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九州召喚記  作者: 洗濯一郎
本編
2/16

 接触

テレビ電話より福岡・大分・佐賀・長崎・宮崎・熊本・鹿児島の知事7人と西部方面総監部より総監である長谷川陸将、海上保安庁第七管区より大津管区本部長の2人と民間企業からJR九州社長である水口、ネクスコ西日本九州支社社長江川、JR貨物九州支社社長広瀬、九州電力より代表者1名の4人の計13人が招集された。

「それではリモート会議を始めたいと思います。初めに福岡県の大橋知事お願いします」

「はい。私が現在分かっていることをお話しします。午前10時ごろからインターネット等に接続が不可となり、本州及び沖縄との連絡が取れなくなっております。偵察隊を向かわせたところ2機の戦闘機らしきものと遭遇しました。空自のパイロットが写真に収めており、それを解析すると1936年より練習機として使われている大日本帝国海軍の機体であることが分かりました。また、下関と思われる上空写真を見ますと2024年の知っている姿とは違う下関が見えます。1936年の地図と照らし合わせ、ほとんど合致することが分かりました。以上のことから九州及び、九州に属する島は1936年ごろにタイムスリップしてしまったと考えられます」

そう言うと他の知事らがざわつく

「今回お集まりいただいたのは、食料、安全保障など今後の方針についてです。1936年にタイムスリップしているのが事実と思って考えていただきたい。明日、午後13時までに福岡県庁までに来ていただきたい」

「福岡県庁までは我々JR九州が安全にお手伝いいたします」


翌日

長崎県と熊本、鹿児島県知事は新幹線。佐賀県は乗用車、宮崎県は特急を利用し鹿児島まで行った後新幹線、大分県は特急列車にて福岡県に到着した。

「それでは始めさせていただきます。各知事の皆様は一人ずつ意見を発表していただきたい」

・・・


決定したこと

・食糧問題 有明海と熊本県沿岸地区のみ漁業の再開。筑紫平野、佐賀平野にてボランティアと自治体職員が共同で農業を行う

・エネルギー問題 政府の貯蓄施設から主に自衛隊、海上保安庁優先に使用。一般人の車の使用を制限。電気については太陽光、風力、地熱を最大限活用する。平日の電気使用を制限する

・輸送問題 九州新幹線(博多ー小倉含む)、佐世保線、西九州新幹線、鹿児島本線(小倉ー博多)(鹿児島ー川内)日豊本線(大分ー宮崎ー鹿児島)のみ運行を再開

・安全保障 警告を無視した場合、攻撃された場合は現場の判断で攻撃が可能

・政治 国の機能を一時的に福岡県に集約。なお防衛省は西部方面総監部が担当する


以上が決定された。



7月23日

第三艦隊旗艦 重巡洋艦足柄

第三艦隊司令官の及川古志郎と第四艦隊司令官の米内光政が話し合っていた

「どうやら九州と連絡が取れないそうですよ」

「それは本当なのか?」

「えぇ、海軍機が偵察に向かったところ、ものすごく早い飛行機に追いかけられたそうです」

「それで我々が偵察のために佐世保に入港しろと?」

「そうらしいです。どうします?」

「先に駆逐艦らを向かわせて状況を見てもらうしかないな」


7月25日

第13護衛隊が関門海峡を通過し、新門司港に入港する

この時帝国側では海軍旗をなびかせた異質な形をした艦船が写真に収められ、新聞記事として出回った。

同日、関門海峡及び北九州(地域)の沿岸部の警備についている


7月26日午前11時

第四艦隊より第一駆逐隊の駆逐艦「神風」「朝風」「松風」「旗風」が佐世保港へ先行した

その様子を第2護衛隊、第8護衛隊が捉えた。

直ぐに護衛艦いせよりヘリコプター 1機が発艦し、偵察に向かうとともに海上保安庁より20mm機関砲を搭載した巡視船あまみと海上自衛隊よりDD117 すずつき、DD109 ありあけ、後方支援としてDDG173 こんごうが派遣された。


駆逐艦朝風

駆逐艦隊の先陣を切っていた朝風は上空に戦闘機らしきものがいるのが分かった。

「総員!対空攻撃に備えろ!」見張り員が声を上げるも戦闘機らしきものが攻撃することはなかった。

暫くして

「前方!12時の方向船影あり気をつけろ」

巡視船と護衛艦の3隻は駆逐艦隊との距離を徐々に詰めていく


巡視船あまみ

この船は九州南西海域工作船事件で銃撃を受けた巡視船である。

艦橋に立っていた見張り員は駆逐艦隊をみて「嘘だろ・・・」と声を上げる

艦長らも声を上げた

そこにいるのは大日本帝国海軍の駆逐艦であった。

すぐに3隻の護衛艦らに連絡を取った。

巡視船は20mm機関砲を備えているが駆逐艦を沈めるほどの威力は持っていない。それでも先陣を切るのはこの船であった。


ある程度近づいたところで電光掲示板を点灯させる

そして旋回をして並走するようにして接近する

マイクをオンにして

「こちらは海上保安庁であるこの先は日本国の領海である。繰り返すこちらは海上保安庁である。停船せよ。臨検を行う」



駆逐艦朝風は海上保安庁と名乗るものから停船命令を受け停船した。他の艦たちは一旦引き返すように命令した。

艦長である原口は「総員戦闘準備をしておけ。乗り込んで占領してくるかもしれない」と指示を出し

船員たちは拳銃を構えた

白い船が徐々に近づいていきぴったりと朝風の横に並ぶ

次の瞬間船員たちは声を上げる

「なんだあれは!」

巡視船とは逆の方向に護衛艦すずつきが待機していた

「海軍旗を掲げているぞ。仲間なのか?」

「落ち着け。我々の任務は偵察。九州で何か起きたのかもしれん」


「すいません。海上保安庁の者です。その旗は海上自衛隊旗でしょうか?所属と名前をお願いします。あ、武装は解除してください。あなた方が攻撃すればあそこにいる駆逐艦があなた方の艦を沈めます」

海上保安庁の臨検部隊は防弾チョッキに89式小銃を持って朝風に乗り込んだ

「まて、お前らは何者だ?我々は帝国海軍の駆逐艦あさかぜの乗組員であるが」

「先ほども言った通り我々は海上保安庁佐世保署よりきた海上保安庁の職員ですが?これ以上は上の許可がないと話すことはできません。我々はあなた方に攻撃をするつもりはありません」

「我々は佐世保及び九州との連絡が取れなくなったと聞き、偵察にやってきた佐世保所属第四艦隊第一駆逐艦隊朝風である」

「なるほど・・・」

海保職員のうちの一人が巡視船に戻る

しばらくして

「第四艦隊で一番偉い方を呼んでいただけないでしょうか。事情を説明いたします」

「どういうことだ」

「とりあえずここに来てもらえるようにお願いします」



重巡洋艦那智

第四艦隊の旗艦として活躍している

軽巡洋艦の由良と第一駆逐艦隊を引き連れ駆逐艦朝風の場所へと向かう

「未来の日本から転移したか・・・ほんとなら海軍はどうなっているのか」

「信じられませんね。転移なんかあるわけがない」

米内の部下があるわけないと話すが、米内自身は未来の艦隊と言うものに興味を持っていた。


そして朝風の近くに到着すると並走するように近づいてきた護衛艦すずつき

総員は驚きながらも砲を回転させ標準を合わせ攻撃準備を取る

「あれが88年後の日本の艦船か!」

米内はその見た目のスリムさ、美しさに感動するも、主砲が一つしかないことに違和感を持っていた。

そこに海上保安庁の小型ボートが近づいてきた。

そして何人かの武装した人々が乗り込んできた


「米内司令官ですね。初めまして。私は日本国海上保安庁佐世保署所属の巡視船あまみ臨検部隊長の大槻です」

「初めまして、大槻部隊長。早速だが九州で何が起きているのだ。未来から来たというのは朝風から伝えられたのだが・・・」

「はい。我々は突如として九州だけ1936年に転移したと考えられます。転移する前には九州沿岸部に霧が立ち込め、海上輸送から何やらすべてが停止しておりました」

「なるほど。未来の日本はどうなっておる」

「それについては上の許可がないとお話しできません」

「ではあの艦船はなんという」

「あれは海上自衛隊護衛艦すずつきであります。駆逐艦と思ってもらって構いません」

「すずつきか。我々は佐世保に帰港し、政府に状況を報告しなくてはならない。入港してもよろしいか」

「はい。まったく問題ありませんが、何隻かは洋上に停泊することになるかと」

「それでも良い。いまから第三艦隊も合流する予定だ」

「はい。あちらの護衛艦すずつきともう一隻、そして我ら海上保安庁が先導いたします」


佐世保港は米海軍の基地もあるのだが、所属艦艇は訓練で沖縄方面に出払っており、船舶の停泊については余裕があった。ここにいた米海軍職員は一時的に佐世保市内のホテルに移動している



佐世保港

「これは・・・」

佐世保港に泊まっていたヘリコプター護衛艦いせに驚くとともに、全く違う佐世保市内の景色に船員らは興奮していた。

少量ながら水や食料が配備され、海上自衛隊のほかに陸上自衛隊も動員されて警備に当たった。



田川市

田川市は福岡県と日本製鉄・九州電力の出資の下、炭鉱が再開されつつあった。

採れた石炭は火力発電として回され、しばらくして余裕ができれば日本製鉄に回される予定であった。

かつて炭鉱町として栄え、衰退した街田川市には再び光が戻りつつあった。

人件費などの問題から石炭の値段はとても高く、発電するのにとてつもない金がかかるので県が支援する形となった。






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