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002:紅月美玖のスキル操作

 紆余曲折ありながら【スキル操作】を実証するための第一歩、お互い試行錯誤しながら時間をかけてまぐわい、無事接続を試みることに成功した。


 接続した結果【スキル操作】の効果はおおむね予想通りのスキルで、今は二人抱き合った状態でスキルの内容を確認しているところだ。

 ただ、美玖には少し負担が大きかったようで、オレの腕の中で紅潮した身体をこちらに預けグッタリし、かろうじてオレの背中に回した腕で支えているのがやっとで、一度スキルの内容を説明したんだけど生返事しか帰ってこない。


 接続後、頭の中に流れ込んできた美玖の能力はこれだ。


----------------------------------------------------------------

・名前 :紅月美玖(こうげつ みく)

・レベル :3

・年齢 :17

・HP  :16

・MP :32

・経験値 :120

・未配能力値:30

-----------------------------------

・筋力 :8  ▲ ▼

・敏捷力 :12 ▲ ▼

・耐久力 :8  ▲ ▼

・知力 :16 ▲ ▼

・判断力 :14 ▲ ▼

・魅力 :18 ▲ ▼

・運 :12 ▲ ▼

-----------------------------------

・スキル :攻撃+2 ▲

    :防御+2

    :(攻撃+1)

----------------------------------------------------------------


 おそらく【未配置能力値:30】はステータスに割り振れる最大数値で、▲でステータスを上昇、▼で下降させることができると思われる。

 ▲と▼がある場所が、変更できるステータスになるようだから【筋力】【敏捷力】【耐久力】【知力】【判断力】【魅力】【運】に割り振れるんだと思われる。

 なんかスゲーな。今までの経験をゲーム感覚で強化していくことができそうだ。このスキルさえあれば、この先オレも美玖も最強の探索者になることも可能じゃないか?

 スキルアップの前に、どのステータスを上げていくのかは、さすがに一度は相談しないとな。


「美玖、このスキルすごいよ。感動した!」

「そ、そうにゃの?」


 わー、ろれつが回らなくて猫語? 抱っこちゃん状態でオレを見上げながら首をかしげる美玖は、紅潮させた顔と相まって破壊力抜群だった。ステータスの更新じゃなく、別な感情に支配されそうになるのを必死に抑えながら……。


「予想通りスキルのアップができそうだよ。筋力、敏捷力、耐久力の強化を中心にやってみようかと思うけど、それでいいかな」


「ううぅ……んっ、えっ、ス、スキルアップ……? なんかお腹の奥がジンジンしてて頭が回らないよぅ……任せるから」


 オレはスキル操作の機能に興奮していてほんの少しだけ冷静だけど、そもそもオレと美玖は初めての経験の真っ最中。接続状態のままだから、正常な判断を求めるのはちょっと酷ってもんだ。

 しかも甘えた感じになる返答を聞かされるたびに、オレも違う感情に負けそうになるから、なるべく会話しないで進めるか。


 ▲と▼があるってことは、あとで能力値の上昇、下降はできそうだから、ここはオレの考えでスキルの数値を変更させてもらおうっと。

 とりあえず、以前に美玖のお母さんがスキルを買い与えた時に、とにかく危険から逃れられるように、それともし攻撃を受けたとしても、耐える力と抗う力を与えたいと言っていたから、その考えをベースに考えてみるか。


 命を大事に、リベンジもねって感じか……。

 敵排除のための攻撃力底上げと、相手の攻撃から耐えたり回避し易くするために、7のステータスのうち【筋力】【敏捷力】【耐久力】に10ポイントずつ割り振っていく。


 【攻撃+2】の横に▲があるってことは、所持スキルも強化が可能ってことか。

 【(攻撃+1)】ってのが下部に表示されているけど、この分を強化に使用できるのか。

 美玖の場合、過去に【攻撃+1】のスキルジュエルを使い、あとから【攻撃+2】のスキルジュエルを使用して、攻撃力を強化したことがあると言っていた気がする。


「美玖、ちょっと確認したいんだけど」

「ひゃん……にゃ、にゃに?」


 なんだこの反応。一向に子猫ちゃんのままかよ。なんか、かわえーな。少しでもオレが動くと、色々伝わってそうなっちゃうのかー。今はなるべく動かないようにして……。


「美玖は以前【攻撃+1】のスキルを【+2】に上書きしたんで間違いないよね」

「うん、間違いにゃ、ないよ」

「なるほど」


 オレと美玖が頻繁にダンジョンへ行くようになって、心配した美玖の母親が、攻撃スキル底上げで【攻撃+2】のスキルジュエルを買い与えてた気がしたけど、どうやらそれで間違いない。


 ってことは、攻撃スキルをかけ合わせ【攻撃+3】にバージョンアップさせることができる……。やっぱ、このスキル操作ってスキルはすげえな。【+3】のスキルジュエルを手に入れなくても、容易に【+3】のスキルを作り出すことができるんだから。


 本来、同じスキルを使用した場合、大きい数値のスキルを使用すればそのスキルは上書きされるっていわれていたけど、上書きではなく高いスキルが優先されるってことなのか。【スキル操作】を使えば、このプールされたスキルをかけ合わせて強化も可能と。


 つまり……例えば【攻撃+1】を5つ用意すれば【攻撃+5】のスキルを作り出すことができるってことか。【+5】のスキルジュエルに相当する超レアなジュエルが簡単に作り出せるなんて、ちょっとヤバ過ぎだな。絶対に他人には漏らせない情報だぞ。

 購入する前提で額面だけを比べても、正規で【+5】を購入するならおおよそ600万円だけど、【+1】×5なら5万円×5=25万円か。完全にチートだよ。金銭感覚バグりそう。

 仮にスキル操作で作り上げたスキルをジュエルへと変換できれば、オレって大金持ちじゃん。まあ、さすがにそれはないと思うけどな……。


 最終的に、オレは美玖のステータスをこんな感じに強化することに決めた。

----------------------------------------------------------------

・筋力 :8  → 18

・敏捷力 :12 → 22

・耐久力 :8  → 18

----------------------------------------------------------------


 あと、攻撃スキルも強化してと……。


----------------------------------------------------------------

・スキル :攻撃+2 → +3

----------------------------------------------------------------


 数値を変えると、ステータスの下の方に、何やら説明の文字が表示された。なんかゲームみたいだな。


 表示された説明は……。


「スキル操作を実行しますか?」

[実行] [キャンセル]


 おっと、その前にオレのステータスも操作するか……。

 これがオレのスキルか。

----------------------------------------------------------------

・名前 :天真輝(てんま ひかる)

・レベル :5

・年齢 :17

・HP  :20

・MP :30

・経験値 :680

・未配能力値:50

----------------------------------------------------------------

・筋力 :11 ▲ ▼

・敏捷力 :12 ▲ ▼

・耐久力 :10 ▲ ▼

・知力 :15 ▲ ▼

・判断力 :16 ▲ ▼

・魅力 :14 ▲ ▼

・運 :18 ▲ ▼

----------------------------------------------------------------


 当面の間、オレは上位のダンジョンに行くつもりはないからな。運に全振りしておくか。全振りなら数値が大きく変わるから、色々と検証にもなるだろう。

 運が上がれば、もしかしたらドロップ内容も変わるかもしれないしな。


 それじゃあ、スキル操作[実行]っと。


 あれ? なんか説明文が追加表示されたぞ。


----------------------------------------------------------------

 『スキル操作が実行されました』

 ステータス数値上昇値+1につき60秒、スキル数値+1につき300秒の間、性欲&性感度が2倍になります。


 スキル操作実行中の射精で変更したステータスが定着します。

 天真輝 :残り 3000秒 

 香月美玖:残り 2100秒


※尚、スキル操作実行中の射精では着床しません。  

----------------------------------------------------------------


「はぁ?」


 思わず声が漏れたけど何だこれ? 性欲と性感度が2倍ってどういうこと?


 なんて考えているのもつかの間、頭に浮かんだフレーバーテキストへの疑問を理解するより早く、あそこにドクドク血液が流入して巨大化していくのが分かる。

 うわーこのスキルはいろいろとヤバいわ。


「ひゃん! ちょ、ちょっと輝、何したの? 輝がなんか圧迫してくるよ? キ、キツくにゃって……ああん、ねぇ、ちょっとにゃんでぇ……。動いちゃダメだってばーーーーーーーーー」


 その後、とにかくトンデモナイことが3000秒間(50分)続き、もうめちゃくちゃだった。

 こうしてオレたちが過ごす初めての長い夜は収束していく……。


 途中気を失い翌朝目覚めると、まっぱで美玖に覆いかぶさったままで焦ったのはここだけの話。ちなみに同じくまっぱで起床した美玖は慌てて帰宅して、とんでもない忘れ物をしたので、登校時に廊下で返却したらドン引きされた。



ここまでお読みいただきありがとうございます。

次の更新は月曜日21時を予定しています。

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