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《完結》とんでもない侯爵に嫁がされた女流作家の伯爵令嬢  作者: ヴァンドール


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35/85

35話

 朝方、殿下が王宮から戻ってこられた。机の上でうとうとしてしまっていた私は、慌てて飛び起きた。


「編集長は大丈夫でしたか?」

 

「とりあえずは大丈夫だ。見張りの者や監視官たちには『私の親しい友人だから、何かしたら許さない』と脅しておいたからな」


 その後、陛下に謁見を申し出たが拒否され、会ってはくれなかったという。

 編集長が言うには、この前のような本が出版され、これ以上民衆に影響を与えたくないため、検閲をすり抜けて出版されないように、編集長自身を拘束しておきたいのではないかということらしい。それに殿下との親しい関係も、陛下の耳に入っているという。


 それを聞いた私は、多分、私の作品を見てもらう際に、編集長が公爵邸を訪れたのを見張られていたのではないかと推測した。なぜなら、ここ最近はそれ以外の接点がないからだ。殿下自身、警戒して編集長のいる出版社へは出向いていないはずだった。

 やはり陛下は殿下を常に警戒し、見張りを付けているのかもしれない。そして今回の私が男性のペンネームで出した小説も、殿下が書いたものだと思っているに違いない。 


 それから、次の日も殿下は編集長に面会に行った。それも料理長に差し入れを作ってもらい、届けている。『なんか、愛情を感じるなあ』と独り言が出た。


 編集長が投獄されてから半月が経つ。しかし一向に釈放される気配は未だない。


 そんな時、ついに陛下が国民に対し、税制改革を行うと宣言し、色々な物に対して税をかけた。


 例えば関税や財産税、登録税など、今までなかった税ばかりだ。

 当然、民衆は反発した。しかし陛下は言い切った。


「これは議会で決まったことなので、何があろうと覆ることはない」

 

 陛下はこの半月をかけて、貴族や教会に根回しをしたに違いない。随分と前から双方の弱みを握るため動いていたことは、殿下が突き止めていた。

 陛下は国民に国王の独断ではないと示したかったのだろう。

 なので、それを聞いた殿下は

「何のための議会なのか」

 と呆れていた。


 そして、殿下は素早く民衆を扇動するため、自身の手の者を使い『陛下はついに戦争を仕掛けるため、その資金集めに税を上げ始めた』と言いふらさせた。この噂は尾ひれをつけ、簡単に広まり、あちこちで平和運動が行われるようになった。


 そしてその多くは政府からの弾圧や抑圧の対象となり、反戦を連想させる小説そのものも自由に出版することができなくなった。

 しかし、あまりにも多くの場所での反戦運動だったため、政府もかなり手を焼いた。


 反戦運動は、戦争がもたらす悲惨な現実を広く知らしめ、戦争の非人道性を認識する社会的な意識を高めた。

 これにより、戦争に対する批判的な視点を持つ人々が増加した。その結果、政府はついに陛下に対し、このままでは戦争どころではなくなってしまい、今、この状況で無理に隣国へ攻めても勝てる見込みは限定的だと進言した。


 これを聞き、陛下はとりあえず今回の戦争は諦めざるを得なかった。そして陛下は

「これはあくまでも延期であって、決して諦めたわけではない」

 と議会で説き伏せた。


 そして、罪状もはっきりしないまま拘束されていた編集長も、無事に釈放された。

 

『これでやっと殿下も一安心できるわ』

 私は心の中で思った。

 

 その後、公爵邸にて、殿下をはじめ編集長やエマ先生、私を含む四人が話し合いのために集まった。


 既に陛下の耳にはこの関係が入っているようなので、今さらこそこそしても意味がないので、堂々と集まることになった。


 そしてこれからについての話し合いが始まった。

 話し合いの中で、私とエマ先生の存在がどのように陛下に伝わっているかはそれぞれ意見が異なっていたが、どう伝わっていても、まさか、ラミナさんの出版社から出した小説のことまでは分かっていないだろう。

 なぜなら、私が以前出した小説の一つ、つまりは殿下と知り合う前に殿下の作品のアンサーとして書いたものは、どちらかと言うと陛下寄りの作品だったからだ。


 とりあえずラミナさんたちは巻き込まないよう、殿下と編集長にはお願いをした。そうして私達は長い話し合いを続けた。


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