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《完結》とんでもない侯爵に嫁がされた女流作家の伯爵令嬢  作者: ヴァンドール


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51話

ルイス陛下視点


 王宮での舞踏会も無事終わり、滞っていた仕事も一段落ついた頃、これでやっと公爵邸へと顔を出せると思い、浮き足だった。だが、いざアンリ嬢と会ったら何を話せば良いのかと考えた。


 あの日、王宮舞踏会でのよそよそしい態度がずっと気になっていた。

 その日のうちにすぐにでも確かめたかったが、探しに行くと二人はもう王宮を後にしていた。


 確かに王女の前だったせいであのような挨拶になったのなら仕方ないと思えるのだが、あれほど辛く感じたのは初めてだった。

 もしかしたら王女が私の王妃になると勘違いされていたらと思うと、いてもたってもいられない。


 とにかく公爵邸に向かわなくてはと気持ちばかりが逸る。それなのに、出向く寸前に宰相から話があると引き止められた。


「先日ご相談を受けた件なのですが、たった今報告が上がって参りました」


 自分が頼んだことだから仕方がないと思ったが、何故このタイミングかとげんなりした。


 それは我が国は立憲君主制になったのだから、国民の一体感を高めるためにも全てを税で賄うのではなく、王宮独自の収入源も得るべきだと考え、何かないかと宰相に相談していた件だった。

 

「陛下がいくつか提案なさった中で、最も適しているのはワイン作りではないでしょうか」


 そう言って調べていたことを話し出した。


 なんでもワインに使われるブドウは、寒暖差が大きく、日照時間が長く、降水量が少ない気候を好むので、我が国では良質なワインが仕上がるという。

 この国の気候こそがブドウの糖度を増すらしい。そしてその栽培に適した場所が王領内に見つかったとのことだった。


 私と宰相は王宮内の廊下での立ち話だったので、そこをちょうど通りかかったオリビア王女が話しかけてきた。


「あら、ワインのお話でして?」


 王女はかなりワインに精通していて、ワイン用に使われるブドウにつく害虫の話までしてきた。


 確かに今、我が国のブドウはフィロキセラという害虫に悩まされていて、これといった対策が進んでいない状況だった。

 王女は自国にその対策にかなり詳しい人材がいるという。そしてその人物は彼女とかなり親しい間柄なので、頼めばすぐにこちらへ来るはずだと言った。


 私はぜひお願いしたいと申し出た。すると彼女はすぐに手紙を出すと言って、なぜかウキウキとした様子で去っていった。


 その様子を見ていた私は何故なのだろうと思ったが、口にはしなかった。

 そして、宰相は言った。


「陛下、確か本日は執務の予定も入っていないと伺ってましたので、このままその王領へご案内しようと思いまして、今、下で馬車を用意させてます」


 私は怒りたい気持ちをぐっと抑えて、その場所へ向かわねばならなかった。そして心の中で『今日がだめなら今度はいつ時間が取れるのだ?』と自問自答していた。


 人の気持ちも知らずに宰相は促す。


「陛下、さあ、お早くこちらへ」


 思わずため息が出てしまった。



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