『テラパレット』08
全員レベル10 スキルポイント2
アカネ HP20 MP10 SP20 筋力7 技術3 知性1
アオナ HP20 MP30 SP10 筋力1 技術1 知性8
チャコ HP20 MP10 SP20 筋力1 技術7 知性3
ギンガ HP30 MP10 SP20 筋力8 技術1 知性1
アカネ…スキル取得【パリィ】消費SP3 使用条件:近接装備、または小手の着用
チャコ…スキル取得【探索】消費MP2、範囲:使用者を中心とした直径5m
翌日、改めて再開。さっきまで学校内のカフェテリアで4人一緒に昼食を取りながら、ステータスを話し合って割り振っていた。ステータスの割り振りだけはログインしなくてもできる仕様なので便利。
茶子が知性を3に振ったとき【探索】スキルを選べたから、高いステータスが、1つと他のステータスが3になると出てくるのではと思って、私も技術に振ったら【パリィ】を選択できた。お互いスキルポイントを消費して取得。
蒼奈と銀華は、迷った末に長所を伸ばすことにした。長所だけで取得できるスキルがあるはずと信じて。
筋力と技術の合計10が覚える条件だとしたら、次はギンガが【パリィ】を覚えるはず。そうでなければ、技術3が必要。この手探り感がいいよね。
なお、今日のランチは餃子のせチャーハン。カフェテリアで出てくる餃子はニンニクが入ってないけれど、ニンニクを入れるとVRのカプセル内が臭くなるので、カプセル型のVR機器がある施設の食堂では提供してないところが多い。消臭や清掃の機能はついているんだけど、マナー的な意味合いでも匂いがするものは避けることが多い。
蒼奈は山菜そば、茶子は親子丼、銀華はサンドイッチセット(コーンスープ付き)。昨日の私は親子丼で、茶子が昨日は餃子のせチャーハンだった。お互いに、おいしそうって言ってたから逆転したんだね。
4人で一緒にログインしたから、全員ほぼ同時に第2拠点でログインした。
「時間は……昼過ぎっぽい。ゴブ拠点に入るのは明日だね。今日は準備かな」
「松明、あと少し追加する」
「前の拠点でパンつくってくる~」
「赤と緑のハーブ集めてくる!」
それぞれが自分でやることを決めていく。茶子と銀華はすぐに拠点を出て行動を開始した。私はどうするかな……。
「ちょっと偵察してくるよ。昨日から変わってなければいいけど」
「うん、よろしく」
木材を片手に松明を作っている蒼奈に見送られながら、ゴブリン拠点へ偵察に行く。
最初は見張りがふたりいる入口側。そろりそろりと近寄って、木陰からのぞき込むと、昨日と同じような状況だった。壊されている様子もない。ただ、見張りが外側に2体と、洞窟側に2体居る。見張りが増えたのかな?
アカネ:入口の見張り、小屋を境に外側と内側にそれぞれ2体居る。
アオナ:見張りが増えた? ……いや、確か昨日は外側を倒してから帰ったよね。
チャコ:そうだね~。見張りは外側に移動できないよ~。
ギンガ:裏側が気になる。
アカネ:了解、裏見てくる!
この場所からそっと離れて、裏側へと移動。小さな建築で穴は塞いだから、見張りはいないはずだけど……。
見張りが居る。小屋は壊されていない。よく見ると、小屋の土台の隙間から、別のゴブリンの頭が見える。
アカネ:裏にも見張りが居た。交代したそうなゴブリンが土台の下に居るね。
アオナ:見張りはその場でリスポーンすることもあるのか。
アカネ:倒す?
アオナ:土台の下に居るゴブリンがどう行動するかわからないから放置で。
アカネ:はーい。
第2拠点へ戻り蒼奈の手伝いをしようと思ったけれど、松明の制作は終わったようなので、銀華と合流してポーション作りのためにハーブと砂を集めることにした。
準備の合間に、蒼奈と茶子が歩きやすい靴を作ってくれた。これで快適に走れそうだ。
全員が第2拠点で眠り、朝を迎えてすぐに準備を整え、ゴブリン拠点へ向かった。柵より外側の見張りを倒し、小屋の内側に潜み両扉を開け、奥に詰まって出られなかった見張りが外に出てから扉を閉めて、ゴブリン拠点の内部へと進んだ。
思っていた通り、内部は暗いから火口箱で松明を点けた。石と土がまじりあった通路で、時々石に苔が生えている。この苔は薄っすら光っているけど、明かりとして頼れるほど明るくはない。
洞窟の入口はひとりが通れるくらいの細い道だったけれど、内部は横幅が広く、二人が並んで戦闘ができるくらい広がっている。
銀華と茶子、蒼奈と私の隊列で進む。松明は蒼奈の担当。緩やかに下へ進む道を進むと、蒼奈が、ゴブリンの変な声を聞いたらしい。少し前に分かれ道があり、その右側から声が聞こえてくるようだ。
茶子が分かれ道のギリギリまで静かに移動する。技術が高いので、4人の中では誰よりも静かに速く歩くことができる。
その間に、蒼奈は松明の光でばれないように、後ろへ隠れるように移動した。
茶子は、村で手に入れた手鏡を取り出し、反射を利用して分かれ道の先を確認。
チャコ:扉の無い部屋かな~? 少し明るい空間に、ゴブリン3体が岩に座ってるよ~。
ギンガ:何ゴブ?
チャコ:各種類いるね~。
アオナ:後から挟み撃ちされないように、倒しておこう。
私と銀華が前に進み、突撃する準備をする。
チャコ:手前に2体、奥に1体だから~、ふたりとも目の前に相手に攻撃ね~。
アオナ:カウントダウン、3、2、1、0!
銀華と並んで、一気にゴブリンに向かっていく。そのままの勢いで剣をゴブリンの胴体に突き刺す。
勢いに加え、筋力があがったおかげか、一撃で光の粒子となった! 他のゴブリンは? と見回すと、銀華が攻撃したゴブリンソルジャーも消えていた。奥のゴブリンシーフには矢が刺さっているが、まだ消えていないので私と銀華が一斉に攻撃して終了。
蒼奈の方を見ると、耳を澄ませている。知性が一番高い蒼奈は、視覚や聴覚が仲間内では一番優れているので、周囲を探るときは蒼奈の出番だ。しばらくして指でOKサインをした。
アオナ:小さな音は聞こえる気がするけど、援軍らしい足音は聞こえない。
アカネ:ありがとー。じゃあここを調べよう。
とはいっても、目だった物はない。食べ残しのような、骨が散らばってるだけだ。座っていたという岩も、ただの岩でしかない。
アカネ:見張りの交代場所かなぁ?
ギンガ:見張りは2体だよな、3体だったけど?
アオナ:1体は奥への連絡員?
チャコ:警戒して無さそうだけどね~。【探索】使うよ~?
アカネ:おねがいー。
一昨日見張りを狩りまくったから、昨日ここに来たら警戒していたかも? そう思うと、昨日準備の時間にしておいて良かった。
茶子が【探索】スキルを使い、そのまま上を見た。釣られて上を見ると……穴?
チャコ:上に入れそうな穴があるね~?
アオナ:裏側の入口?
チャコ:ちょっと登ってみる~。
スルスルと、壁の出っ張りを器用につかんで登り、チャコが穴へと入っていく。
チャコ:通路がある~。左右に道があるよ~。
ギンガ:登ってみる!
銀華を先頭に、全員が登った。広くはないけれど、立って歩けそうな通路だ。
アオナ:こっち側が、おそらく裏側の出口。
コンパス片手に、蒼奈が通路の一方を指さす。そちらへ向かうと、すぐに土台に蓋がされた上向きの穴がある。
アカネ:昨日土台から覗いていたゴブリンが居ないね。
チャコ:外には1体ゴブリンが見張りしてるよ~。
上へ登って確認に行った茶子が、見張りのゴブリンを確認した。
ギンガ:さっきの3体目のゴブリンが、昨日ここを見ていたゴブリンか?
アオナ:あの空洞、表と裏の交代要員の待機場所みたいだね。
アカネ:だから3体いたのかー。
待機場所の上の穴部分まで戻り、上の道を行くか、下の道を行くかの相談をした。その結果、下側から移動することになった。上が連絡通路だとして、どこへ繋がるのか……おそらく衛兵詰所のような、ゴブリンが沢山居る場所じゃないかな。それだと、狭い通路では自由に戦えないから、広い方を進んだ方がいいだろうと結論付けた。
アカネ:上の穴、塞いでおく?
チャコ:塞ぐアイテムがない~。
ギンガ:壁を壊そうか?
アオナ:音が響くから壊すのはやめよう。
広い通路の、分かれ道の反対側をさっきと同じ隊列で進む。少し進むと、また分岐があったので、蒼奈が耳を澄ます。
アオナ:右から何体か走ってくる! 反対側へ!
慌てて分岐の片方へと進む。こちら側は小さな部屋のような空洞もあるけど、さらにその先にも道は続いている。
蒼奈が、ゴブリンが来るといった方向から、出口の方へとゴブリンが向かっていった。
チャコ:侵入がばれたのかな~?
ギンガ:すぐ倒してるのに!
アカネ:アオナ、他の方向から来てない?
アオナ:……大丈夫そう。
ゴブリンが通り過ぎた道は後で行くとして、先へ進むことにした。ほんの少し進んだだけで行き止まりになったけれど、行き止まりの理由は壁があったのではなく、大きな裂け目が部屋の真ん中を横断していた。その先にも通路はあるけれど、反対へ渡るには準備が足りない。
裂け目は、深さが結構深くて落ちたら危なそうだ。よく見ると白い骨っぽいものが散らばっているけど、見にくくてはっきりはしない。それでも、そこら中にその白いものが転がっているのはハッキリとわかる。
アカネ:ゴミ捨て場?
チャコ:裂け目の中に【探索】の反応がある~。
アオナ:取れそうな場所?
チャコ:ちょっとまってて~。
裂け目付近を茶子がうろうろして、反応がある場所を探す。膝をついて裂け目を乗り出して確認をしてから、手招きをした。
チャコ:この下、2メートルくらいに引っ掛かってる~。
下に向けて松明をかざすと、何か光ってるように見える。
アオナ:鍵に見えるね。
ギンガ:必須アイテムだ!
アカネ:どうやって取ろう。
チャコ:ロープもないからね~。
降りて取れるような足場はなさそうだ。裂け目の一部に偶然引っ掛かっているだけで、近くに人が立てる足場はない。5メートル以上降りれば足場はありそうだけれど、そこまで降りると逆に手が届かないし、登るのも難しそうだ。それに、その足場が崩れたらさらに底へ落ちてしまいそうだ。
ギンガ:両足持ってひっくり返る?
アオナ:引き上げられるかな?
筋力ステータスがどれだけ効果があるかわからないけど、ひっくり返ったままの人をうまく持ち上げられるかはわからないなー。
チャコ:ケープを結べばロープになるかな~?
アオナ:それは……ちょっとやってみようか。
せっかく作ってくれたケープ。よれよれになりそうだけど、他に案もないので、それぞれが脱いだケープを結んでいく。
アカネ:かなりの長さがあるね!
ギンガ:丈夫そう!
アオナ:じゃあ、アカネよろしく。
ん?
アオナ:筋力は必須だし、器用に上り下りするのは技術が必要そうだから。
チャコ:SPも必要だよね~。
ギンガ:上で3人が支えておくからな!
アカネ:ん、うん。じゃあ、がんばってみる!
松明を、裂け目から飛び出すように剣や盾で押さえつけて設置し、下が見えるように配置する。ケープのロープを3人が持ち、それを伝って私が下りていく。
最初は恐る恐る下がっていったけれど、十分な強度があるとわかったので、降りることに専念していった。ほどなく、鍵が届くところまでたどり着いたので、手を伸ばして銀色の鍵を入手する。
アカネ:鍵取った! 登るね!
鍵を口にくわえて、上へ登る。問題なく最後まで登り切る。SPの減り具合は2割ほどで済んだ程度だけど、普段と違うことをしたので消費は激しいみたいだ。
手に入れた鍵をみんなに見せるが、今のところ使い道はわからない。茶子が保管することになった。
結んだケープを元に戻したけど、予想通りシワが付いてしまった。作業台があればシワも直せるが、今はないので外に出るまで我慢。
この裂け目の先には行けないので、元の道を戻っていく。小部屋を通り過ぎ、先ほどゴブリン達が通り過ぎた分かれ道へ。
アカネ:間違いなく挟み撃ちはされるよね。
チャコ:侵入したのは、ばれてるよね~。
アオナ:奥に何体のゴブリン居るんだろう。
ギンガ:見に行くのか?
チャコ:偵察してもいいかも~。
アオナ:入口のゴブは……音も聞こえない距離だから、すぐ挟み撃ちはなさそう。
アカネ:じゃあ、無理のない範囲で先に進もう。
ゴブリンが何人か現れた通路を慎重に進む。ここも入口と同じく緩やかな下りになっているけれど、道幅が広くなってきている。もともとこんな地形だったのか、削られて広くなったのかはわからないけれど、通路でも普通に戦える感じの広さだ。
途中、裂け目が見つかった。深さは2メートル程度で、降りることができそうだ。裂け目の方向がさっきの裂け目に向かっているので、繋がっているのかもしれない。
ただ、今回は裂け目の上に丸太で出来た橋があるので、裂け目に降りるのではなく、丸太を進んだ。3本丸太が隣り合って並んでいるので、真ん中を進んだ。手すりの無い橋は結構怖いけど、蒼奈と手をつなぎつつ、何とかバランスを取りながらゆっくり進んで渡り切った。
アオナ:ストップ。声が聞こえる。
橋を越えた先の道を進んですぐ、蒼奈が止まるように声をかけてきた。
チャコ:見てくる~。
茶子がひとりで偵察に向かった。道が曲がっているから、姿が完全に見えなくなっている。
チャコ:やばい、異常な数いる~。
アオナ:写真取れる?
チャコ:まってて~……どうぞ~。
送られてきた写真を蒼奈が開き、それをのぞき込む私と銀華。広めの空間にゴブリンが武装して集まっている。1、2……18体が写ってるなぁ、これは多すぎる。
ギンカ:リーダーがわからん!
アカネ:ここに居ないのかも?
アオナ:もうちょっと高い位置から写せる?
チャコ:できるよ~……送った~。
アオナ:……奥のこれ、扉だよね? リーダーの部屋かな?
写真をよく見ると、確かに奥の方に扉のような木の板がある。さっき鍵で開けるのかな?
アオナ:4人で突破は無理そう。
アカネ:高い位置から見ると、さらに奥に居そうだよね。
チャコ:扉以外の抜け道はないよ~。
ギンガ:夜寝てるときに通り抜けられるないかな!
アオナ:夜に襲撃あるし、夜行性だと思う。
アカネ:それじゃあ、なんで起きて……ばれたからか。
3枚目の写真が送られてきた。部屋の側面に藁のような何かがたくさん積まれていた。
チャコ:これ寝る場所かな~?
ギンガ:それっぽい! やっぱり昼は寝てるのかも!
アカネ:だとすると、見張りにばれずに潜入して、寝てるところを侵入が正解ルートかな。
そうなると、どこでばれたのだろうか。道中のゴブリンは全部倒したし……やっぱり怪しいのはあれかな?
アカネ:上の通路が怪しいよね。
ギンガ:あの出口はここにないかな?
チャコ:見える範囲にはない~。入口の手前側にあるかもしれないけど~。
「あ」
蒼奈が一瞬、チャットではなく声を出して、慌てて口を手で閉じた。それほど反響してる様子はないけど、大丈夫だったかな。
アカネ:入口のゴブリン、数を数え間違えた。
チャコ:ゴブリン2体ほど来るから戻るね。
アオナ:ごめん、声出しちゃったからだ。撤退しよう。
茶子と合流後、来た道を戻る。出来るだけ静かに速く移動するけれど、丸太の所は慎重に渡った。
後ろからのゴブリンは、歩いて向かってるようなので、追いつかれることはないけれど、入口に向かったゴブリンはどうするのかな。
アカネ:入口側の音が大きくなってる気がする。向かってきてそう。
ギンガ:戦闘?
アカネ:待機場所の上の通路をつかって、裏口から出られるのならそこから出よう。
見張りの待機場所付近まで来たので、茶子が偵察に。さっきと同じく3体居るらしい。
アオナ:手順は最初と同じで。確認したいことがある。
アカネ:はーい。
前と同じく蒼奈のカウントから始まり、順調に3体倒す。倒し終わってすぐ、蒼奈が上の穴に登ってのぞき込んだ。
アオナ:いた、ゴブリンシーフ! 通路の奥に走っていった。
アカネ:追いかける!?
アオナ:ううん。今は外に出よう。
ギンガ:ゴブリン来た!
アカネ:チャコ、ギンガ、アカネの順で!
入口へ向かっていったゴブリンが、この待機場所に入ってきた。数は……7体! 多すぎるので絶対に逃げる。
前衛が最後に登った方が安全なので、最初は茶子が登る。次に身長が低めな銀華が登り、最後は私。
アカネ:足つまかれた!
ギンガ:任せろ!
登る途中で足をつかまれ引っ張られたけれど、銀華が全力でゴブリンごと私を引っ張り上げ、釣れたゴブリンは茶子のナイフで私から剝がされた。足にダメージは受けたけれど、歩けない状態じゃない。
細い通路はひとり用なので、殿の私が盾を持って守りながら裏の出口へ向かう。通路に、ゴブリンがどんどん登ってくる!
蒼奈が建築で塞いだ入口を解体した。見張りが居るのはわかっているので、解体後すぐに銀華が外に出て戦闘を開始。
私は出口の穴付近にて追いかけてくるゴブリンを盾で防御しつつ、蒼奈は私の鉄の剣で、茶子はナイフでそれぞれ隙間から攻撃して倒していく。防御に専念しているとはいえ、後ろに下がることもできないので何度かダメージを受けるが、蒼奈からヒールをもらいなんとか耐える。
ゴブリンシーフを倒した銀華も合流して、倒すペースも上がり、しばらくしたら追いかけてきたゴブリン7体すべてを倒し終わった。
その後、周辺を警戒しつつ、そのまま第2拠点へ移動。時間はまだ昼を過ぎたあたりだ。
「1回では無理だったかー」
ゴロンと布団の上に転がる。他の3人も布団に潜り込んだり上に座ったりと様々だ。
「そういえば、アオナは声出したけど何だったの?」
「あ、声出してごめん。あの時、待機場所のゴブリンの勘違いに気が付いたんだ」
待機場所のゴブリンは、表の2体と裏の1体の交代要員で、見張りは建築物の外にいるから入ってこれないため、待機場所のゴブリンを倒せば、奥への連絡手段はないと思っていた。
忘れていたのは、裏のゴブリンは当初の見張りが建築物で外へ出られないまま、通路にいる1体が居たことだ。その1体が拠点の奥に連絡要員として向かっていったのだろう。
「次はどうすればいいんだ?」
「表と裏に別れて、待機場所の直前で合流しよう。裏の建築はない方が安全」
「シーフだけならひとりで倒せるから、私が裏から行くよ」
「倒さずに、見つからず侵入のがいいかな。内部との見張り交代フラグが立たない方がいい」
「あたしが行った方がいい~?」
「いざとなったら倒せるアカネのがいいかな」
「よーし、頑張って潜入するね」
「あとは、資材を持って行かないとね~」
「建築できたら便利そうだった!」
上の通路を塞いだり、崖の昇り降りの場面に作れたら便利だよね。丸太の橋も渡りにくいから、頑丈な支えがあると嬉しい。
話し合いを終えて、次の拠点探索のための装備を整えることにした。戦闘だけじゃなく、建築資材を、持てる範囲のものだけ厳選して準備完了!
「探索で集中したから、ちょっとつかれた~、日が変わるまで時間あるから~、ログアウトして休憩しよう~」
「まだ20分あるからね」
「部室の冷蔵庫にミルクティー入れたぞ!」
「もしかして、あの配信者達のコラボ商品?」
「うん! 付属カードコンプするために買ったのは良いけど、飲みきれないから!」
「そっか~、それなら遠慮なくいただくね~」
「じゃあ、また部室でね」
コラボ商品の食べ物の消化は厳しい。




