47話
今日は隣国からみえた第二王女の歓迎パーティーが、王宮で開かれる。友好関係の構築が目的の留学だが、噂ではルイス様の王妃候補では? とのこと。
何故か胸がチクリと痛む。あら? どうしてかしら。ルイス様には編集長という存在がいるのを知っているのに。だから自分でもその痛みが何なのか分からない。
分からないままパーティーに参加したけれど、ルイス様がファーストダンスを王女様と踊っているのを見て、またチクリと痛んだ。
本当にどうしてしまったのかしら、私。
だって今日の主役である王女様と陛下がファーストダンスを踊るのは当たり前のことなのに、自分の気持ちが理解できない。
そんなことを考えていたら、ラナウド伯爵が私をダンスに誘ってくださった。
前までの私ならきっと上手くかわしていたのに、従兄と知ってからは身内のような気がして、思わず手を取ってしまった。
そして、たわいのない会話をしながら時間が過ぎていく。
今度はルイス様が私のところにやって来て、ダンスのお誘いをしてくれた。でも何故だか素直になれなかった。
「ごめんなさい。今日はもう疲れました」
その瞬間、すぐに後悔をしてしまったが、もう遅い。ルイス様は少しムッとしてしまわれた。
「奴とは踊って私の誘いは断るのだな」
「今日の主賓を差し置いて、こんなところにいてはいけません」
心にも無いことを言ってしまった。するとルイス様は寂しそうなお顔をなさった。
「無理を言って悪かった」
決してそんな顔をさせたいわけではなかったのにと後悔しても遅かった。
私は何だかこの場にいるのが辛くて、エマ先生に嘘をついてしまった。
「ごめんなさい。先生、今日は体調がすぐれないので、先にお暇させていただきます」
そう言ってその場を去ろうとした。すると、エマ先生は心配そうなお顔をされた。
「違うのです。昨夜は朝まで小説を書いていたので疲れただけです」
私は言い訳をした。そして、『ごめんなさい』と心の中で謝った。
そして公爵邸に帰ると、ロザリーさんが不思議な顔をした。
「随分とお早いお帰りですね、何かあったのですか?」
「何だか少し熱っぽくって」
また、嘘をついてしまった。
その後、私はベッドに横たわりながら『今日の自分は何だかおかしいわ。どうしてしまったのかしら』と考えていた。
脳裏にはあの寂しそうなルイス様の顔が浮かんでいた。
そして薄々自分の気持ちに気づき始めていたくせに無理に蓋をしてしまった。




