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あちーぶ!  作者: キル
28/390

『プラモワールド統合版』14

「トキノちゃん、がんばって!」


「落ち着いて戦おうね」


「アオナさんに教わったこと気を付けます」


 そう言い残して、鴇乃ちゃんはバトルポッドに向かった。


「アオナ、好かれてるよね?」


「そう? 助言しただけなんだけど」


 蒼奈のが、より慕っている感じがする。わからなくはないけどね、蒼奈だし。


「気安さはアカネだとおもうけどね」


「そうかなぁ」


 鴇乃ちゃん談義をしていたら、試合が始まるアナウンスが聞こえた。


『それでは、3位決定戦! トキノ選手対クレスト選手!』


~~~~~~


『Plastic Model Battle!』

『Countdown!』

『5・4・3・2・1』

『Battle Begins!』


 ステージに入った途端に降り注ぐ雨。視界はかなり悪い。飛び出すように飛行した黒騎士を駆るクレストは、一旦停止した。


「雨の戦闘は初めてだが、海と同様にセンサーの反応が悪くなるのか?」


 地上に降りて様子を見ることにする。相手は飛行型なので、空を飛んでくるだろう。木々は点々としか生えていないから森ほど隠れられる場所はないが、雨と地上の遮蔽物でセンサーから外れることは容易そうだ。


 しばらく待機していると、センサーに相手の反応が表示された。そして、相手はかなり接近しているのもわかる。


「普段の反応より手前でしか表示されない。やはり雨はセンサーを阻害するようだな」


 向こうからばれているかわからないが、先制攻撃のチャンスだ。筒バーニア5門を全部向けて、一斉に斉射する。2門ほど相手に直撃をするが、あまりダメージを受けている様子がない。


「表面のビームバリアと、雨による減衰?」


 ビームバリアだけでは説明がつかないレベルでダメージが減っている。となると、ステージ特性か。水中だとビームはかなり減衰するが、それと同じ状況が雨の中でも起こっているのだろう。


 そうなると有効なのは実体兵器だ。しかしクレストの場合、実体兵器を有効に活用するには巨大な手になる必要がある。手段は二つ。相手を掴んで爆発するか、同じく相手を掴んで握りつぶすかだ。

 先ほどの試合では爆発で倒しきれなかったが、防御のためだけのサテラ武器をあれだけ周囲に展開できる相手などそうはいない。今回、相手をまとめて掴めたら爆発してもいいし、花びら1枚だけなら握りつぶしてもいい。少なくとも、PBC3つ積んだ手なので、握るだけで相手の装甲を貫けるパワーがある。

 相手のビーム攻撃も減衰して威力は低いだろう。注意すべきは、花びらの内側にある実体ミサイルだけ。

 そう考え、クレストは接近戦のための準備をする。


「射撃のビームはダメか」


 鴇乃は、空から地上を警戒しながら機体の損傷状態を確認する。先ほどの被弾によるダメージが雨によって軽減しているのを実感した。当然、こちらからの攻撃も減衰する。

 そうなると雨に影響されない実体兵器のミサイルか、接近戦に限られてくる。ただ、ミサイルは視認のしやすさと速度の影響で、躱されることが多い。結局、至近距離じゃなければ効果が薄いことを考えると接近戦をせざるを得ない。

 そして、花びらのビームで剣のように攻撃するのは想定していない。


 それでも、鴇乃は地上のクレストへ向かう。ビームを撃つにせよ、近くでなければ効果が出ないため、近距離戦を挑むしかない。

 そして、相手との距離が縮まったところで、花びらを全て小型ロボットから展開して周囲に回転させつつ突撃をする。


 迎え撃つクレストは、これまでの傾向から最初から花びらを全て展開するとは思わなかった。さらに回転して向かってくることで、どの花びらを狙えばいいか考える隙も与えられなかった。


「とにかく、どれか1つをつぶす!」


 花びらから撃たれるビームを、筒バーニアのビーム盾で防ぎつつクレストも花びらへ突撃する。

 接触する直前、5枚の花びらは5方向へ広がり、クレストの後ろへと回る。そして、また集合しビームを放ってくる。

 黒騎士は後方へ振り向きビーム盾を使い防ぐが、このまま突撃したらまた先ほどと同じだ。


「それなら、これで!」


 黒騎士は同じように突撃し、花びらも同じように5枚の花びらを黒騎士の周囲に展開した。それとほぼ同じく、筒バーニアも5方向へ向けて、黒騎士自身が花びらと同様に回転し全ての花びらを狙い撃つ。


「よし! 全弾直撃!」


 見事に全てのビームが直撃し、クレストは快哉を叫んだ。

 しかし、花びらは被弾直後に黒騎士を抜いて、背中が見えた位置からミサイルを各花びらから1発づつ発射し黒騎士の背中を狙った。


 黒騎士は慌てて回避行動をするが、5方向へビームを放つような体勢だったため初動が遅れる。直撃は避けたものの、5つのミサイルが真後ろですべて重なり爆発を起こしたため、背中の筒バーニアが全壊し、マントの筒バーニアのうち1つが半壊した。


 PBCは筒バーニアではなくマント部分に3つ配置しているので、PBCが壊されたわけではないものの機動力と攻撃力が下がったのは痛い。


 黒騎士は体勢を整え、振り返り花びらを正面に見据える。また集合してビームを放ってくるのでビーム盾を展開して防ぐ。

 同じように花びらが向かってきて、同じように展開し同じように集合する。今回は回避行動を優先、攻撃はけん制程度にして相手の動きを見た。


「……展開後、必ず集合するのか?」


 他の戦いはどうだったろうか。初戦はすぐ終了してわからないが、先のリルダインとの試合は、移動するときや、後半の花びらを取り返した後で、一度集合している。移動はともかく、攻撃直前で花びらを集合させる理由はない。


「癖……であるなら」


 次の攻撃も花びらがビームを撃ってくる。それをビーム盾で防いだ後、万全な筒バーニア3本を即座に加速できるように準備をして、半壊の筒バーニアを撃ちながら回避をする。

 花びらは再度後ろに回り、集合を始めた。


「そこだ!」


 筒バーニアを全開にし、集合した状態の花びらへ突撃。接触直前に手を巨大化させ掴みかかる。

 相手はビームバリアでコーティングされているが、こちらも同様に指でバリアを発生させたのでビームバリアによる損傷はない。ミサイルも花びらの内側なので、集合した状態ではこちらへ向けて撃てない。

 今回は、前回のように板で防がれてもおらず、花びら全てを筒バーニアとマント部分で締め上げている。押し込みへこむが、相手もPBCで守られているため握るだけでは壊せない。


「今度こそ!」


 絶対に逃げられない状態の花びらを確認して、手のひらを爆発させる。筒バーニアと花びらのパーツの欠片が爆発によって宙に舞った。


 その爆発の中から、小型ロボットが突撃をしてきた。


 爆発の勢いそのままに、回避できない速度で、小型ロボットの等身ほどもある実体剣を構えて黒騎士に体当たりするように剣を突き刺した。


「くっ、こんなロボに!」


 クレストは小型ロボットを飾りとしか見ていなかった。サイズの小さい、PBCもおそらく1つしか搭載していないロボットにできることなどないと思って油断した。

 手にしている実体剣は、尻尾のようにつけていた尾翼だろう。


 それでも、まだ試合は終わっていない。両手にビーム剣を出力し、攻撃を試みる。しかし、小型ロボットは両手を離し実体剣を刺したまま黒騎士から距離を取る。

 そして、小型ロボットの大きな頭部の左右がスライド展開し、胸部分のクリアパーツが開き、それぞれに実体ミサイルが出現、そのまま打ち込まれる。


『Battle End!』

『Winner トキノ!』


~~~~~~


「「勝った!!」」


 蒼奈とそろって声を上げた。バトルポッドから降りる鴇乃ちゃんを迎えに行く。

 鴇乃ちゃんはクレストさんに軽く頭を下げて、私たちと合流した。前のように距離を取るわけでなく、鴇乃ちゃんからも来てくれた。


「おめでとう! 強かったよ!」


「上手く立ち回れたね」


「うん。ありがと」


 言葉はあっさりしてるけど、嬉しそうだ。


「ふたりとも、これから戦うんだよね。気にしないの?」


 私たちを見上げて、鴇乃ちゃんが聞いてくる。気にしない?


「僕たちはゲームでよく勝負してるから、いつもと同じだよ」


 あ~、蒼奈と戦うのが気まずくないのかってことか。


「うん、いつもとおんなじ。アオナと真剣勝負なだけだよ」


「そか。ふたりともがんばって」


 鴇乃ちゃんの励ましに、私も蒼奈も片手でガッツポーズをして応える。


「ありがと。どっちも応援してね!」


「僕が優勝してくるからね」


「えー、私も優勝したいよ!」


「優勝はひとりだけだから、プレゼントは難しいな」


「優勝パーティー会場の予約しちゃったからなー」


「ありがとう、僕のために」


「私のだよー」


 鴇乃ちゃんの応援に応えた後、蒼奈と話をしながらバトルポッドに向かう。左右に分かれる直前で、お互い手を強くパシンと叩いてそれぞれのバトルポッドへ向かった。


~~~~~~


「いいなぁ」


 と、鴇乃はふたりを見送って独り言ちる。親友でライバルって関係のふたりは、そこまで仲のいい友達がいない鴇乃にとって理想というよりは、うらやましい。


 細かく分析する蒼奈さんが「アカネの直感は僕の考えを軽く超えてくるからね」と言っていたが、私からしたらどちらもすごかった。

 さっきの試合、同じ攻撃を続けることで逆に相手の行動を狭める方法は、蒼奈さんから教えてもらって、あの爆発からの反撃は茜さんの防御を見て思いついた。


 私はふたりの試合を見て学んだけど、ふたりは、これまでもずっとお互いの良いところも悪いところも見せあってきたんだと思う。

 そういった、お互いを高めあう相手がいるのはやっぱりうらやましい。


~~~~~~


『ここまで熱い戦いを繰り広げてきたアイアンランクトーナメントも、ついに優勝決定戦! お互いバトルポッドに乗り込み、準備は万全だ! スタンドのみんな! 見逃せない戦いがはじまるぞ!』


『Plastic Model Battle!』

『Countdown!』


 茜も蒼奈も、コックピットの中で呼吸を整え、集中する。


『5・4・3・2・1』

『Battle Begins!』


 格納庫から射出されるふたり。


「街? いや、コロニー内?」


 蒼奈が周辺の景色を見ると、上下左右の全てが地面になっている。円柱形の巨大な街並みで、人工的な山や川、森もあるフィールドだ。円柱のちょうど中央には一本の棒が横断している。疑似太陽のようで、巨大な蛍光灯のように光っている。


 宇宙に人が住めるようにと、宇宙空間で人工的に作られた居住地の事をスペースコロニーという。現実にも存在はするが、いまは1000人規模の実験施設であり、これほど大規模な居住タイプのスペースコロニーはまだ空想の世界しかない。

 今はシープが発展したおかげで、通信さえ確保できれば宇宙に居ても地上の人と交流ができるので、精神的には昔ほど過酷ではないが、居住となると食糧問題が大きな壁になっている。現在は農作物を栽培している最中だ。


 今回のバトルに使われているスペースコロニーは、円柱の内側が地面となっているため、どの方向を向いても地面が見える。それが飛行機で飛ぶことの難しさを招いている。

 飛行機で空を飛ぶのに、今は上下がどっちなのかは非常に重要だ。蒼奈のモニターの右下にも、地上に対して水平を表示するパネルが存在する。上下の感覚を掴むのに、これを見ることも多いのだが、今回は戸惑いそうだ。上に向かって飛んでいたら上下反転することもありえる。


 地形について考えるのはここまでにして、茜を探索するために真っすぐ飛んで行った。


「とにかくアカネと接触しないことには、対策も立てられないからね」


 一番重要なのは、あのゴールドモードの稼働時間。

 レベッカが飛行のみに使ったゴールドモードは、効果が切れる前に戦闘終了したので持続時間が不明。要塞を砲撃したときは、撃ち終わると即座に金色ではなくなっていた。

 では、再使用までの待機時間はどうか。要塞を攻撃する間隔はおよそ1分だった。短いようだが、戦闘時間で考えるならかなり長い。


「飛行と4足歩行の違いもあるから、どうなることか」


 センサーの反応があるまで周辺を探索することにした。


 一方の茜は、屋根のある建物の中に潜んで、チャージをしていた。発動の仕様を理解したとはいえ、どう自分のロボットに影響があるのかは、まだ未知数だからだ。


 ボタンを押し続ければチャージされ、1分後にはゴールドモードが発動。その間、ビームやバーニアでの移動はチャージを中断させてしまう。ただし、溜めたエネルギーは活用できる。

 バーニアを使わない移動や、ミサイルを発射させる程度のエネルギー消費ならチャージは中断されないが、チャージ時間が伸びてしまう。


 それを踏まえて、隠れて何もせずにチャージをし続ける。レベッカが高速移動の前に、少し溜めがあったり、ゴールドモードのために宇宙を漂ったまま何もしていなかった理由が理解できた。チャージ中は何もしない方が最も効率がいい。


 猫ロボットの腹部が金色に光りだし、それが全身にまで光が回った。そのまま屋根を出て走り出す。


「ちょ、と、速すぎる!」


 猫ロボットが地上を走る速さが、今までとは段違いに速い。さすがにバーニアと違って関節を動かさなければならないから『超高速の魔女』のように4倍速とはならないが、今までの2倍以上は速さが速くなった。


 センサーに反応。蒼奈のリルダインが左手側にカーブしている地面の上空を飛んでいるのが見える。そこへ向かって、街のビルからビルへと駆け上がり、高層ビルから一気に跳躍し接近する。

 跳躍力も強化され、かなりの高さまで飛び上がった。そのまま空中を蹴り一気にリルダインへと迫るが、リルダインは逆に地上に機首を下げ、一気に降下して回避する。


 飛び上がった先でひっくり帰り、逆さ向きで空中を蹴って追いかけるが、リルダインは既に方向転換をして別方向へ飛んでいた。


「さすがアオナ、空中の切り返しが速い」


 猫ロボットは近くのビルへ着地し、リルダインが飛ぶ方向を確認する。リルダインは街を離れることなく猫ロボットの周辺を旋回飛行する。

 もう一度飛び掛かろうと、ビルからビルへと飛び移るが、飛び掛かるために強く踏み込む予定のビルを蒼奈が予測し、着地とほぼ同時に足元へビームが撃ち込まれる。


 体勢を崩しビルの中に足が埋まる猫ロボットへ、リルダインが接近。ロボット形態へ変形し、ビーム盾メイスを上から叩きつけた。


 猫ロボットは足が埋まった時点で、猫が地面を掘るようにビルの床を壊して内側へ侵入。ビルの壁面がビーム盾メイスの威力を緩和し直撃を回避。

 ビルの側面に穴を開け、そこから外に出ることなく現在地のほぼ真上よりちょっと斜め前に傾けてマズルビーム。そのままビームで開けた穴から外へ出る。


 メイス攻撃をした後のリルダインは、側面を掘る猫ロボットを確認し、推定脱出口を空中からビームで狙う。ビルの側面に穴が開いたと同時にビームを放つ。しかし猫ロボットは不在。リルダインのビームがビルに空いた穴に当たったと同時に、マズルビームが空に上がったため一旦後退。マズルビームで開けた穴からから猫ロボットが現れる。


「一瞬、位置がばれたかと思った」


 猫ロボットがビルの側面に開けた穴から出てきても、その穴に向けて安全確保のためのマズルビームを放っても脅威ではなかったが、蒼奈が空中で側面の穴を狙っている位置に近い場所にマズルビームを放たれたので恐怖を感じた。

 側面に向かったからといって、側面から出てくるとは限らない。直感で動く茜らしい動きだ。


 ゴールドモードはほぼ消えかけている。マズルビームの影響か時間か、どちらにせよ狙うなら今しかない。

 ビーム銃をけん制に使い、ビーム盾メイスを正面に構えながら接近。猫ロボットの足ビームで攻撃されるが、盾を前に構え防御する。


 その瞬間、側面からビームが飛んできて右の腹部に当たる。


「側面!? なんで?」


 攻撃された方向を見ると、猫ロボットのサテラ武器である銀の板が浮ている。しかし、猫ロボットのサテラ武器は防御に全振りしてあるから攻撃能力はない。

 だが、今の攻撃はそれなりの威力があった。PBCの入った鴇乃ちゃんの花びら攻撃ほど威力はないが、完全に無視できる威力ではない。


 理由は不明だが、銀の板が原因なら壊せばいいと考え、蒼奈は銀の板に向かって飛び立つが、猫ロボットも地上に降りて並走してきた。


「予想通り、走ってきた!」


 銀の板という1点に向かって並走したから、お互いの距離は徐々に縮まっている。蒼奈は飛行形態から手足だけ出現させ、足のバーニアで強制的に並走状態から一気に接近する。


 猫ロボットにビームを撃つが、ジャンプして回避される。しかし、その回避行動が蒼奈は欲しかった。回避しただけ銀の板に接近するのが遅くなる。飛行形態に戻して一気に速度を上げる。

 蒼奈は、回避した猫ロボットの口元が光っているのが見えた。しかし今は多少距離もあるので注意して相手を見ればたやすく回避できる。

 そう思ったが、マズルビームはリルダインから離れた場所を飛んで行った。

 そのマズルビームの軌跡を目で追った蒼奈は、マズルビームが銀の板に向かうのを目にした。


「そういうことか!!」


 全力でリルダインの機首を上に向けて回避する。先ほどまでリルダインが飛んでいた飛行ルートを、マズルビームが通過する。

 危うく正面から直撃するところだった。銀の板を反射板にして攻撃してくるとは思っていなかった。


「そういえば、自分自身を攻撃した場合は威力が低下するんだった」


 『閃光』はそのダメージ差を利用した攻撃である。鴇乃が蒼奈のリルダインにミサイル攻撃したときも、鴇乃はバーニアの破損で済んだがリルダインは腕を失っている。さすがに茜と初戦闘のラストのような、内部爆発はどうしようもない。

 それでも自分の攻撃に対して、自分が耐性があるのは安心できる要素だ。接近してミサイル攻撃で勝利するパターンは、どのバトルでもよく見る光景である。


 その、安心できる要素を逆手に取り『メッキの反射』と『自分の攻撃では自分のパーツの損傷が低くなる』性質を利用した反射攻撃が出来るとは思わなかった。

 とはいえ、それを思いついたところで蒼奈は使いこなせない。どうすれば角度を合わせて攻撃できるのかわからない。


「茜のことだから『鏡に反射して姿が見えるから合わせるのは簡単だよ』って思ってるんだろうけれど」


 例えるなら、部屋を飛ぶ蚊は目で追うことはできるけど、それを鏡越しで追いかけることができるのかという話だ。


「兄さんといい、アカネといい、私の周りには妙な才能持ちが多いな」


 部活の仲間も……と考えたところで頭を振る。


「今は戦闘に集中」


 慌てて距離を取ったが、ゴールドモードのために何かしているだろうとは予想がつくので、発動する前に妨害するため再度猫ロボットへ向かう。


「2回目は見抜かれたかー」


 茜は、先ほどのマズルビームは当たると思った。1回目はリルダインが盾を正面に向けたので完全に死角からの攻撃だった。2回目は注意がこちらに向いてるだろうから、銀の板を見た後では回避不能だと思った。それを回避される。


「きっと、1回目に銀の板を見て、無意識に理解してそう」


 多少の不意打ちは、蒼奈には通用しない。普段はそうでもないけど、集中しだすと本質を見抜く能力が異常なまでに高まる。

 これまでの蒼奈の試合は、全て相手を観察した上で最善手を打っている。相手の攻撃が何で、弱点は何かを見抜かないとできない行動だ。しかもそれを即座に戦いに組み込む。


「お兄さんもアオナも、兄妹そろって頭良すぎでしょ」


 私は何も考えてないからな……と考えて「にゃ!」と鳴く。


「意識切り替え!」


 猫のように鳴くことが意識切り替えの、子どものころからのスイッチだ。


 こちらがチャージ中なのがわかっているだろう蒼奈のビーム攻撃を回避しながら、チャージがある程度溜まるまで回避し続ける茜だった。

 ここまで書いてきてクリアパーツの存在を忘れていたので、性能も考えていませんでした。全身クリアパーツにするとPBCやバトルポッドが丸見えで、戦うのに苦労しそう。透明度が高ければ高いほど実体兵器による爆発耐性が高まるとか? 当然、裏に色を塗って不透明になれば、ただのプラスチックと同じ耐久に早変わりになる、でいいのかな。

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