049:帰還
新年あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
一日遅れになりましたが、お読みいただければ幸いです。
「アイさん、ガチで助かりました」
魔弾切れ、退路の距離なしの絶体絶命の状態で、最後の打つ手は至近距離での、自分への被弾覚悟のヒメの魔法攻撃だけだった。
そんな折、アイさんの弓矢による援護射撃でヒールスパイダーにトドメを刺すなんて、絶妙のタイミングで間に合ってくれた。
「二人ともお怪我はございませんか」
「オレは大丈夫です」
「わたくしは、ヒカル様にお守りいただきましたので、かすり傷一つございません」
その言葉に安堵するアイさん。こわばっていたアイさんの身体から、少し力が抜けた感じがした。
「輝様、玲様をお守りいただきありがとうございます。感謝の念に堪えません」
「大切なパートナーを守るのは当然のことです!」
アイさんは、少し驚いた後に微笑みを浮かべる。そのあとすぐに、ヒメに怪我等ないか念のため全身を確認し、納得すると他のパーティーメンバー二名は『赤城サンブレイク』のパーティーと共に、無事帰還したことを伝えてくれる。
こちらからは、ヒールスパイダーの出現で三チームが協力して討伐を試みたこと。戦力差で討伐を断念し撤退戦に移ったこと。最後は意図的としか思えないタイミングで、黒原が爆破のスキルを使い落石させて、オレたちのことを生き埋めにした可能性があることを共有した後、帰路の準備につく。
「ヒメ、状態の確認」
「体力問題なし。サイドアームMPチャージ済み。MP残量約半分。作戦実行条件クリア」
ヒメに自身の状態確認をさせ、報告を聞きながら自身の状態を確認すると、魔銃化されたメインウェポンの魔銃化された二十式小銃が使用可能になっていた。
時間経過で回復する?
もし自動修復があるのなら、この魔獣の有益性は非常に高いのかもしれない。
「ヒメ、オレのメインウェポンが使用可能になっている……。MPに余力があれば、チャージしてもらえないか?」
「魔銃の攻撃を受けたその銃でしょうか」
「ああ」
返答しながら、携帯している魔銃化した二十式小銃をヒメに見せるように向ける。
「承知しました。お貸しください」
ヒメは、二十式小銃に手を触れMPをチャージし準備完了。
「アイさん、状態確認しましたので移動可能です」
「承知しました。では、まずは私がこちらへ移動してきた、この岩山の上にあけた穴を伝って、向こう側へと移動しましょう」
そう言うと、アイさんは軽やかに岩山を登っていくので、そのあとにヒメ、続いてオレが続く。
アイさんは、オレ達でも登りやすい足場を選びながら登っているようで、後を続くオレたち二人も登り詰める。そして、アイさんが通ってきた穴から岩山の反対側へと移動する。
「では、私が先行しますので、そのあとを着いてきて……」
「いや、露払いはオレが引き受けます。オレの魔獣が復活したので、散弾グレネードを活用していけば、この階層程度なら最も時間短縮できるはずです」
アイさんが言い終わる前にオレの意思を伝える。
「そうですか。ではお願いします。途中で何かあれば、私がポジションを交代しますので」
アイさんの了承を得たので、オレが先行して移動を開始する。
ダンジョン脱出をするまでの移動中、特に大きな問題は起こらず、時間経過と共にオレのMPも回復していったため、途中で遭遇した魔獣討伐も魔力枯渇することなく討伐することができた。
脱出するまでに討伐した魔銃
■B3
ビッグスパイダー×1/ポイズンスパイダー×2/アーススパイダー×1
■B2
オーク×3/ホブゴブリン×4
■B1
グレイウルフ×4/ゴブリン×4
■1F
グレイウルフ×2/ゴブリン×8
魔物からのドロップ品
【聖魔法+2】【闇魔法+2】【攻撃+2】×5【攻撃+1】×6【魔石Lv2】×6
【魔石Lv1】×6
「ようやく出口だ。アイさん、ヒメ、お疲れさまでした」
「輝様もお疲れ様でした」
「ヒカル様、お疲れさまでした。アイも御助力ありがとうございました」
お互いにねぎらった後に、一足早くオレはダンジョンの外へと出る。それに気が付いた解除に残る観客たちが声を上げ始める。
『おい、まだだれか出てきたぞ』
『最後に残った二人のどちらか?』
『あれは、黄昏の月のリーダーの男の子じゃない?』
そんな言葉が聞こえた瞬間、会場は大歓声に包まれ、いろいろな方向から『無事でよかった』とか『よくやった』とか、ねぎらいの言葉やらいろいろな言葉を投げかけられる。
あとで聞いたんだけど、オレたち二人のヒールスパイダーとの死闘は、再起動したドローンによって途中から中継されていたらしい。
中継時には、それはもうこれでもかってくらい会場は盛り上がったそうだ。
「輝っ!」「輝っち!」
美玖と千堂さんのオレを呼ぶ声がした瞬間、誰かがオレの首に手を回し飛び込んでくるくる。千堂さんだ。
「輝っち、無事でよかったーーー」
ほんの一足遅れた美玖は、オレの身体を背中から抱きしめる。
「ホントに心配したんだからぁ」
二人とも瞳に涙を溜め、オレの帰還を喜んでくれる中、藍澤さんが遅れて到着する。
「お二人とも、ご心配をおかけしました」
藍澤さんの声で、藍澤さんの期間に気づいた美玖と千堂さんは、今度は藍澤さんを抱きしめる。
「玲ちゃーん」「玲っちーーーー」
美玖と千堂さんの二人は、藍澤さんに抱きつきながら、今度は号泣し始める。
しばらく生還していたアイさんだけど、とても終わりそうもなかったので口を開く。
「皆さん、ブリーフィングルームを用意してますので、後はそちらに移動してからにいたしませんか」
ブリーフィングルームか。それは本当に助かる。
なんだかんだ、アイさんには助けられているな。むしろ、イイ感じで誘導されているような気もする。
まあ、とにかく今後のパーティーの在り方を、みんなに共有して、これからどうしていくのか決めなければならない。




