『ピッツァ! ピッツァ? シティ!?』24
6番通にあるリーマトさんの家に到着。改めて場所を意識すると、ここは6番通りの真ん中あたりに建っている。
『システム:ストーリーミッションが付近にあります』
リーマトさんの家は、通りに面した場所に芝生があり、芝生の一部には入口の門へ続く道路が続いている。駐車場もあって、車が2台駐車している。1台は全体的に赤い車で、窓や屋根のあたりが緑色なのでトマトを表現しているのかな? もう1代はタイヤのあたりが濃い茶色、中間が赤で、上が緑や黄色の色分け。ピザカラーだね。車を眺めつつ、入口への通路を通って、門の傍にあるインターホンを鳴らす。インターホンから返事が返ってきて、ほどなくしてあの緑の服を着た壮年のメイドさんが現れた。
軽く挨拶をして、家の中へと通される。前回の仕事で来た時とは違って、応接室のような部屋へと通された。調度品が綺麗で、ソファーやテーブルも豪華。チェスト、照明器具、絨毯、すべてが高級な感じがする。
そこでは、リーマトさんの他に奥様のモーリエさんと息子のスインさんが居た。スインさんはまだ手を包帯でしっかり巻いている。
「招待に応じてくれてありがとうございます。こちらの席に座ってください」
リーマトさんのその言葉を受けて、案内してくれたメイドさんがソファーへと誘導してくれる。
マーレさんは手土産を持ってきたようで、ソファーに座る前にリーマトさんに渡していたのを見て、そこに気が付かなかった自分が恥ずかしくなった。
[アカネ]大人だなぁ、マーレさん。全然思いつかなかったよ。
[チャコ]ピザを持ってきたらよかった~。
周りの人は気にして無さそうだけど自分としては失敗したと感じたので、今度から気を付けよう。
「改めて君たちにお礼を述べたい。息子を助けてくれてありがとうございます」
メイドさんを除く6人がソファーに座ってすぐ、リーマトさんからお礼の言葉と共に、一家3人が頭を下げた。
その後も、奥様やスインさんからのお礼の言葉を受けて、事故の話へと移った。
固定金属を外した実行犯は捜索中とのこと。
あれから他の護衛艦の固定金属を調べたところ、外れている護衛艦はなかった。それを踏まえて、あの場で働いていた護衛艦の職員が実行犯だと絞り込んだそうだ。
[アカネ]先輩達って連絡してたよね? 他の護衛艦は固定金属を外さなかったんだね。
[チャコ]連絡内容が中止か延期なんじゃないかな~?
アームの問題は整備不良ということで決着が付くらしい。
「それについて、お願いがあります」
タイミングもちょうどいいので、建築現場の話を伝えた。同じようにT字アームの不具合があったこと。その不具合も制御装置を変更したら直ったこと。直る前後の制御装置の型番と個別番号についても伝えた。
地震についても、関連があるかわからないけれどと前置きをして、気が付いたことを話す。
私たちの話を聞いて、リーマトさんはスインさんに目を向け、スインさんが部屋を出た。今から調べるので、少し待ってほしいとのこと。
「そういえば、マーレさんはミテラさんのお友達よね。どんな方なのかしら?」
スインさんが出て行ったあと、奥様がマーレさんへの質問をするが、その内容でピンと来た。スインさんの行動が把握されている!
「見た目の印象がそのまま性格に現れた感じでしょうか。人当たりもよく優しいですね。リーダータイプではないけれど、誰もそれをしないのであれば進んでリーダーになるくらいには行動力があります」
他にも学力や趣味など、色々聞かれては答えるマーレさん。これは、マーレさんも知っているのかも?
「ところで、奥様はこの流れになると最初から狙ってらしたのですか?」
「さすがに事故までは想定はしていなかったわ」
マーレさんの質問に答える奥様のやり取りがわからなくて、何となくマーレさんを見る。すると、マーレさんがこちらを見て、
「アカネちゃんは、依頼をする時に奥様が『ご主人がお待ちになっていたら』って話されたのを覚えてますか? あれで私たちが独身かどうか確認したんですよ。おそらく、スインさんの相手として見られていたはずです」
「出会いの場を増やしただけですわ。アンダーピールではそうそう新しく女性と会うことは無いのですから。女性棟への案内を男のスインにさせるようには働きかけましたけれど、スインの相手候補であると本人には伝えていませんもの」
それで、スインさんが案内をしていたのか。私達と交流する機会を増やすために。
「私としては、アカネさんは筆頭候補でしたのよ? 子どもへの気づきを最初にしたのですから。それでも、誰を選ぶかはあの子次第。お見舞いをしたときに見た限りでは、ミテラさんも素敵な女性と知ったので、私としてはいい結果に落ち着いたわね」
そう言った奥様はなんだか嬉しそうだ。きっとミテラさんをかなり気に入ってるのだろう。
[チャコ]やっぱり負けヒロイン~?
[アカネ]違うから!
応接室から場所を変えて、食堂へ移動する。先日、ここでケータリングをしていた部屋が、普段は食堂として使われているらしい。広すぎないかな? お客さん用?
テーブルに着く頃にはスインさんも戻ってきていて、6人で食事を取ることになった。
コース料理のようで、最初は丸い皿に小さな一口ピザで、具材はカプレーゼ。
次はトマトスープ。スープだけどお皿が焼き固めたピザ生地。
その次はコーンとチーズがたっぷりの四角いピザが登場した。コーンがチーズと絡み合っていておいしそう。食べやすいように生地の部分が小さくカットしてあった。そういえばピザカッターが無いな。コース料理だと無くても食べられるようにして出されるのかも。
テーブルマナーとかわからないけど、好きに食べていいと言われたので、外側のカトラリーから使うってのだけは記憶にあるので、その順番で手に取ってなんとか食事をする。
食事中は話をしていいのかどうかわからなかったけど、リーマトさんが話しかけてくれるので大丈夫なんだとホッとした。
「そういえばスインさん、うちのミテラをよろしくお願いします」
穏やかな食事の中、マーレさんがスインさんへと一気に切り込んだ! 案の定スインさんが食事の途中で咳き込んでいる。
「な、なんでそれを?」
「私はミテラの友達ですから。あなたの話をするミテラを見ればわかります」
すました顔で、何でもないというふうに話すマーレさん。
「あら、マーレさん。それはどういうことかしら?」
初めて聞いたみたいな声音でマーレさんに質問をする奥様。予定通りです。
「スインさん?」
マーレさんがスインさんを見て首をかしげる。言ってしまっていいのかと。
「いや、ちょ……。んんっ。大丈夫、自分で言えます。父様、母様。まだ本人へはっきり伝えてはいないのですが、ミテラさんとお付き合いをしたいと考えていまして……」
「まぁ、ミテラさんですか。けど、まだお付き合いはしていないのよね?」
「タイミングを見て切り出す考えです」
「退院をしたら、ふたりきりでピザを食べたいとおっしゃったようですよ」
「ちょ! マーレさん!?」
「ミテラの手を握ったようですね。ミテラ本人は気が付いてないようですが、指のサイズ測りました?」
「ぐっ」
「そこまで考えてるのね。退院したら今度連れてきなさい。もちろん、申し込んだ後でね」
「う、はい、母様」
この数分でスインさんの体力が一気になくなっている。ただ、恥ずかしがっているだけで否定はしていない。
マーレさん情報では、ミテラさんが拒否することはなさそうってことも、奥様が張り切ってる原因だろうけどね。何にしてもいい方向へ進むと良いな
そうしているうちに、次は生ハムたっぷりのピザが運ばれてきた。これも綺麗に切られているので、食べるのがとても楽だ。
次はデザート。なんとチーズケーキが出てきた! この世界でピザじゃない食べ物は貴重品!
「久しぶりに母様のコールドピザを食べました」
「これ、奥様が作ったのですか?」
「ええ、コールドピザを作るのが趣味なの」
ケーキじゃなくてコールドピザだった。薄くしっかり焼いたピザ生地を細かく砕き、バターと混ぜつつ、金属輪のセルクルの底にそれを押すように敷き詰め、冷やして固め土台を作る。その上に生クリーム、チーズ、ゼラチンなど色々混ぜ合わせたクリームを入れて冷やし固めるピザだそうだ。
「美味しいです~」
「うん。すっごく美味しい!」
ピザとは思えないほど甘くて冷たくて美味しい! いや、ほぼチーズケーキなんだけどね。
「ミテラさんはコールドピザは作るのかしら?」
「ミテラはピッツァ家政科なので、調理は好きだと思います」
「一緒に作れると嬉しいわね」
そしてジワジワと追い詰めていく奥様。スインさんはコールドピザを味わえているのだろうか。
デザートが食べ終わり、飲み物をいただいて寛いでいると、リーマトさんが、
「先ほどの話で少しわかったことがあるので、場所を移して話をしましょう」
とのことで、リーマトさんの書斎へと移動した。
ピザだけのコース料理ってどうすればいいか迷いました。とりあえず見た目がピザであればいいだろうということにしました。




