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第15話 虹

日常に戻った念冶と時生は、慧と麗子の経営する中華料理屋に集まっていた。店内は温かみのある照明が灯り、懐かしい香りが漂う。みんなが心地よく食事を楽しんでいるその時、ふと念冶の姿が目に入った。

「念冶、髪、元に戻ってるじゃん。」時生が驚いたように指摘した。

念冶は笑顔を浮かべながら、あまり気にした様子もなく答える。「うん、こっちの方がしっくりくるから戻したんだ。」

慧が少し興味を持って尋ねる。「あの髪、使いこなしていたと思ったんだけど、どうして?」

「力を使ったり見た目が変わったりするのはいいけど、やっぱり自分の自然な状態が一番だって感じるんだ。」念冶は肩をすくめて、禿げ頭を撫でながら言った。

「それに、こっちの方が落ち着くし。」彼の言葉には、どこかリラックスした雰囲気が漂っていた。

麗子もその会話を聞きながら、自分の体を少し気にしてぽっちゃりした腕を軽く擦った。「私も、太ってる方がいい料理を作れる気がするの。何だか、元気が出るし、この方が美味しそうでしょ?」麗子は照れくさそうに笑った。

「確かにな、うまそうだ。」慧が茶目っ気を含んだ表情で言った。「みんな、自分らしくいるのが一番だよ。」

その言葉に、みんながうなずき、再び食事に集中した。麗子の作った中華料理は、相変わらず絶品で、どんな変化があっても、彼女の料理はみんなを幸せにしてくれる。

「遅くなって済まない。」桃田が頭を下げながら店に入ってきた。その後ろには、変わらず緑川心と高橋が一緒に歩いてくる。二人の姿は、まるで本当の親子のように自然で、肩を並べて歩くその光景がとても温かかった。

「お疲れ様。」慧がにこやかに手を振りながら迎える。

「いいよ、遅れるのはよくあることだし。」時生も笑顔で応じると、緑川心と高橋が顔を見合わせて、心地よい空気が広がった。

「待たせてごめんね。」緑川心がやわらかな声で言いながら、席に着く。高橋も、普段と変わらない穏やかな笑顔を浮かべて、軽く頭を下げた。

「それにしても、いつ見ても親子って感じだな。」時生が感心したように言うと、他のメンバーも頷きながらその関係性をしみじみと感じている様子だった。

高橋は少し照れくさい表情で、「いや、親子って言われるとちょっと照れるな。」と言いながら、隣に座った緑川心に軽く微笑んだ。緑川心もまた、優しい笑顔で応じる。「まあ、そうね。私たち、まるで本当の親子みたいだしね。」

その言葉に、周囲のメンバーはまた微笑みながら、その温かさを感じ取った。どこかほっこりとした空気が漂い、みんなが心地よく過ごせるひとときが続いていた。

「本当、二人を見てると、なんだか安心するよ。」麗子が微笑みながら言った。彼女の目には、何気ない日常の中にある絆の強さが映っていた。高橋と緑川心の間には、どこか自然でしっくりとした親子の関係が感じられ、それが周りの人々に安心感を与えているようだった。

「お互いを支え合っているんだね。」慧が静かに言うと、みんながその言葉に深く頷いた。

「うん、そうだね。」高橋が穏やかな声で応じ、緑川心も笑顔を浮かべながらうなずく。

「さて、久しぶりにみんなで集まったんだから、今日は思いっきり楽しもう!」慧が明るく言って、食事を始める準備を整えた。

その後、テーブルに運ばれてきた料理に、みんなの顔がほころぶ。麗子の作った中華料理は、どれもこれも絶品で、温かい湯気が立ち上る料理の数々がテーブルを彩っていた。食べ物を囲みながら、笑い声が響き、楽しい会話が交わされていった。

念冶が目を輝かせながら、提案した。

「これから地球を守るヒーローとして名前を付けない?なんとかジャーみたいなやつ。」

「俺たち7人だし、虹みたいな名前はどうかな?苗字に色が入ってるし、ちょうどいいんじゃないか?」

その言葉に、みんなが少し考え込む。確かに、赤松念冶、青山時生、緑川心、白石麗子、黒田慧、桃田総一、高橋啓介の名前には色が入っていて、それを活かすのは面白いアイデアだ。

「なるほど、確かに虹の色みたいだな。」時生が頷きながら、「それじゃあ、俺は青ジャーかな? 青のイメージだし。」と言った。

「じゃあ、私は緑ジャーで決まりだね!」心が元気に言うと、みんなが笑顔を浮かべて賛同した。

「白ジャーでしょ、当然。」麗子が自信たっぷりに言った。

黒田慧は少し考え込んだ後、「じゃあ、俺は黒ジャーか…うーん、でも黒って少し地味かもしれないな。」と冗談っぽく言った。

「いや、黒はカッコいいだろ!『黒』は存在感があるし、シックでクールだよ。」念冶がすぐにフォローし、「『黒ジャー』、いいじゃん!」と笑顔で言った。

「赤ジャー、青ジャー、緑ジャー、白ジャー、黒ジャー、俺は桃ジャーか。ちょっと『桃』が恥ずかしいけどな。」総一が照れくさそうに言うと、「でも、そうだな、桃ジャーに決まりだな。」と笑いながら言った。

「じゃあ、最後に啓介はどうする?」念冶が啓介を見て尋ねる。

「俺か、そうだな…啓介ジャーじゃ少し普通すぎるよな。」啓介は少し考え込み、「じゃあ、『高ジャー』ってことで、これでいくか。」と決めた。

「高ジャー、かっこいいじゃん!」と念冶が大きくうなずき、みんなが賛同した。

「決まりだな、虹ジャー!」念冶が言うと、全員が笑いながらうなずいた。

そして、みんなで一斉に力強く手を挙げる。「虹ジャー、いくぞ!」その瞬間、みんなの顔に力強い決意が宿り、どこか誇らしげに感じた。

「虹ジャー、いくぞ!」

その一言が響いた瞬間、7人は一斉に手を挙げた。空に向かって力強く掲げたその姿は、まるで一つの大きな力が結集したように見えた。赤ジャー、青ジャー、緑ジャー、白ジャー、黒ジャー、桃ジャー、高ジャー。それぞれの色が鮮やかに輝き、まるで虹が天を駆け抜けるような瞬間だった。

(高ジャーは色じゃないし、七色になってないし、そもそも虹ジャーって)という思いをテレパシーで共有しながら。

彼らの目には、新たな使命と誇りが宿っていた。それぞれが持っている能力、そして互いを信じる力が、これからの世界に必要だと感じていた。どんな困難が待ち受けようとも、彼らは共に乗り越えると誓ったのだ。

赤ジャー、青ジャー、緑ジャー、白ジャー、黒ジャー、桃ジャー、高ジャー。全員の名前が、これから先、世界のどこかで語り継がれていくことだろう。その名は、ただのヒーローの名前ではない。それは希望を象徴する名前であり、未来を切り開く力そのものであった。

その時、麗子が静かに言った。「私たちが選ばれたんだ、だから絶対に後悔しないようにしよう。名前も含めて…。」

時生はにっこりと笑って、「ああ、みんなで力を合わせれば、どんな問題だって乗り越えられるさ。」と言った。

総一が腕を組んで、「でも、俺たちが一番怖いのは、やっぱり人間の心の中の闇だよな。力をどう使うかが一番大事だ。」と冷静に話す。

啓介がふと顔を上げて、「俺たちが今、ここで強く決意を新たにしたことが、大切な一歩だよな。」と言った。

その言葉に、みんなが頷いた。確かに、今ここで誓った決意が、これからのすべてを左右する。そして、その力は間違いなく、彼らが世界を変えるために使われることになる。

そして、全員が声を合わせて言った。「虹ジャー、いくぞ!」

その言葉とともに、彼らは新たな冒険へと歩き出した。どこまでも続く道の先に待っているのは、数え切れないほどの試練と、それを乗り越えた先に見える希望の光。だが、彼らはそれを恐れなかった。どんな困難も、共にいれば乗り越えられると信じていたから。

今後の彼らの活躍がどんなものになるかはわからない。だが、確かなことが一つだけある。それは、彼らがどんなに遠く離れていても、心の中ではいつも繋がっているということだ。

時間が経つにつれ、彼らは虹ジャーとしての活動を続け、世界を少しずつでも良い方向へと導いていった。その名前が広まるたびに、人々の中で小さな希望が芽生えていった。虹ジャーの存在が、単なる物語ではなく、現実となり、世界を照らしていった。

そして、その物語は終わらない。次の世代に語り継がれ、未来を切り開く力となるだろう。

— こうして、7人の虹ジャーの冒険は続くのだった。

虹の彼方のどこか、とても高いところに…


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