『亡国の異世界 7つの王国と大陸の覇者』235
ホツナルさんが一緒にいるから、学校に問題なく入れた。かなり前に研究者として学校に登録してあるんだって~。授業はどうしてるのか聞いてみたら、数年ごとに半年の期間だけ授業を受け持っているらしい~。
そのまま学校のダンジョンまで移動してから、周辺の気配を探ってみた~。近くに誰かの気配が無いようなので、入るなら今がチャンスかな~。
「ちょっとまっててね~」
ホツナルさんに何も説明することなく、妖精の国へ移動~。多分不思議に思ってるだろうけれど、実際に見せた方が早いからね~。
妖精の国は、さすがに数時間では木々の配置などは変わっていない。とはいえ、どこにクォックちゃんが居るかはわからないため、魔力の流れを確認しながら吸い込まれていく方へと移動する。
移動途中で白いもこもこを発見~。多分ランちゃんだ~。
「ランちゃ~ん?」
地面に丸まってた白いもこもこが立ち上がって、ウサギの顔がこちらを向いた。ウサギの顔を見分けるのは難しいけれど、雰囲気はランちゃんと一緒だ~。
「チャコちゃんピョン! さっきぶりだピョン」
「さっきぶり~。あのね、クォックちゃんってどこにいるの~?」
「クォックちゃんに会うのだピョン? すこし待つピョン」
立ち上がったランちゃんは、耳を色々と動かして、鼻をぴくぴくさせている。すごくかわいいけど、表情が真剣だから何か調べものをしてるのかもね~。
「ついてくるピョン」
ランちゃんは調べてる動作を止めて、一方に向かって二本足でピョンピョン跳ねながら移動を開始した。その背中を追いかけながら進むと、ルックちゃんが飛んでいるのが見えた。
「ルックちゃ~ん」
「あ、チャコちゃん、さっきぶりですよ」
「さっきぶり~」
ルックちゃんに近寄って胸の高さで両手を合わせる。ピクシーは飛んでいるから見つけやすいね~。
「さっきぶりだコン」
ルックちゃんの下からは、穴の空いた地面に埋まってるクォックちゃんが顔だけ覗かせていた。
「クォックちゃんもさっきぶり~。ランちゃん、ありがとうね~」
「妖精探しは得意だピョン!」
背筋を伸ばして胸を張るランちゃんの姿はすごくかわいい~。けど、すごく頼りになって助かったよ~。
「クォックちゃんにお願いがあるんだけど~、座標の魔法を外のエルフの人にも調べさせてほしいんだけど、都合が悪かったりするかな~?」
「妖精の国に入れるのならいいコン。クォックが外に行くことはないコン」
外じゃなくて妖精の国なら良いのか~。てっきり、部外者は妖精の国に入らせないってことがあるのかと思ったけれど、出ていく方が良くないのか~。
「ありがと~。入り口付近でいいかな~?」
「わかったコン」
クォックちゃんは穴から出て体に着いた土を払い、二本足で妖精の国の出口へ向かう。ルックちゃんは一緒に来てくれるそうだけれど、ランちゃんは「それじゃ、またピョン」と言って別れていった。忙しそうなのに手伝ってくれたんだね~。
移動中にフップちゃんはどこに居るのか聞いてみたら、魔力が入り込む場所でしばらく過ごしたいみたい~。魔力が入ってくるのが面白いんだって~。
ふたりに出口付近で待ってもらい、元の世界に戻るとホツナルさんのお腹が目の前に見えた。あたしが入った入り口を調べていたみたい~。
「あ、チャコちゃん! どうなってるのこれ。チャコちゃんは中に入るし、よく見たら傷がひとつもなくなってる。ダンジョンの裏面って何もないんじゃないの?」
あたしに気が付いたホツナルさんは、勢いよくしゃがんであたしと目を合わせて話しかけてくる。
「えっと~、これ妖精用の入り口だよ~」
細かい仕組みはわからないので、知っていることを簡単に伝える。
起動していない入り口へ自発的に入れるのは今のところあたしだけだから、ここにあるからって他のエルフが際限なく入れるようになることはない。けど、調べものが好きそうなホツナルさんだからな~。そのうち自力で入れるような魔法でも生み出すんじゃないかな~?
「妖精の国の人たちに迷惑がかからないように、話を広めないでね~」
「もちろん。妖精に嫌われたらどうなるかわからないからね、慎重にもなるよ」
NPCの妖精への接し方に関係するんだけど、良いことをすれば良いことが、悪いことをすれば悪いことが返ってくるって考えなので、妖精にとって悪いことをしないよう気を付けてくれるのは助かるよ~。
周囲の気配を探り、他に人が居ないのを確認してホツナルさんの手を取る。
「今から入り口を開くから、中に入るよ~」
「中に! おねがい!」
妖精の国への入り口を開く。ダンジョン裏の壁が光ったので、その中へホツナルさんを誘導し中に入れて、あたしもすぐに入る~。
妖精の国に入ったら、ホツナルさんがルックちゃんとクォックちゃんと目を合わせてるよ~。
「チャコちゃん! ここはいったい? ダンジョンとは違うみたいだけど!」
あたしが入ったのを確認したところで、すぐに質問がとんできた。わかる範囲のことを簡単に説明したよ~。妖精の国だと分かったら、「物語にしか出てこない場所だと思ってたよ」とずいぶん興奮した様子。思ってたよりレアな場所なんだね~。
軽く場所の説明をした後、ホツナルさんをルックちゃんとクォックちゃんに紹介した。
「ホツナルさん、こちらが例の魔法を使うクォックちゃんだよ~」
「は! いえ、すみません。ええと、クォックさん。私はチャコちゃんに要請を受けて魔法の調査に来ました。魔法の調査を行ってよろしいでしょうか?」
こくこくと頷くクォックちゃん。しぐさが可愛い~
「先に解析用の魔法を使うので、その後で魔法を使ってください。――[アナライズマジック]」
ホツナルさんの両手の間に光が現れた~。魔法の解析をする魔法っぽいね~。
その魔法の発動を確認した後、クォックちゃんが魔法を発動する。魔法の発声言語は、普通の魔法とも妖精魔法とも違う独自の発音だった~。
そのクォックちゃんの魔法の発動を前に、ホツナルさんは手元の光をかざすようにして集中している。クォックちゃんの魔法はすでに終わっているけれど、ホツナルさんの魔法はまだ持続中。しばらくした後、ホツナルさんの手元の光がゆっくりと小さくなって消えていった。
「うん、解析できた。チャコちゃん、知識魔法専用の魔法じゃないのはわかりました。魔法名は[ロケーション]。取得可能な魔法スキルは、知識魔法、探索魔法、情報魔法です。便利そうなので私も覚えたいのですけど、良いでしょうか?」
最後の言葉は、クォックちゃんに向けて話をした。クォックちゃんは「大丈夫コン」と言ってるので、教えることに問題はなさそう~。
魔法の手順をホツナルさんが教えてもらってる間に、ルックちゃんとお話をする。外の世界に出れらる場所が他にあるか聞いてみたところ、何か所か知っているんだって~。少しだけ紹介してくれるみたいなので、ホツナルさんが魔法を覚える間に案内をしてもらうことに~。
地面に9割ほど地面に埋められている入り口が離れた場所にあって、ここは出入りができないみたい。あたしならきっと入れるけれど、次にいこ~。
さらに先へと進むと、岩のような物に埋まってる入り口に案内してもらった~。これはピクシーサイズの隙間だけ岩が削られて中が見えている。これは誰でも通れるみたいで、よくピクシーが使う通路になってるみたい~。中に入ると、周囲が岩だらけの場所に出て場所がよくわからなかった。そのまま上空へ飛ぶと、遠くにはヴィナス王国の王都が見えた。ヴィナス王国の王都は他国と比べて一番中心に近い場所にあるから、今いる山はほぼ大陸の中心部にある山で間違いなさそう~。
妖精の国に戻って、別の場所に案内してもらう。ルックちゃんもあたしも飛んで移動しているから距離感がつかめないけど、徒歩で歩くと遠いかもしれないな~って思うほど離れた位置まで移動して、次の出口に到着した。
ここは人が屈んだら外に出られるかもしれない程度に広い出入口だった~。出入りは閉じて使われてないらしい~。ルックちゃんに少し待ってもらうようお願いして外に出ると、場所が山の中なのは変わらないけれど、牧草地のような草が一面に広がっている景色の場所に出た~。雰囲気からすると、多分サアターンだよね~。
元に戻ろうと振り返ると、あたしについてきたのかルックちゃんが外に出ていたので、本人が満足するまでこの周辺を一緒に飛び回って妖精の国に戻った~。クォックちゃんとちがって、ルックちゃんは外に出ても気にしないんだね~。
外に出たことで、今が夕方に近い時間なのはわかった。今のペースのまま案内してもらうと夜になりそう~。妖精の国の出入口は、このまま進むとマアズ、マーキュリ、ウラーヌスの順になるんだろうな~。
「あと3か所~?」
「はい。有名な待ち合わせ場所は残り3か所なのですよ。細かいところも入れると沢山あるのですよ」
出入口は、もっと小さな欠片だけの場所もあるらしくて、魔力を込めれば利用できる場所もあれば、どうやっても通り抜けられない場所がいくつかあるんだって~。そういった場所は、向こう側が地面に埋まってるのかもしれないね~。
マアズの位置を遠目で確認して、マーキュリの場所と思われる場所へ案内してもらう。ここも地面に埋まっていたけれど、頑張れば人も通れるかもしれない程度には入り口が露出してるよ~。
入り口は利用できない状況なので、あたしが開通させるしか手段がない。今は初期時代だから、強力な魔物が沢山いるとは思えないけど、ギンガは中央の山でワイバーンに遭遇したんだよね~。またルックちゃんが付いてくるかもしれないし、中に入るのはひとりのときだけにしよう。
入りたい誘惑を振り切って、先へ進む。最後のウラーヌスと思われる場所をマアズと同じように軽く見るだけにとどめて、元のジュピィタの入り口に戻ってきた~。
エルフは妖精種なので、時間をかければ妖精の国に入れるようになる魔法を開発できます。それ以外では、妖精のように魔力を込める行為を何年も継続すれば、開通も可能です。




