 きっと元国王派だったその貴族は自国での地位は見込めないとの判断で亡命を企てたのだろうが結果あちらの国でも受け入れてもらえず悲惨なことだ。


 そして馬車から降り立った東の国王に礼を述べた。


「この度は大変な迷惑をかけ、申し訳なかった。わざわざ国王自ら出向いて頂き恐縮です」


 すると国王は言った。


「どうかお気になさらず。娘のリリアーナも一度こちらの国を見てみたいと言うものですから、一緒に旅ができました」


 そして元国王を引き渡されたルイス国王は近衛兵に言い渡した。


「今度こそ厳重に北の塔に閉じ込めておけ」


 すると元国王は、真っ赤な顔で怒った。


「貴様! 兄であるこの私をまたあのような塔へ閉じ込める気か!」


「ふん、都合の良い時だけ兄か! 今後また、このようなことをすれば命の保障はないと思え!」

 

 そしてそれが一段落すると娘のリリアーナ王女がカーテシーをした。


「お初にお目にかかります。第一王女のリリアーナと申します」


 何故か、色目使いでルイス国王に挨拶をしてきた。

 彼女は、なんとも派手で露出度の高いドレスを着ていた。


 その時、ルイス国王は全てを悟った。

『なるほど、真の目的は自分の娘を王妃にというわけか』と。


 そして咄嗟に思った。『これはオリビア嬢に人肌脱いでもらうか』と。

 そしてすぐに今夜行われる歓迎パーティーの段取りのために動いた。


 『まずはオリビア嬢に全面協力をお願いして、アンリ嬢にも心配をかけないよう頼んでおかなくては』


 その後、話を聞いたオリビア嬢はすぐに公爵邸へとアンリ嬢を訪ねて、今夜のパーティーでの策を練った。


 困惑するアンリ嬢をよそに、うきうき気分のオリビア嬢は言った。


「なんだか今夜が楽しみね」


 アンリ嬢はそれを頼もしくも少し不安な気持ちで眺めていた。


 先日会ったばかりなのに、人懐っこい王女は古くからの親友のようにアンリ嬢に接してくる。彼女は『なんて可愛い方なのかしら』と親しみを持った。


 


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