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《完結》とんでもない侯爵に嫁がされた女流作家の伯爵令嬢  作者: ヴァンドール


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59話

 やっと王宮に戻った私は、早速、宰相や新しく選出された大臣、そしてオリビア嬢とクリス殿に集まってもらい、隣国の国王から大量の台木を輸出してもらえることになったと報告した。


 そしてその見返りとして、これから未来永劫、我が国で作られたワインの輸出には一切の関税をかけないとの条約を結んだとも付け加えた。


 今、大きな被害に遭っている畑が元に戻るまでにはかなりの期間を要するだろうが、今のところまだ被害に遭っていない畑も相当量はあるので、今回結んだ条約はすぐにでも実行されることになるので早急に閣議決定して欲しい。


 宰相と大臣には、すぐに議会を招集するよう指示を出した。


 立憲君主制となった我が国では、今までのように国王が全てを決めることはできない。

 反対が多ければ、廃案となる。全ては議会での決議が必要だ。多少の時間はかかってしまうが、多くの国民の支持を得るためには必要なことだった。

 もし、私の決めてきたこが議会を通らなかった場合は少々厄介なことになるなと思いながらも冷静に考えれば、ほかに手立てはないのだから、あとは宰相達がなんとかするだろうとも思った。


 私はあとのことを宰相と大臣に任せて、別室にオリビア嬢とクリス殿を呼んだ。

 そして隣国での国王との会話を事細かに説明した。


「陛下、本当にありがとうございます。これでわたくし、クリス様と一緒になれるのですね」


「ちょっと待ってくれ、オリビア嬢の兄上が完全に認めたわけではまだない。ただ頭ごなしに反対することはしなくなっただけだ」


 それでも王女は私との婚姻の話はなくなったので、安心したようだった。


 私はくれぐれも、あの国王は『シスコン』だからそこを上手く利用するよう伝えた。

 すると、先程からただ聞くだけだったクリス殿までもが私に頭を下げた。


「陛下、この度のことなんと感謝すれば良いのか、これからこちらの国のため精神誠意、頑張らせていただきます」


 私は心の中で驚いていた。あれほど女性に無関心だと思っていた男がこんなセリフを言うとは。私は思わず口を開いた。


「安心した。クリス殿もオリビア嬢を想っていることがわかって」


「酷い! 陛下はわたくしの一方的な愛だと思われていたのですか?」


 と怒られてしまった。

 

「クリス様はいつも言葉が足りないから周りの方たちに誤解を与えてしまうのですよ」


 今度はクリス殿に怒っている。


「陛下、もしわたくしに何かお手伝いできることがあればなんでも仰ってくださいね。陛下にもお慕いしている方がおられるようですので」


 私は苦笑しながら答えた。


「その機会があればお願いするかもしれないが、今は自分でやってみたいのだ」

 

 私は微笑み合う二人を、羨ましい気持ちで見ていた。


『さあ、今度こそ自分の番だ』と気合いを入れた。


 その後、やっと時間がとれたので公爵邸に先触れを出すと、ロザリーからアンリ嬢が屋敷を出て、一人暮らしをしているとの返事がきた。

 驚いた私はどういうことなのかと、すぐに公爵邸へと向かった。


 公爵邸へと着き、ロザリーに訳を聞くと、何を考え出て行ったかはおおよそ分かった。

 やはり周囲の噂が耳に入り、私に気を遣い、出て行ったようだった。


 こんなことなら、もっと素直な自分の気持ちを手紙に書いておけばよかったと後悔した。

 しかし、居場所はロザリーから聞いて分かっていたので、私はすぐに向かうことにした。

 ただ、王宮の馬車や公爵邸の馬車では目立ち過ぎるので、従者を一人だけつけて途中で馬車を降り、あとは歩きで向かうことにした。


 そして、アンリ嬢の住まいに着くと、一人の女性に言われた。


「こちらにご用でしたら、本人に許可をもらってからでないとお通しできません」


 そこで私はアンリ嬢の名前を告げた。


「私のことはルイスと言ってもらえればわかる」

 

「只今、確認してきますので、外でお待ち下さい」


 側にいた従者が怒ってその女性に私のことを伝えようとしたが、それを私は止めた。何もこんなところで権力を振り翳す必要はない、少し待てば済むことだと。

 それにここは、中々防犯対策がしっかりしていると安心したくらいだった。



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