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あちーぶ!  作者: キル
78/246

『亡国の異世界 7つの王国と大陸の覇者』08

~~~ギンカ~~~


 黄里先輩は、木が何もないところから村が見えるって言ってた。ギンガの場所から見える、山で木が何もない場所はここからだと上に登るしかない。


「水なし! 食料無し! 装備は私服! レベル5!」


 これで山に登れるのか!? いや、何とかするしかない。すぐに登るのも危なそうなので、まずは食べ物を探そう。

 ギンガが居る位置と同じ高さの木は何も実がなってない。下を見ると別の種類の木が見えるから、そっちに期待だ!

 山の斜面をズリズリと下がり、木があるところまで下がった。下がりすぎたところでリスポーンすれば元に戻るから問題ない!


 食べ物は――ブドウのような実がある。実の数はブドウの半分以下でサイズはちょっと小さめ。口に入れてみると甘酸っぱい。ダメージも受けないし状態異常もないから食料確保!

 ストレージに次々と収納して、他の食べ物を探す。


 さらに下がったところで緑色の実が生った木がある。木に登って1つもいで手に取る。押し込んでみるとへこむほど柔らかいので、グッと力を入れてふたつに割る。水分が手にかかり、中は黄色い果実と、中央に細長い種が見えた。種を取り出し、果実を食べると豊富な水分の中に、薄っすらとした甘みがある野生の果物だった!


「これはこれで美味しい! 水代わりになる」


 この果物もそこら中にあるので、次々とストレージに放り込む。味としてはもっと甘い方がよかったけど、水分として食べるならこっちのがいい。


 次々と放り込んで、ふと気がつく。ここって、誰か栽培してる? それならすぐに街に行けるからこんな準備しなくてもいいんだけどな。


 ちょっと周りを見渡す。茶子みたいに足跡はわからないけど、柵だったり枝を刃物で切ったりしたような、栽培している痕跡は見つからなかった。野生の果物ってことにしておこう。誰かのだったら謝れば大丈夫!


 幸い、どちらの果実もストレージ内で1か所にスタックするので、ストレージを圧迫することはなかった。


 果実の収納がある程度終わって、周囲を見渡す。東西南北全て山だ。今いる場所は山の斜面の一部に出来た盆地かな。自力で抜け出すのなら、とにかく山に登って位置を確認しなければならない。


 登る山は、今いる斜面の付近にある尖がった山にする。距離が近いし、高く登れそうだから周囲が見渡せそう。登山中に方向が分かれば降りればいいから、頂上まで登る必要はない!


名前:ギンガ 種族:ドワーフ 年齢:15 性別:女

レベル:5 職業:戦士 状態:正常


HP:155/155

MP:70/70


筋力:29

体力:15

耐久:12

敏捷:6

器用:5

精神:4

知力:3

魅力:7

感知:10


ステータスポイント:0

A:6 B:2 C:1


武器:手斧 ナイフ

防具:革の胸当て 普通の服 普通のスカート 普通の靴


スキル:斧1 格闘1 運搬1 木工1 回避1 山岳適応1 土魔法1 肉体魔法1 山岳適応1

固有能力:暗視

特殊能力:剛力晩成


 筋力ボーナスが30%くらいのキャラクターを目指して転生を繰り返したけれど、途中で特殊能力の剛力晩成を入手したので中断した。


剛力晩成(武器や防具の各重量制限が「筋力値×0.1kg」になる)


 重量制限が筋力値に左右される上に、「各」とついている。ベータで試したけれど、予想通り武器や防具それぞれ1つごとの重さ制限だった。今だと筋力が25だから2.5kgの武器を持てるけれど、鎧も2.5kg、兜も2.5kg、小手も2.5kgと各装備ごとの制限になっている。


 じゃあ、さっそく登山……と思ったけれど、枝や折れた木の一部とか持っていくか。捨てるのはいつでも出来るし、ストレージがあるから荷物にならない。


 準備もできたので、目標の山を登る。頂上を見ると傾斜が険しそうだけれど、そこまで高くない場所は傾斜もさほどないから容易に歩いて登れるはずだ。


 さほど時間もかからず、リスポーン地点まで戻ってくる。ここの標高はどれくらいなんだろ。リスポーン地点に木がない理由が森林限界なのか、別の理由があるのか。


「ゲームなんだし、考えてもわからないな!」


 頂上へ向けて歩き出す。このあたりは草が多いから、横にそれて岩肌が見える場所へ移動する。草の中に潜む魔物が居たら危ないから、足元がよく見える場所が一番!


 登ってる途中で、ストレージに入れた長くて丈夫な木の枝を取り出して、杖を木工スキルで作る。岩を道具も無しに登るのは、時々バランスが崩れてしまって良くなかった。

 せっかくなので2本作ったら、登るのが快適になった。

 果物をひとつ食べて水分補給をしつつ、最初に目標にしていた場所に到着する。目指す山の稜線に到着!

 稜線に立つと、周囲の景色がかなりハッキリした。ギンガが居た位置と稜線を挟んで反対側に森が見える。川も見える。あの川を目指して下山すれば街に到着するだろう。


 街に到着するんだけど――山の頂上を見る。

 もう一度この山に戻ってくることはあるのか? ギンガのリスポーン地点だから、今死んだら戻ってくるんだけど、そうじゃない。今後、この山の山頂に挑戦する機会があるかどうか。


「挑むなら今!」


 そう宣言し、稜線に沿って進む。しばらく進み続けると、突然杖が弾かれた。


「なっ!」


 杖を突いた場所を見ると、岩の色に近い、灰色で30センチほどの生物が居た。見た目はカニのような、硬そうな甲羅をした生物だ。


 手斧を取り出して、そのカニを眺める。襲い掛かってくる様子はない。じりじりと距離を取り、落とした杖を拾い上げるが、向かってくる様子はない。

 しばらくにらみ合ってから、カニがどこかへ移動していった。


「セーフ。相手の強さがわからないから、離れてくれてよかった」


 一般的なゲームだと初期の街周辺が初心者の狩場で、街から離れると魔物のレベルが上がってくる。その基準だと、街から遠く離れたこの場所は高レベルな魔物しか居ないだろう。


 無事に戦闘を回避したので、登山を再開しようと登りだしたら、背中から大きな音が聞こえて、強い風が背中を押すように吹き付けられた。


「ドラッ! いや、ワイバーン!?」


 後ろを振り返ると、巨大な翼竜がすぐそばに居た。大きさは小型バスのサイズで、顔つきは大きなワニのようだ。前足は翼と一体化しているようで、翼の先に鉤爪がある。足はその体のサイズからすると意外と細いけれど、サイズがサイズだから足だけでギンガよりも大きい。

 その足には、先ほどのカニを4体掴んでいる。ワイバーンからしたらエサ場にしている場所に別の生物が居る状況。ワイバーンの視線は、確実にギンガを見ている。詰んだ?

 送迎とかで使われるマイクロバスのサイズです。小さいとはいえ人が結構乗れるサイズです。あのサイズの生き物に近接武器を持って戦う冒険者はすごい。

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