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43話

 その後、公爵邸に戻った私は、混乱した頭を整理するため、ベッドに仰向けになりながら今日の出来事を振り返っていた。

 そして、今日聞いた事実を知っているのは誰なのかも聞いておかなければと思った。

 たとえば、ラミナさんや継母はどうなのか。多分ラミナさんは全てを知っている気がするが、継母は何も知らないのではと感じた。最も、それは今度会った時に確認すればいいことだ。それよりも、エマ先生が私のお母様か。

 嬉しい気持ちと、これからどんなふうに接していったらいいのか考えてしまう。そんなことを思っていたら、扉がノックされてロザリーさんが

「殿下、いえ陛下がお見えになりました」

 と声をかけられた。私は

「すぐに行きます」

 と答え、階下へと降りた。すると、私を見た陛下は

「何か変わったことはなかったか?」

 と聞かれたが、今日の出来事を話そうか一瞬迷ってしまった。そして

「特にはありませんが」

 と思わず答えてしまった。

 なぜなら、とってもお忙しそうで、わざわざ顔を出すためだけに寄られたようなので、今度時間がある時にゆっくりとお話ししようと思ったからだ。

 やはり国王に就任なさったばかりなのだから、忙しいのは当たり前だと思った。それでもこうして気を遣って来てくださるのが嬉しかった。最も、編集長さんのところに寄った帰りなのかもしれないわね、と思ったことは言わないでおいた。そして陛下は

「来週の就任を祝うパーティーに着ていくドレスはこちらに届けさせるから」

 と言われた。私は

「前回いただいたばかりではないですか」

 と言うと

「また同じ物を着るつもりか?」

 と仰った。なので私は

「誰もそんなの覚えていませんから」

 と返すと

「そう思っているのは君だけだ」 

 と言われてしまった。

『そんなわけあるはずもないのに』と心の中で思ったけれど、言い返すことはやめておいた。それよりも、時間を取らせて申し訳ないと思いながらも、これだけは言っておかなければと思い

「私のすべきことは終わりました。なので、そろそろお屋敷を出ようと思います」

 と伝えた。

 すると、怒ったように

「なぜだ」

 と聞かれたので

「なぜと申されましてもここに居る理由が無くなっただけです」

 と答えた。すると

「だったら王宮に部屋を用意しよう」

 と仰ったので、それこそだめですと言い返した。

 だって、何の関係もない私が税金で賄われている王宮に住むなんて、道理をわきまえなければと伝えた。すると、さすがに黙ってしまわれた。そして

「だったらやはりこのまま此処に住むように」

 と怒られた。なぜ、私が怒られなければいけないのかと思ったが、それは口にはしなかった。

 そして、本当に時間がないようで、最後に

「今まで通りここでゆっくりと好きな小説を書くといい」

 と言い残し、去って行かれた。

 残された私は、本当に甘えたままでいいのかしらと考えながら『そんな言い方をされては誤解をしそうになるからやめてください』と呟いた。

 するとロザリーさんが

「もし勝手に出ていかれては、私達の仕事が無くなってしまいます」

 と言ってくれた。

 



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