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あちーぶ!  作者: キル
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『亡国の異世界 7つの王国と大陸の覇者』232

 しばらくすると、シェリマさんたち生徒が集合している場所に先生がやってきた。ここにいる生徒はシェリマさん含めて3人で、これからダンジョンに入って狩りの訓練をするらしい。


「チャコさんはどうしますか?」


「ダンジョンの入り口で中を見たら、すぐに出るよ~。狩りの邪魔になりそうだから~」


 ダンジョンの中も見たいし、あたしが狩りをするわけじゃないから邪魔をしたくない気持ちもあるし、妖精の国に入りたい気持ちもある。とりあえず、やりたいことは全部やっていこう~。


 先生が今日の狩り目標と数を話した後、シェリマさんたちはダンジョンに入っていく。普段からこのダンジョンで狩り慣れてるっぽいし、細かい注意点は無いんだろうね~。

 ダンジョンに入る先生に手招きをされて、一緒について中に入る。あたしは部外者だから、先生が引率なのかも~。

 中に入ると、草原と森林のふたつに別れた境目に出た。草木が青々としていて、気温も心地よい暖かさで、春を思わせる雰囲気のダンジョンだ~。


「このダンジョンでは、いくつかの草木以外は、小型の動物系の8種と、鳥系が3種類の魔物しか出現しません。花や虫など、この環境にいるのが当たり前と考えられる生物は今まで見たことがありません。魔物のドロップや採集できる薬草が少ないため資源に乏しいですが、非常に安全なダンジョンとなっています」


 ダンジョンの資源は、有用であればあるほど難易度が上がるらしいから、このダンジョンは資源が少ないことが逆に練習としては便利につかえるみたい~。


 今日の授業の目標となる魔物は森林の中のようで、シェリマさんたち生徒は森の中へと入っていった。


「チャコさんはこの後どうしますか?」


「少し見てから外に出るよ~」


「わかりました。私はこれから生徒を追いかけます。出入口周辺には魔物が来ないのが分かっていますので、もしこの場所から離れる場合は危険の少ないダンジョンですが、チャコさんも気を付けるようにお願いします」


 先生はそう言い残すと、生徒たちの後ろを追いかけていった~。

 その様子を見送った後、少し上空に飛んでみる。景色はあまり変化が無いな~。草原の方は多少の起伏はあるけれど、何かがあるようには思えない。時々魔物は見かけるけれど、大きなネズミのようなのがパラパラと広がってるだけだよ~。森林の方を見ても、木々が見えるだけで魔物の姿が見えない。こちらは起伏もわからない状態でずっと遠くまで広がっている。これだけ広いのに魔物の数も少なくて素材も少ないのか~。


 見たいものも見れたので、地上に降りてダンジョンの出口に戻る。……ちょっと気になったので、出口の裏に回り灰色の壁に手を当てて【妖精の隠れ家】を使ったけど、変化なし~。こっちは完全にダンジョンの出入口としてしか機能してないのか~。


 ダンジョンから外に出て、周囲に対して【気配察知】をしてみたけれど、特に誰かが潜んでいる様子はない。

 それじゃあ、妖精の国に入ろう~。

 入り口の裏側に手を当てて、【妖精の隠れ家】を発動。するりと妖精の国に入る。


「お~」


 妖精の国に入った瞬間、語彙がなくなった気がするよ~。

 日差しは明るくて、気温はお昼寝に最適な感じの暖かさ。

 周囲には様々な花が咲き乱れている花畑がみえるよ~。自然に咲いたとは思えないような綺麗にまとまってる景色だ~。人の手が入った花壇のような綺麗さだね~。

 すぐ近くには透明で涼しげな川が流れていて、水音を聞くだけで気持ちが落ち着く感じがする。

 ほんの少し離れた場所にある樹木は、果物っぽい薄赤色の綺麗な何かが実っている。

 もしおとぎ話に妖精の国が出てくるのなら、まさにこんな雰囲気って感じがするよ~。ニャットちゃんのところも幻想的だったけど、あっちは不思議な森の中って感じだったからね~。


 妖精の国だからか、花の周りを飛んでいてもおかしくないような、花の蜜を吸う虫はいない。近くに植物以外の生物が居る様子もないな~。【気配察知】にも反応がない。

 【魔力感知】を使って、周辺魔力の流れを確認~。まだスキルレベルが高くないから遠くまで調べることはできないけれど、それでも近くの魔力の流れを感じ取ることができた~。空中を漂っているんじゃなくて、ある方向に魔力が流れていってるみたい~。


 その魔力の流れを追いかけるようにして先へ進んでいくと、【気配察知】に反応が現れた。その方向を遠目で見ると、あたしと同じピクシーが飛んでいた~。


「こんにちわ~」


 多少近づいてから、手を振って挨拶をする。相手もあたしの姿をみると、ふよふよ飛んでいた状態からこちらに体全体を向けた。


「こんにちわー 初めましてだ!」


 両手両足をXの字になるように思い切り伸ばして、あたしに挨拶をする妖精さん。仲良くなれそう~。

 距離を詰めて片手をあげると、向こうも片手をあげてハイタッチ。


「初めまして、チャコです~」


「初めまして、僕はフップ!」


 フップちゃん。見た目も体形も女の子だから、蒼奈と同じような僕っ子かも~。見た目の雰囲気は人間の方の茜かな~?


「チャコちゃんはどこから来たの? 見たことない妖精って久しぶりだよ」


「あっちの入り口から来たんだよ~。人間が居るところからね~」


「おー。チャコちゃんって、あれに入れるんだ!」


 フップちゃんは、あたしが来た方向に向けて、目の上に手でひさしを作って遠くを眺めるしぐさをする。結構距離あるけど、スキルで実際に見えてるのかも~


「フップちゃんはどこかに行く途中だったの~?」


「うん。みんなが集まる待ち合わせ場所に行ってみようかなって。誰かいるかもしれないからね。チャコちゃんも行ってみる?」


「うん、行ってみたい~」


 よく集まるってことは、何か目印になる目立つものがあるのかな~? この周辺は建物もないし、大きな岩みたいな目印になりそうなものもないから、ちょっと気になるよ~。それに、他の妖精にも会ってみたいよね~。


 フップちゃんの案内でしばらくふわふわと漂う。フップちゃんの飛行速度は速くないので、のんびりと目的地向かうことに~。

 移動の途中でこの妖精の国について聞いてみたけれど、気候はずっと変わらないままなんだって~。その代わり、雪が降り続けたり霧で覆われ続けている場所もあるらしい~。そういう意味での変わらないってことなのか~。


 使い続けていた【魔力感知】の反応がだんだん強くなってきた。今向かっている場所は、魔力が流れていく方向で間違いなさそうだね~。


「あれだ! 他の子も集まってるよ」


 進み続けた先では、空を飛んでいるピクシーや地上に2足歩行で立っている小型の動物が集まっていた。


「やほー!」


「あ、フップちゃん。その子は?」


「さっき知り合ったチャコちゃん!」


「チャコです、よろしく~」


「よろしく、私はルックですよ」


 ハイタッチをしようと手を差し出したら、ルックちゃんは掌を肩の高さの位置まで上げて止めたので、若干斜めに下がるハイタッチになった。

 ルックちゃんもピクシーの女の子。ピクシー種って女の子ばかりなのかな~? 性別制限とかあるのかも? プレイヤーは男女関係なくピクシーがほぼいないから、NPCからしかピクシーの情報が集まらないんだよね~。


 地上にはウサギやキツネが居る。どちらも子どもっぽい見た目で二足歩行をしている。ふたりにも自己紹介をして、ウサギの方はランちゃんで、キツネの方はクォックちゃんって教えてくれた。ランちゃんは白いもこもこした毛の子ウサギで、クォックちゃんは茶色と白色の毛におおわれた子ギツネ。立って歩く動物って、絵本のキャラクターっぽくてかわいいよね~。


「この場所ってどんな場所なの~? 魔力が入ってるよね~」


 魔力が緩やかなペースで地面に引き込まれている。この穴を中心とした周辺魔力がじわじわと引き寄せられて地面の穴に吸収されてるから、中に何かあるのかもね~。


「魔力が中に入ってる以外はわからないピョン。少し穴を掘ったけど何もないピョン」


 今見える穴は、穴掘りが得意なランちゃんが掘った跡らしい。本来は穴もなく平らな地面で、最初はその状態で地面に吸い込まれていたんだって~。


「魔力が吸い込まれて、大丈夫なの~? なくならない~?」


「ルックちゃん、魔力ってなくなるものなの?」


「なくなったの見たことないですよ」


 フップちゃんとルックちゃんがお互い顔を見合わせた後であたしを見てくる。そういえば、この世界は魔力が充満しているから、存在するのが当然なんだよね~。

 とはいっても、あたしも魔力がなくなるかどうかなんて知らないから、正解がわからない。無限にあるのかもしれないね~。

 立ち上がる動物たちのイメージは、ピーターラビットを思い浮かべながら書いてます。なお、ウサギを思い浮かべるとウォーターシップダウンが連鎖的に頭をよぎります。

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