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《完結》とんでもない侯爵に嫁がされた女流作家の伯爵令嬢  作者: ヴァンドール


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29/85

29話

7月5日より毎日4話ずつ投稿させていただいています。

 最近、殿下はなぜか私に対して甘すぎる。

 先日もまた舞踏会へと誘ってくれた上に、ドレスまでプレゼントしてくださった。

 また、そのドレスの色が偶然とはいえ殿下のその日の装いと全く同じ色だったので、一瞬驚いて言葉に詰まってしまった。しかしすぐに、いつもと変わらずエスコートしてくださったので私の考え過ぎかもしれない。


 それに今度の小説も、本来ならまたすぐにでも出版したいはずなのに、今回は殿下が書き溜めた物があるからそれを出すと言い、私を少しでも休ませようとしてくださる。

 こんなに甘えてしまって良いのかと考えてしまう。


 住むところまで与えてくださり、おまけにロザリーさんまでつけてくださっているのに申し訳ない。

 これ以上は迷惑をかけたくはなかったので、継母が舞踏会の時に、近づいてきて言われたことは黙っていた。


「新しい婚姻の話があるから二、三日中に屋敷に来なさい」


 全く何を考えているのか。先日、婚姻無効になったばかりだというのに。それでも放っておいたら探し回られ、エマ先生に迷惑がかかりそうなので行くしかなかった。


 そして二日後、随分と久しぶりに私の生まれ育った屋敷へと向かった。

 屋敷に着くと、優しかった使用人たちが皆笑みで迎えてくれて、元気な私を見ると心から喜んでくれているのが分かり、私は温かな気持ちになった。


 そして驚いたことに、異母弟が話しかけてきた。


「姉上、お久しぶりです。お元気そうで良かったです」


 私は驚きを隠しながら返した。


「あなたもすっかり逞しくなって、亡くなったお父様にそっくりよ」

 

「母上がまた姉上に無理を押し付けようとしているようですので、お嫌ならきちんと断った方がよいですよ」


 私は思わず感動していた。あの継母の言いなりだった子が、こんなにもしっかりとして私のことを気遣ってくれていることに。

 私の六歳下なのでまだ十六歳のはずだ、しっかりとお父様の血を受け継いでいるようで安心した。

 すると後ろから継母が入ってきて異母弟に言う。


「ジョン、あなたは向こうに行ってなさい」


「私も家族です、聞く権利があります」


 彼は、譲らなかった。すると継母は仕方がないといった様子で話し出した。


 内容は私に縁談が来ていたが、ずっとどこにいるか分からず、、ちょうどエマ先生のもとに聞きに行こうと思っていたところ、二日前の舞踏会で見つけることができたと言う。


 そしてお相手の方はラナウド伯爵という方で年は二十四歳で、私のことを社交界で見かけ、調べたら婚姻無効になったと聞いたので実家であるこちらに帰っていると思い、話を持ちかけてきたという。 

 

「姉上、お嫌ならお断りすべきですが、僕もこちらでお会いしたのですが悪い印象はなかったですね、むしろ優しそうなお方でした」

 

「今回もまた持参金は要らないそうよ。あの方と縁続きになれれば我が家にも恩恵があるのよ」

 

「母上、それは姉上が直接会って決めることで、母上が押し付けることではありません」


 そう言ってくれた。なんだかとてもそれが嬉しく思えた。

 そして次に、衝撃的なことを聞かされた。


「最近あなた、王弟殿下と社交界でご一緒しているようだけど、あの方は男色家と噂なのは知っているわよね」

 

「母上、それは事実かどうか噂の域を出ませんから、もし違うなら不敬罪になりますよ」


 と言ってくれたが、それを聞いた私は妙に納得してしまった。

『なるほど、だとしたらお相手は多分編集長だわ』

 と直感的に思ってしまった。

 いずれにしても今の私は結婚どころではない。殿下とエマ先生との約束のためにやらなくてはいけないことがあるのだから。

私は継母に告げた。


「せっかくですが、このお話は無かったことにして下さい。今更結婚などする気はありません」


 はっきり言って席を立った。

 後ろで大きな声で叫びながら呼び止める声がする。


「ちょっと、どこで暮らしているかだけでも教えなさい!」


 そんな継母の声を無視して、私はジョンと使用人たちだけに挨拶をして屋敷を後にした。



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