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46話

ルイス陛下視点


 毎日、毎日どうしてこうも忙しいのだ。隣国との細かな和平条約の取り決めや、新しい大臣、宰相の選出などは、立憲君主制になったのだから本来、議会が行うべきことを全てこちらに意見を求めてくる。

 確かに新体制に慣れていないから仕方がないといえばそうなのだが、それにしてもいつまでもこれではいささか不安になる。まあ、宰相に関しては優秀な男だ、今のまま継続してもらった方が議会も円滑に回るだろう。


 議会は貴族のみで構成されるのではなく、貴族以外の地主、富裕層、あるいは選挙によって選ばれた一般市民も参画し、議会政治が重要視されるようにしなければ新しい体制への移行は難しいだろう。これからどうやってそうもっていくかが大事な課題だ。

 なんとかそうなれば今よりは時間がとれるのだが、まだまだかかりそうだな。


 それよりも厄介なことが北の隣国より舞い込んできてしまった。

 先王の王妃を早めに帰して、戦争責任を負わされずに済んだお礼だと言って、やってきた使者からは国の特産品を大量に持ってきながら国王からの親書も手渡された。やはり本来の目的は私の王妃候補だ。その親書には、北の国王が前王妃のすぐ下の第二王女を我が国に留学させたいと書いてあるのだ。 

 これは完全に私の妃にと、遠回しに言っているようなものだ。元々、先王の王妃は戦争反対派だったのだから当然のことをしたまでなのに、そう出たか。なんだかんだと食えない国王だ。さて、どう対処するかだな。

 取り敢えず来月、留学にやって来る王女の件は宰相にでも任せておけば問題はないだろう。アカデミーの手配も全て任せなくては。

 確か音楽、中でもピアノを学びに来ると言っていたからな、それも用意をさせなくてはな。


 そんなことより、あのラナウド伯爵とかいう男は気をつけなければいけない。アンリ嬢も従兄と分かってからか、随分と気を許しているようだ。それにエマ殿にとっても甥になるのだ、これから何かと関わって来る可能性が高いからな。

 それにしても隣国の王女の件といい、あの従兄という男のことといい、頭の痛いことが多過ぎる。 

 それなのに自分の時間が自由にならないとは何とも悩ましい限りだ。

 こんなことでは次、いつ公爵邸に行けるのか。

 最近は食事すら長いこと一緒に取れていない。せめて彼女が好きな小説にでも集中して大人しく公爵邸にこもってくれていたら安心なんだが。


 

 いよいよ北の隣国から第二王女がやって来た。かなりの美人ではあるが、なかなか気の強そうな女性だ。住まいとして王宮に部屋を用意させ、ピアノは元王妃の使っていたものを調律させた。

 両国の友好という名目があるため議会での承認を受けての留学だ。

 よって税金で賄われる。そして三日後に歓迎のためのパーティーが開かれる。

 最近はあまりの忙しさで、社交界でしかアンリ嬢とは会えていない。

 王女の留学の本来の目的である私の王妃選びがアンリ嬢の耳に入るのは時間の問題だ。それを聞いた彼女はどう思うのだろうか? 不安な気持ちに襲われる。とにかく早く会って自分の気持ちだけでも伝えたいのにそれすらままならない。こんなことなら前回会った時に勇気を出して気持ちを伝えておくべきだったと今になって悔やまれる。


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