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《完結》とんでもない侯爵に嫁がされた女流作家の伯爵令嬢  作者: ヴァンドール


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18話

 その後、私とエマ先生はとんでもないことに巻き込まれてしまったのではと落胆してしまった。

 このままではラミナさん達にも迷惑をかけてしまうのでは? と考え、取り敢えず今回のことは二人だけの秘密とした。


 こんなにも大変な機密事項を聞いてしまった以上引くに引けない、つまりは進むも地獄、退くも地獄というわけだ。

 どう考えても殿下の提案に従うしか選択肢はない。もしかするとそう仕組まれてしまったのかもしれないと思わずにはいられなかった。

 二人で話し合った結果、今一度、殿下にお会いして私が殿下の提案に従った場合の具体的な活動計画を聞かなければ前には進めない。

 形だけとはいえ私はウィンチェスター侯爵の妻であるのだから。


 その後、聞いていた連絡先に話し合いたいという趣旨の手紙を書いた。

 すぐに殿下の従者が来て、段取りをしてくださり、待ち合わせの場所へと出向いた。


 そこは殿下の協力者のお屋敷だという。既に殿下は着いていた。


「先日は突然ですまなかった」


 と言われたので、私達はその後、二人で話し合った内容を伝えた。

 どう考えても私達に選択肢は無いということを。

 すると、そう捉えさせてしまったのなら申し訳なかったと謝られ、確かに君達の言う通りだ。

 勿論仕組んだつもりなどないが結果的にはそうなってしまった。 

 そして、その上でもう一度お願いしたいと仰って、それでも、無理なら今回のことは聞かなかったことにしてくれて構わないと言った。

 その時は知り合う前の形に戻るだけで、どうこうするつもりはないから安心して欲しいと。


 私達は暫く考えこみ、殿下はその様子を黙ったままじっと待っていてくださった。そのお姿に、私は思わずエマ先生の許可も得ずに答えてしまった。


「協力させて頂きます」


 殿下はとても驚いた表情をなさったが、すぐに微笑んでくれた。


 その様子を見ていたエマ先生の表情も、最初の戸惑いから、徐々に真剣なものへと変わっていくのが見て取れた。先生もまた、殿下の言葉の奥にある、純粋な情熱を感じ取ったのだろう。


 私とエマ先生は、互いに視線を交わした。そこには、言葉にはできないほどの複雑な感情が入り混じっていた。

 恐怖、戸惑い、そして、微かな期待。この選択が、私たちの人生を、そしてこの国の運命を大きく変えることになるかもしれない。


 しかし、私の作品の持つ力が、殿下の目指す未来のために役立つのであれば、それはもしかしたら、私の[使命]なのではないのか? そう思わずにはいられなかった。

 そして殿下に真剣に見つめられた。


「君ならば、きっと私の目指すものを理解してくれるはずだ。そして、その筆で、この国の未来を照らしてくれると信じている」 


 その言葉と、まっすぐな眼差しに、私の心は決まった。これは、単なる利用などではない。

 殿下は、私という人間、そして私の作品の力を、真に認め、必要としてくれているのだ。その言葉には、これまで感じたことのない、強い信頼感を得ることができた。

 なので私は殿下の言葉に答えた。


「はい、殿下。私に、その小説を書かせてください。エマ先生と共に、殿下の目指す未来のために、全力を尽くします」


 そしてエマ先生もまた、深く頷いた。


「わたくしも、この国の未来のために、微力ながら尽力させていただきます」


 その瞬間、殿下の表情が、これまでに見せたことのない、安堵と喜びの入り混じったものに変わった。

 殿下の口元に浮かんだ、わずかな笑みが、私の心に温かい光を灯した。

 それは、ただの依頼主と協力者ではない、そう、敢えて言葉にするならば{同志}のような関係性を感じた。

 私はこの方だったら信頼をしてこの先もついていけると直感し、この国の未来は殿下にかかっていると確信した。

 その後、私とエマ先生は殿下に固い約束をしてその日は別れた。




 

 

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