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あちーぶ!  作者: キル
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『亡国の異世界 7つの王国と大陸の覇者』234

 クォックちゃんに魔法を教えてもらうためにも、一度外に出て【知識魔法】を調べないとね~。また会えるか聞いてみたら、散歩が趣味のクォックちゃんはわからないけど、フップちゃんは同じようなところで過ごしてるから、すぐ会えるみたい~。


「また遊ぼうね!」


 お互いに約束をしてから、妖精の国から元の世界に戻った。

 戻った先は、入った時と同じく学校にあるダンジョンの裏側。周囲に人がいないから、出てくる姿を見られなくてよかった~。

 ダンジョンから離れて、教室の中を外から確認出来るところまで飛び上がると、シェリマさんたちが教室に戻って授業を受けている姿が確認できた~。もうダンジョンの実習は終わってたのか~。

 外に面した窓が開いていたので、そのまま教室へ飛び込む。何人かの生徒はこちらを見たけれど、すぐに視線を前に戻して勉強に集中する。今は魔道具の授業っぽいな~。興味はあるけど、今じゃないんだよね~。

 教室には、前に立って授業の内容を説明している先生と、教室の机の間をうろうろと歩いてる先生がいる。歩いてる先生は暇そうだから、質問してみよ~。


「あの~、少しいいですか~?」


「うん、いいけど小声でね?」


 男性の先生は口に指をあてて、小声で話すように注意をした。たしかに、普通の声で話をすると前にいる先生の邪魔になるかも~。

 小声でも聞こえる距離まで移動しようとしたら、先生が手招きしながら教室の後ろへと移動したのでついていくことに。小声で話をしても、教室の真ん中だと目立つもんね~。


「それで、何か質問かい?」


「うん。【知識魔法】って、どうやって覚えるの~?」


 ホツナルさんに聞くのもいいけど、【知識魔法】っていうくらいだから、学校に身近な魔法だと思うんだよね~。どうせ学校に居るのなら、先生に聞くのが手っ取り早そう~。

 そう思ったけれど、先生からの回答はすぐに来なかった。それどころか、少し悩んでる感じがする。


「【知識魔法】は、意図的に覚える魔法ではないんですよ。研究者が自分の研究をしている最中に、偶発的に覚えることが多い魔法なんです。授業を受けるだけの学生では【知識魔法】を覚える例は少ないので、おそらく自発的に研究を進めることが魔法習得の手段だと思われますね。とはいえ、研究者が必ず覚えられるわけでもないので、『どうやれば魔法を覚えられるのか』についてははっきりしてないんです」


 訓練方法が研究か~。冒険ばっかりやってると覚えそうにない練習方法だから、あたしが今から覚えるにはハードル高いかな~。

 先生にお礼を言ってから、シェリマさんの元へ戻る。机の上に降りて、勉強の様子を眺めると、大きなメモ帳にペンで授業の内容を書き込んでいる。前の壁に書かれている内容だけじゃなくて、時々矢印を引っ張って別のところにメモを取っているのを見ると、先生が話している内容の一部を書き込んでるみたい~。

 しばらく先生の話を聞いていたら授業が終わり、下校の時間になった。お昼前に終わるのはあたしたちの学校と同じだけど、実質勉強時間は3時間か~。時間加速してないから、短くていいな~。

 先生や他の人たちに挨拶をしてから、シェリマさんにと一緒に校舎を出る。学校に来た道を戻るように、シェリマさんとエティセリさんは坂を下る。


「学校って早く終わるんだね~」


「他の国はわかりませんけど、午後は先生たちも自分の研究を優先させるからでしょうね。午前中はそれぞれが持ち回りで教えているみたいです」


「興味がある授業を受けるだけだから、毎日通う必要も無いんだよね」


 ふたりは一緒に通うことを優先させているようで、お互いに科目を合わせて学校に行ってるんだって~。学校では好きな授業を選べる上に試験が無いらしい。さすがに学校所属の研究員になるには試験が必要らしいけどね~。


 学校生活の話を聞きながら下校し、途中でエティセリさんともお別れする。家に戻っても先輩たちは室内ではなく、外で訓練を続けていた。


「ちゃちゃが学校に行ってる間にモエギとあおりんから連絡があったんよ。急ぎじゃないけど、近いうちにサアターンで合流しようって話らしいんよ」


「急がなくてもいいの~?」


「あおりんがヴァンパイアの村を探すそうだから、それの後らしいんよ」


 蒼奈も進化について調べたいらしくて、手がかりがマアズ王国にあるらしい。向こうのみんなが手助けするんだって~。

 このことを未黒先輩がサリアスさんに話したら、好きなだけ泊って良いって言われたらしい~。出来るだけお手伝いしないとね~。


 進化の訓練をしている先輩たちから離れて、ホツナルさんが居る離れの書庫へと移動~。閉まり切っていない窓の隙間から中に入り、ホツナルさんの机へと向かう。


「ただいま~」


「おかえり。学校はどうだった?」


「興味深かった~。ダンジョンがあるんだね~」


 学校について話をした後、学校の先生にも聞いた【知識魔法】についての質問をしたけれど、答えは全く同じだった。やっぱり研究者じゃないと覚えられないらしい~。


「知識呪文で使いたい魔法でもあるのかな?」


「えっと~、土地の現在位置がわかる魔法を知ってる人がいるんだけど~、知識呪文で使ってるって本人が言ってるんだよね~。教えてもらうのなら、あたしが知識呪文を覚えてから行くのが手っ取り早いかなと思ってたんだよ~」


「ふむ。知識呪文にその手の魔法は無いから、後で作り出した魔法の可能性が高いね。だとすると、それを覚えたいだけなら別の手段が取れる可能性はあるな」


 ホツナルさんは、机の上で何か書いてた手を止めて、ペンをペン立てに刺した。


「[ウォーターボート]のように、元々魔法として登録されていない魔法は、別系統でも使えるようになることが多いんだ。水魔法と移動魔法、どちらでも[ウォーターボート]が覚えられる。それと同じように、その位置を知る魔法は知識魔法以外でも覚えらえる可能性はあるよ」


 そういうものなんだ~。確かに、蒼奈は水魔法で[ウォーターボート]を使ってるけれど、未黒先輩は移動魔法で使ってる。最初から覚えていない魔法だから、プレイヤーが覚えやすいようにどの魔法で使うかの選択の幅は広いのかもね~。


「ただ、その魔法がどの系統で使えるかは調べなければわからない。もしよければ、その魔法を教えてくれる人を紹介してくれることは可能かな?」


 うーん。ホツナルさんは信用できそうだし、エルフだから通過もできそうだから、連れていくことはできるんだけど、問題は相手が良いと言うかどうかだよね~。


「相手が良いって言うのならいいですけど~」


「もちろん。さて、どこに行けばいいかな? 国内?」


 いつの間にか立ち上がったホツナルさんは、既に出かける服装に変わっていた。ストレージから出したんだろうけど、着替えるのも一瞬だ~。


「いきなり移動していいの~?」


「興味深そうな魔法だからね。できれば私も覚えてみたいと思ったところなんだ。都合が悪ければ後日でも問題ないよ」


 そうは言うものの、すぐにでも移動したそうな表情をしている。よっぽど魔法が知りたいんだね~。今回は近場だからすぐ案内できるけれど、魔法であれば距離に関係なくホツナルさんは興味を持ちそう。遠距離だと相談も慎重にしたほうがいいのかな~?


「じゃあ、学校にいこう~」


「ん、学校にいるのか。そんな人いたかな……」


 離れの書庫を抜け出し、先輩たちにまた出かけてくるって伝えた後でさっき戻ってきた道を進む。クォックちゃん、さっきの場所に居るといいな~。

 茶子たちの勉強は、専用ポッドに入ってシープ上でその日覚える内容を各自で覚えるスタイルです。学習のペースが遅ければ、時間加速(最大10倍)によって授業時間が増えていきます。

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