第8話 再会
最後までお読みいただければ幸いです。
三ヶ月が過ぎ、赤松と青山はそれぞれの能力を強化するための特訓を重ねた。厳しい訓練の日々が続いたが、その努力は確実に実を結んでいた。
赤松の能力は飛躍的に進化し、自らの身体を操作し、ついに空を飛べるようになった。最初は空を浮遊することさえ難しく、何度も地面に倒れ込んだが、諦めることなく訓練を続けた。その結果、今では自由に空を飛び、風を感じながら移動することができるようになった。彼の能力は、まるで風そのものを操るように軽やかで、自由自在だった。
一方、青山もまたその能力を極めていた。彼は時間を操る能力を持っていたが、最初は数秒の停止が限界だった。しかし、訓練を重ねるうちに、ついに時間を完全に停止させ、さらに巻き戻すことさえできるようになった。彼が時間を操る様子はまるで世界が青く静止したかのようで、周囲の空気さえも感じることができた。その力は、時に重圧となり、使う度に深い疲労感に襲われるが、それでも彼はその力をうまく使いこなせるようになった。
二人は互いに切磋琢磨し、支え合いながら能力を磨き続けていた。赤松はその空を飛ぶ能力を使い、青山は時間の流れを操ることで、周囲の状況を有利に運ぶことができるようになった。それぞれの能力が結びついた時、彼らはどんな強敵にも立ち向かえる自信を持つようになっていた。
「これなら、高橋に立ち向かう準備は整ったな。」と、青山が訓練の後に息を整えながら言った。
赤松も満足げに頷き、
「ああ、でもこれで終わりじゃない。高橋の力は予想以上に強いかもしれない。俺たちの力がどこまで通用するか、試しておく必要があるな。」
二人の目には、次の戦いに向けた決意が宿っていた。
赤松がにやりと笑って言った。「その前に、飯でも行こうか。近くに新しく中華料理店ができたらしいし。」
青山は少し考えた後、頷きながら答えた。「いいな。ちょっと休憩も必要だし、行こうか。」
二人は新しい中華料理店に到着した。店内はアットホームな雰囲気で、カウンター席にはいくつかの客が座っていた。赤松と青山は席に着くと、注文を取りに来た恰幅のいい中年の女性が近づいてきた。
「いらっしゃいませ~」と、女性が笑顔で言いながら近づいてきた。
「え?時生くん?青山時生くんだよね?」
女性がさらに近づき、確認するように言った。「やっぱり、時生くん?だよね?」
「そうです・・・。えーと。」
「麗子です。白石麗子。」
目の前に立っていたのは、かつて孤児院で一緒に過ごした仲間、白石麗子だった。しかし、その姿は以前とはまったく異なっていた。かつて華奢で可愛らしい印象だった麗子は、今や恰幅が良く、顔もかなりふっくらとして見えた。まるで別人のように変わり果てていた。
青山が驚きの表情を浮かべながら言った。
「麗子、全然わからなかった…」
麗子は笑って言った。
「あはは、そうだよね。太っちゃって、年も取ったし。時生は元気にしてた?」
その時、赤松は少しもじもじしていた。やはり髪が薄くなったせいか、麗子に気づいてもらえなかったのだ。彼は鏡で自分の姿を見ても、かなり変わっていることを自覚していた。
「あ…ああ、麗子、久しぶりだな。」
ようやく赤松が口を開いた。
麗子は少し驚きの表情を浮かべながら、
「ん~念冶!わからなかったよ。ほんとに久しぶり、髪が薄くなったね。」と笑った。
赤松は少し恥ずかしそうに笑いながら、「まあ、年齢も年齢だからな。」と言って苦笑いした。
青山は思わず笑ってしまい、「でも、ほんとに驚いたよ。麗子、まさかこんなところで会うとは思わなかった。」
麗子は照れ笑いを浮かべながら、「あはは、太っちゃって、変わったでしょ。でも元気でやってるから安心して。」と話していた。
青山と赤松はしばらく会話を楽しみながらも、麗子が厨房へ戻った後、二人で顔を見合わせた。
その後、麗子は奥へ戻り、二人だけがカウンターに残った。青山は少し不満そうに、
「なんか、あんなに憧れていた麗子が、こんな姿になってると思うと、ちょっとショックだな。」
赤松も肩をすくめ、「わかる。でも、もう昔のことだしな。まあ、今元気そうでよかったよ。」
青山は無言で頷き、少し沈んだ表情を見せる。「あの頃、麗子はみんなの憧れだったんだよな。あんなに華やかで、可愛かったのに…。」
赤松は少し笑いながら、「まあ、年取るってことだよ。俺だって禿げてるしな。」
青山は少し苦笑いを浮かべて、「あ、そっか…。」と答えた。二人はしばらく黙って料理を食べながら、昔の思い出とともに、少しだけしんみりとした気持ちを抱えていた。
その時、店の奥から出てきた人物が赤松と青山に近づいてきた。「よぉ?念冶、時生じゃないか?」
赤松がその人物を見て少し驚きながらも、「慧か!久しぶりだな!」と声をかけた。
黒田慧は笑顔を見せながら、「いやー、俺も最初はお前らだとは思わなかったよ。」と言った。彼はやはり、少し懐かしい雰囲気を漂わせていたが、赤松の禿げた頭を見てやっと気づいたようだ。
「やっと気づいてくれたか。俺だよ、赤松。」赤松が軽く笑う。
慧は少し照れくさい顔をしながら、「いやー、昔の面影は薄くなったな。でも元気そうでよかった。」と語りながら、二人を歓迎してくれた。
青山も少し笑って、「ほんとに変わったな、慧。麗子と一緒にやってるなんて。」
「まあ、いろいろあったけどな。でも今はしっかりやってるよ。」慧は自慢げに言った。
慧は少し驚いた様子で、でもすぐに懐かしさが顔に浮かぶ。歩み寄りながら言った。
「お前ら、もうすっかり大人だな。」
赤松が笑いながら、「いや、ほんとだな。でもまさかここで会うとは思わなかったわ」と返した。
慧は少し笑ってから、「お前らが来たの、偶然じゃないだろ。実はこの店、三か月前に爆破事故があったんだよ。」と話し始めた。
赤松と青山は、爆破事故があったことをニュースで知っていたが、麗子と慧がその時店内にいたとは思っていなかった。赤松が少し驚きながら、「あれ、ニュースで見たけど、お前ら大丈夫だったのか?」と尋ねた。
慧は肩をすくめながら、少し照れくさそうに言った。「ああ、俺たち、仕込み中だったんだけど、運が良かったんだ。店内にいたのに、爆発のタイミングでギリギリ避けられてさ。ちょっと外に出てたらヤバかったかもしれないけど、運が良かったんだよ。」
青山が言った。
「マジか、あの時店内にいたんだな。運が良かったんだな…。」
しばらく黙っていたが、続けて
「でも、無事で本当によかったよ。あんだけ危険なことがあった後でも、お前らがこうして元気にしてるの見て、なんか安心したわ。」と、少し感慨深げに言った。
赤松も笑いながら、
「あんまり無理すんなよな。大変な目にあったんだし、あんたらも休む時は休んで、慎重にやれよ。」
と言って、元気そうな二人を見て、ほっとした様子だった。
箸を置きながら赤松が
「ところで」
「最近、あの頃の…孤児院に居た頃の夢を見たりしてないか?」
麗子と慧は顔を見合わせ、麗子がうなずく。
青山も無言で頷き、少し真剣な表情を見せる。
「俺と赤松もそうなんだ。よかったら事故の時の話を聞かせてくれないか?」
赤松が少し真剣な表情になり、麗子と慧に向き直った。「あの爆発があった時、お前らが覚醒したってことはないか?」と、ゆっくりと言った。「もしそうなら、俺たちのように、何か特別な能力が開花したんじゃないかって思ってさ。」
麗子は少し戸惑った様子で顔を見合わせ、慧も黙っていた。慧がやっと口を開いた。「特別な能力、か…」と考えるように呟く。
慧と麗子は、赤松たちにその時のことを思い出しながら、ゆっくりと話し始めた。
「実はね、爆発が起きた瞬間、まるで世界が静止したかのように感じた。」麗子が言葉を選びながら話し始めた。「最初は、何が起こったのか全然分からなかった。音もなく、ただ強い風と熱で体がバラバラに吹き飛ばされたみたいだった。でも、すぐにおかしいって気づいたの。体が元通りに回復していく感覚を感じて、傷も痛みもすぐに消えていった。それに、無傷で立ち上がれたことに驚いたよ。」
「俺はそれに気づいた瞬間、何も考えずに動いた。」慧が続ける。「なんとなく、体が自然に動いて、周囲の状況を把握していたんだ。あの爆発の直前、俺は予知したんだ。何秒か前からそのビジョンが見えて、どこに避ければいいか分かっていた。正直、冷静になれなかったけど、反射的に安全な場所に移動したんだ。」
麗子が少し目を伏せて、「爆発の瞬間にね、子供のころの記憶が蘇って、これが走馬灯なんだって思ったの。」
「俺も最同じだ。」慧が頷きながら言った。「何も考えずに動けたことが信じられなかったし、あんなことができるなんて思いもしなかった。」
「でも、その後、二人で何度も確認したんだ。自分たちが普通の人間じゃないって。すぐに、俺たちにも何か能力があるってことに気づいた。でも、これがどういうことなのかは全く分からなかった。」麗子は静かに言った。
赤松と青山は、二人の話を真剣に聞いていた。特に青山は、麗子と慧が言っていることが、自分たちの覚醒の経緯と重なる部分があることを感じ取っていた。
「それで、二人はその後どうしたんだ?」赤松が尋ねた。
「最初は、すぐにでも誰かに話したい衝動に駆られたけど、どうしていいのか分からなくて。あの時、俺たちが何を持っているのかも分からなかったからな。」慧が肩をすくめる。「でも、やっぱり誰かに伝えなきゃと思って、少しずつ調べるようになったんだ。」
麗子は目を伏せ、「あの爆発が、私たちを変えたきっかけだった。」と言葉を続けた。「でも、同時にその力をどう使えばいいのかも分からなかった。あの時から、私たちは完全に別の世界に引き込まれた感じがした。」
二人の話を聞いて、赤松と青山は、それぞれ自分たちの覚醒とどこかで繋がっていることを感じ取った。しかし、それ以上に、二人の能力がどれだけ強力であるか、そしてその背後にある真実について、ますます疑問が深まるのだった。
赤松と青山は、麗子と慧の話を聞いた後、自分たちが覚醒した時のことを振り返りながら話を続けた。
赤松が口を開く。「俺たちも覚醒したとき、状況がまるで別世界だった。最初は、自分が変わったことに気づかなくて、いろいろな出来事に反応していくうちに、どんどん能力を制御できるようになった。でも、あの感覚は今でも忘れられない。」
青山が続ける。「俺もだ。最初は時間が止まった時、何が起きたのか全く分からなかった。でも、実際に止められた時、俺はその力が使えることに気づいた。そこから、自分が何をすべきかを考えるようになった。」
麗子が苦笑しながら口を挟む。「あんたたち、覚醒した時ってすごかったんだろうね。」
慧が静かに頷く。「俺は爆発が起きた時、まるで危険を察知するかのように、瞬時に安全な場所に移動できた。今でもあの感覚は忘れられない。」
麗子が続ける。「私は、爆発の影響で体がボロボロになったけど、気づいた時にはもう傷が治ってた。驚いたよ。こんなことができるなんて、思ってもみなかった。」
赤松はその話を興味深く聞きながら、「爆発がトリガーになったのか…」とつぶやいた。
「でも、そうか、麗子と慧も覚醒したってことだな。俺たちの覚醒と同じように。」
青山も考え込む。「だな。俺たちが覚醒した時と似ている部分もある。だとすれば、今の自分たちの能力をもっと強化する必要があるな。緑川との対決に備えるためにも。」
麗子が少し驚いた顔をする。「緑川?あいつが何かしたの?」
青山が冷静に答える。「緑川は、俺たちの覚醒と同じような能力を持っているかもしれない。しかも、あいつは過去に人を殺した可能性もある。俺たちはそのうち、必ず対峙しなければならない時が来ると思う。」
念冶と時生はこれまでの経緯を二人に伝えた。
赤松が真剣な表情で続ける。「俺たちが今やらなければならないのは、まず自分たちを守ることだ。それには、さらに能力を強化していく必要がある。緑川との対決に備えるために。」
青山も言葉を続ける。「その通りだ。あいつの能力がどんなものか分からないけど、まずは俺たちが強くならないといけない。緑川がどんな動きをしているのか、今のうちに情報を集めていこう。」
麗子がじっと二人を見つめて言う。「確かに、それが一番大事だ。私たちだって、覚醒したからって完全に無敵じゃない。二人も言ってるように、準備をしっかりしておくべきだと思う。」
慧も真剣な眼差しで言う。「俺たちが強くなり、準備を整えることで、今後の対決に備えることができる。そのためには、まずお前たちと一緒に協力して、力を合わせていくことが必要だな。」
赤松はしばらく黙って考えると、しっかりと頷いた。「そうだな。俺たちが準備を整え、能力を磨くこと。それが今、最も重要なことだ。そして、いずれ緑川と対峙する時には、勝たなければならない。」
青山も力強く頷く。「必ず勝つ。そのためには、どんな状況でも冷静に、準備を怠らず進んでいくんだ。」
麗子と慧も頷き、それぞれの決意を胸に抱えながら、これからの戦いに備えて力を合わせる決意を新たにした。
麗子の能力: 超再生能力
麗子は爆発事故を契機に覚醒し、超再生能力を手に入れた。この能力は、体が傷ついたり壊れたりした場合、瞬時に回復し再生する力を持つ。彼女の再生能力は、通常の人間の回復能力を遥かに超えており、致命的な怪我であっても数秒以内に回復することができる。爆発事故の際、麗子は体中が焼け焦げ、骨が折れ、内臓が損傷するような状態となったが、すぐにその傷が癒えて、元の健康な状態に戻った。彼女はその再生過程を自覚しており、痛みを感じることなく、体が勝手に回復していく感覚に驚きながらも受け入れていた。
彼女の再生能力は外部からの攻撃に対して非常に強力で、致命傷を受けても回復する。また、能力が完全に発動した場合、周囲の生命力を吸収することができ、他人の傷を癒すことも可能だ。破壊と再生を繰り返すことで、麗子の肉体は次第に強靭になっていき、以前よりも強力な耐久力を持つようになった。傷つくことが少なくなり、徐々に老化を遅らせるような効果も現れてきた。
慧の能力: 予知能力
慧は爆発事故の際に突然覚醒した予知能力を持っている。彼の予知能力は、未来の出来事を直感的に察知する力で、特に危険な状況や重大な事件が発生する瞬間を予測できる。慧はその予知能力を発揮した瞬間、目の前に迫った爆発を察知し、即座に自分だけでなく麗子を安全な場所に避難させることができた。予知能力は一種の「警告」のようなもので、慧は未来のビジョンや次に起こる出来事を直感的に感じ取り、それに対応できる。
慧の予知能力は、未来の数秒から数分先の出来事を察知することが多いが、状況によっては数時間先の出来事や重大な事件まで予知することもある。しかし、予知の内容はしばしば曖昧で断片的な映像として現れ、必ずしも完全に正確とは限らない。そのため、慧はそのビジョンを解釈するために経験と冷静さを必要とし、誤った解釈をしないように注意している。また、予知能力は強い感情やストレスの影響を受けやすく、冷静な状態を保つことが精度を高めるための重要な要素となる。
これらの能力は麗子と慧にとって戦いの中で強力な武器となるが、その力を使いこなすためには慎重さと精神的な強さが求められる。麗子は再生能力を繰り返し使うことで身体が強靭になり、ますます強力な存在に変わっていく一方で、慧の予知能力はその精度を高めるために冷静であることが求められる。
赤松は一瞬、考え込んだ後、静かに言った。「俺たちが覚醒した時、何かがあったんじゃないかって気がする。麗子と慧も、爆発事故で命の危機に直面して覚醒したって言うけど…そんな偶然ってあるのか?」
青山も眉をひそめながら続ける。
「そうだな。俺たちが覚醒したのも、あの時、死に直面して初めて力を得たって感じだった。でも、麗子と慧もほぼ同時期に覚醒して、同じような体験をしている。それが単なる偶然だと言えるのか?」
麗子は少し黙ってから、ため息をついた。
「私たちも覚醒するには死にかけるくらいの危機が必要だった。まるで偶然とは思えないけど、実際にはどうだか…」
慧が静かに口を開く。「そう、俺もそう思う。でも、考えてみると、能力者が同じ時期に同じ場所に集まってるのって…おかしくないか?会社に3人、近所に2人って、偶然とは思えないよな。」
赤松はその言葉に強く反応した。「だよな。どう考えても、俺たちが覚醒したタイミングも、麗子と慧が覚醒したタイミングも、何かおかしい。能力者がこんなに集中しているのも、偶然の一言で片付けられない気がする。」
青山が重々しく言った。「確かに。もし誰かが、俺たちを…意図的に動かしているとしたら、どうだろう。あんな危険な状況を作り出して、覚醒させることができる力を持っている者がいるとしたら?」
麗子もその言葉に頷く。「もし誰かが俺たちの覚醒を仕組んでいるのだとしたら、俺たちを試しているのか、それとも何か別の目的があるのか…その可能性は考えたくないけど、無視できない。」
慧が冷静に言った。「でも、まだ確証はない。ただ、あまりにもおかしい。俺たちがここまで集まった理由を突き詰めてみる必要があると思う。」
赤松は目を細め、深刻そうに言った。「とにかく、俺たちはこの状況に慎重に対応しないといけない。覚醒が偶然だとしても、それをどう扱うかは、今後の大きな分岐点になるだろう。」
青山も頷く。「まずは、俺たちの覚醒の理由を調べる必要がある。そのためには、今まで何が起きていたのか、どんな状況だったのかを洗い直してみよう。」
赤松は再び考え込んだ後、眉をひそめて言った。「でも、もうひとつ気になることがある。共通点を考えてみると、みんな孤児院に関わってることだよな。俺たち、麗子、慧…みんな孤児院にいたっていうのが、どうも引っかかる。」
青山はうなずきながら言う。「確かに、あの孤児院が何か関係しているのかもしれない。でも、俺たちが孤児院にいたこと自体は確かなんだが、その前の記憶が全くないんだよな。孤児院にいた記憶も、なんだか断片的で、はっきりとしたものが思い出せない。」
麗子も少し顔を曇らせながら言った。「私も同じだ。孤児院にいたことは覚えてるけど、それ以前の記憶が全然ないの。ただ、あの場所にいたっていう感覚だけで、何があったのかも何も覚えてない。すごく不安になるよ。」
慧も静かに話し始めた。「俺も、孤児院にいたことは覚えてるが、それ以前の記憶がまるでない。あの場所にいる時から、ずっとそこにいたような気がする。でも、他の記憶は何も…。」
赤松はその言葉を聞いて、胸に引っかかる感覚を覚えた。「俺は覚醒した時、何かを忘れている気がしていたけど、それが孤児院の記憶に関係しているのか?」
青山が真剣な顔で続ける。「孤児院に関して、どうしてこんなに記憶が曖昧なのか。それに、俺たちが覚醒した後、記憶の断片を少しずつ思い出すことができたとしても、何かが意図的に消されているような気がする。」
麗子が頷きながら言った。「孤児院にいた記憶自体も断片的で、あまりにも不自然だ。何かを隠すために意図的に消されたのかもしれない。」
慧が冷静に答えた。「俺たちの記憶が消されているのは確かだ。それも、孤児院以前のことだけじゃなく、孤児院での出来事も、断片的にしか思い出せない。でも、何かがあったに違いない。」
赤松は決意を込めて言った。「まずは、その孤児院について調べてみよう。記憶が消された理由や、覚醒の原因を明らかにするために、何か手がかりが見つかるはずだ。」
その後、赤松たちは孤児院について調査を始め、施設に関する情報を集めることになった。しかし、全員が孤児院以前の記憶を一切持っていないということが気がかりだ。
赤松はその事実を確認し、「これってただの偶然じゃないよな…何か意図的に記憶を消されているのかもしれない」とつぶやいた。
青山もその情報に驚きながら言った。「そうだな。記憶を消すなんて、簡単にできることじゃない。誰かが俺たちの過去を隠している可能性がある。」
麗子が冷静に言った。「でも、これが分かれば、私たちの覚醒の本当の原因が分かるかもしれない。記憶を消された理由、そして誰がそれをしたのか。」
慧も真剣な表情で言った。「それが分かれば、俺たちの能力の本当の意味も見えてくるはずだ。これから何をするべきかが、少しずつ明確になってきた。」
赤松は深い息をつきながら言った。「これからもっと調べて、全ての真実を暴かないといけない。孤児院で何が起こっていたのか、その先に何が待っているのか…。」
最後までお読みいただきありがとうございます。