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あちーぶ!  作者: キル
229/245

『亡国の異世界 7つの王国と大陸の覇者』159

~~~チャコ~~~


 合同で依頼を受けた日の夜、ミールトさんたちは依頼料でベリクの宿屋に泊まる程度には稼げたので、あたしたちの拠点に戻ることなくベリクで過ごした。薬草採取は常設依頼だし、ホーンラビットも頻繁に依頼が出るので、この依頼をこなしていくだけで日々の生活はできそうだね~。


「このガラスって入れ物すごいですね、透明で軽くて持ちやすいです」


「布ってこんなに薄いんですね。模様もすごくきれい」


「料理って色んな方法があるんだね。え、チャコさんできるの? 今度おしえて~」


 ベリクの街を一緒に見て回っている間に、ミールトさんと最初は距離のあった関係も、今ではすっかりお友達の距離感になったよ~。

 ミールトさんは見るもの全てが新鮮だから、一緒にお店巡りをしていると気になるものを見つけるたびに立ち止まって眺めてるんだよね~。


「もう少し慣れてきたら、王都にも行ってみたいなぁ。依頼も豊富みたいだし、何より旅をしてみたい!」


 初期時代に適応してきたのと、今までの閉鎖的な生活から解放されたのが相まって、色んな所に行きたいみたい~。

 結婚予定のトカエスさんと一緒に居ることが多いのかと思ったけど、あたしたちが会いに来たときは、あたしたちと会うのを優先させてるみたい。ふたりの関係はどうなのかな~って聞いてみたけど、恋愛ってより兄妹って関係っぽいね~。トカエスさん側の話も聞いてみたいところ~


 それと、初日は一緒に行動したニャットちゃんは、妖精の国に戻っちゃった~。こっちの世界も良いけど、妖精の国の方が落ち着くみたい~。


 ニャットちゃんが戻るときに、トカエスさんが土魔法で作ったピクシーサイズのコップを作って渡していた。蘇生のお礼には足りないけれど、せめてもの気持ちだって~。

 あたしも貰ったんだけど、ちょっと大きいマグカップって感じに使えるサイズで、手触りはつるつるの陶器だった~。


 地下生活では、土魔法は部屋の拡張と共に日用品を作るのに重要なスキルみたい。全員が必須の火魔法、水魔法、食料魔法とは別に、土魔法が得意なほど良い結婚相手になるらしい~。ということは、トカエスさんはかなり優良な結婚相手だったのかな~?


「お兄ちゃんは他の人と一度結婚してるけど、そのときは土魔法で選ばれたってよりも、年齢かも?」


 前に結婚していた相手は年齢が近かったようだけれど、子どもが出来なかったため別れたとか。前もそんな話を聞いたけど、閉鎖された社会の結婚って不思議~。


 もう彼らは大丈夫だろうと未黒先輩が判断したので、あたしたちはまた冒険に出発することに決めた。

 お金は受け取ってくれなさそうだったので、冒険に必要な鞄や武器やナイフ、探索に必要なものなどをいくつか渡すことに~。

 沢山お礼を言われ、また会いに来るからねって約束をして別れた。こういう別れの時は泣いちゃうよね~。



 拠点に戻り、ダンジョン経由で戦争時代へ移動~。それで、反対側から進んだ茜たちとの合流地点になるヴィナス王国の王都ヴィリスに帰還石でジャンプ~。


 ヴィナス王国に到着したら、入国審査の順番待ちのため待機中~。なんか、帰還石の出現場所の周辺を塀で囲っていて、街の中にすぐ入れないようになっている。

 考えてみたら、他国に簡単に入れる帰還石の出現場所を警戒するのって普通の事だよね~。むしろ、この国の警戒具合が一番普通なのかも~。


「この入国審査って、あかちゃんは言ってたんよ?」


 ヴィナス王国の帰還石を買うために、茜だけがヴィナス王国の王都に入ってるんだよね~。


「アカネは猫で駆け回ったから、入国審査とか気が付いてないと思います」


「猫は呼び止められないわよね」


 ここは壁で囲まれているっていっても、魔物から守るための丈夫な壁じゃなくて人を区切るだけの壁だから、あんまり高さは無いし丈夫に作られてる感じもしないな~。

 むしろ、綺麗な木彫りの細工がされているから、建物の一部って思っちゃいそうかもね~。


 20分程度待ってから入国審査を受けて、街の中にようやく入れた~。ヴィナス王国内の他の街は、和風とはいえ中国っぽい雰囲気もあったけれど、ここは純和風な感じがするな~。それでも、地面の土は綺麗に平らに均されているいるし、ボロボロの長屋があるような寂れた雰囲気は今のところない。二階建ての木造建築の綺麗な家が、通りを挟むように建っていて、見たことはないんだけど懐かしい感じがするな~。


 冒険者ギルドは、探すまでもなく見つかった~。入国審査をしている場所から外に出ると、正面の通りの角地に、いつもの冒険者ギルドの看板が二階の高さの位置に掲げられていたからね~。


「ヴァシサの討伐依頼でいいよね?」


「他のクエストは後からでもいいと思うんよ」


 3年生ふたりでクエストを決定して受注する。あたしは考えずについていくだけ~。紫帆先輩も蒼奈も、問題があれば遠慮なく口を出すから、まっすぐヴァシサに向かう方針で良いっぽいね~。


「買い物とかするの~?」


「前は乗合馬車が混雑してた。確認するのがいいかも」


「今回は龍の観光って目的じゃないから、馬車の優先はないのよね。けど、せっかく来た王都を通過点にするのも味気ないわね」


 先輩たちが依頼を受注しに行ってる間に、残った3人でこの後のことで話をする。蒼奈は目的地に真っすぐ進んでいきがちだけど、相談すれば寄り道にも付き合ってくれるから、話を振るのが大切なんだよね~。

 ゲームだとクリアまでの最短ルートを突き進んで、サブクエに気が付かない感じかな~? 茜がサブクエの発見をよくするから、ふたりがそろうとバランスがいいんだろうな~。


 この後の行き先について話をしていると、蒼奈が話に参加してないのに気が付いた。


「アオナ~?」


「まってて。アカネから連絡が来てる」


「は~い」


 あんまり別パーティー中に連絡とることはないんだけど、緊急の連絡かな? 家が近いみたいだし、リアルの話もあるのかもしれない。


「……この近くのリバ石って、どこだろ? セーブしたい」


「この先の広場じゃないかな~? どの国も冒険者ギルドから近い広場にリバ石があるからね~」


「わかった。ちょっと行ってくる」


 そう言ってすぐに、広場まで走って行っちゃった。気になるけど、すぐ戻ってくるだろうから、紫帆先輩の近くを飛んで待つ。

 割とすぐに未黒先輩と萌黄先輩がクエストを受けて帰ってきたので、蒼奈が広場に行ったことを話して向かおうをすると、ちょうど蒼奈も走って戻ってきたよ~。


「お待たせしました」


「わたしらも今さっき戻ってきたところなんよ。何かあったんよ?」


「えっと、まだはっきりしないんですけど、リバ石に移動しながらでいいですか?」


 リバ石でセーブするのは誰も反対することじゃないので、リバ石がある広場に向かいながら蒼奈の話を聞いた。


アオナ:よくわからないのですが、アカネがどこかの空間に飛ばされたようです。


 茜が猫のまま攻撃を受けたら、リバ石に飛ばされるはずがバグか何かわからないけど、変な場所に飛ばされたらしい。その場所から蒼奈に連絡をしたんだって~。


アオナ:パーティー機能が視認できるとか、連絡が接触で送れるとか、ちょっとよくわからなくて。それで、試したいことがあります。

モエギ:どんなこと?

アオナ:アカネが帰還石を使わずに死亡したようなので、同じようにリバ石復帰ですね。


 変わった空間に行ったのは面白そう~。猫になってる影響もあるのかな。


 広場に到着。和風の広場はどんなところかな~と眺めたら、野点が似合いそうな椅子や傘がいくつか設置してある空間だった~。細長い池の周りには石やらコケやらがあって、日本庭園って感じだ~。ここで1日ゆっくり過ごすのもありだよね~。


 全員が空いている椅子に座って、蒼奈はリバ石復帰をする。帰還石を使わず、毒によるダメージで復帰。

 復帰して、茜と会話を何度かやり取りをして、また再度リバ石で復帰を繰り返している。どんなことがわかるんだろ~?

 ヴァシサの討伐依頼は、初期時時代に受注したクエストとほぼ同じです。300年前のクエストがいまだに継続しているのは違和感があったのですが、龍の位置が変わるわけでもないので、まぁいいかと思うことにしました。

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