彼はカノジョ
昨日は寝落ちでパーリーしちゃったんで今日に回しました。
なんかおかしいところあったら何でも言ってください!できる限り修正したいと思いまーす!!
ーーデートしろ?
「な、何いってんだよ!?灯里!」
「んー?こんな可愛い子をあんたなんかに独り占めさせてあげるわけ無いでしょ?拒否るならお代金1億ね」
「私の小遣いの10倍...払えないよぉ」
こいつ1000万ももらってんのか。エグいな
「ま、そういうことで。今日1日だけだから、ね?」
「...わかった。が、今日一日だけだ。絶対に」
なんでこいつがこんなムキになるんだよ。おれに拒否権はないのかー!!
ねぇ、あの娘可愛くない?
アイドルかな?
芸能人だよね?女優さん?
「いやー、こんな可愛いカノジョを持つと鼻が高くてたまりませんなぁ、うん」
いい彼氏コーデをまとった灯里さんはもはやもう男にしか見えない。周りのカップルは男は俺に、女は灯里さんに見惚れるという謎の構図を作っていた。ちなみに俺が今着ているのは灯里さんのおさがりの黒のワンピース。純白のワンピースを一度勧められたが、さすがに男としてそこまで着るわけにはいかなかった。しかし、逆に二人が喜んでいたように見えたのは気のせいだろうか
「いや、もう散々ですよ。なんで俺がこんな..ムグゥ!」
灯里は喋るなと言わんばかりに伊織の口を塞いだ
「いい?あなたは今は女。女声できる?まあできないよねー。あなたの尊厳のためにも黙っとくのがオススメだよ?」
『いや、できますよ?』
俺は昔、歌の先生だった母親にとんでもないほど声の出し方の練習をさせられてきた。そのためこんなことは造作もないことである
「もっと!もっと喋ってくれないか!伊織ちゃん!」
ちゃんて。まあ、髪切ってくれたしこれぐらいのサービスはしてやるか
『カッコいいよ?灯里くん』
「グハァァ゛!!」
灯里は伊織のサービスに言葉、、というか意識を失ったのであった
「話は聞いたわ!伊織くん!」
ある日曜日、ソファでだらだらしていた俺は突如現れた恵理さんに詰められていた。
「伊織くん、あなたアイドルやりなさい」
「は?」
「だから、うちの会社で運営してるSHIRAYUKIプロダクションに入れって言ってるのよ」
俺が?アイドルに?
「いやいやいやいや無理ですって。俺、歌もうまくないですし、顔なんてブサイクですよ?」
ハァと恵理がため息をついた
「のどかの言う通りね。この際言うけど、あなたブサイクなんかじゃないわよ。それどころか1000年に1度ぐらいのイケメンだわ。それ灯里さんに切ってもらったのよね?とても似合ってるし可愛いわ」
同棲相手の母親に可愛いと言われるのはなんともむず痒いものである。
「今日はメイクしてないからそうでもないはずなんですがね...ハハ」
それに顔は関係なくても、俺には歌うことはあるが、踊ることなんてそうない。ましてや人の前なんて恥ずか死してしまうだろう。
「だ、か、ら♪面接よ。伊織くんに歌って踊れるだけのスキルがあると私は信じているわ」
「そ、そうですか」
.....この人にここまで期待されているのならば答えるしかないだろう。ひさしぶりに励まされたような気がする。
「ところでさぁ、女声私にも聞かせてくれないかな?」
「しませんよ!!」
まったく、、俺の感動を返してくれ
それから一週間後の日曜日、俺はSHIRAYUKIプロダクション、略して『しろぷろ』のオーディションに来ていた。
「では、面接を始めます。お名前をどうぞ」
「いやいや、知ってますよね?新一さん。なんでいるんですか」
この人は、俺の親友の成瀬隼人の父親の成瀬新一さん。昔から懇意にしてもらって、旧知の仲だ。しろぷろに働いているとは聞いていたが、なぜ俺の面接に...
「私も驚いたよ。伊織くん。いきなり会長にキミがいい!と抜擢されて、仕事ほっぽりだして連れて行かれたときは..」
恵理さーーん!!何やっちゃってんですか。
「仕事はまずくないですか?」
「伊織くんが緊張しないためにはキミが一番と言われたからにはいかない訳にはいかないだろう」
新一さん!!なんていい人なんだ!どっかの散らかし坊やとは大違いだ
「ム?またあの馬鹿息子、伊織くんに掃除をさせたな?一人暮らしの条件は清潔に過ごすことだというのに!!」
すまないね、と笑うと新一さんは
「あのね、恵理会長は本当に伊織くんに期待しているよ。たぶんだれよりも。あの問題の娘を手懐けるぐらいだから、会長はよっぽど嬉しいんだろうな」
娘...?のどかのことだろうか。問題ってなんだ?まあいいか
「さあ、伊織くんキミの歌を聞かせてくれ。あっ女声じゃないと失格になるらしいよ」
恵理さんめぇぇぇ!!!
「ハァ、わかりましたよ。歌えばいいんでしょ歌えば」
彼の母親以外で歌声を聞くのは、隼人と二葉を除いて新一が初めてとなる
「では、聞いてください。松阪伊織で”恋の軌跡”」
伴奏やメロディはないが、アカペラでも伝わるその歌声は誰もを魅了する歌声であった。男女関係なく、もちろんそれは新一にも言えるのであった。
「...................」
「え〜えっと?なにか言ってもらえないと困るんですけど」
「す、すごいよ!伊織くん。僕はこの45年の生涯でこれほどの歌声は初めて聞いた!これは合格間違いなしだよ、伊織くん!ねえそうでしょう?会長」
「え?」
面接の扉がゆっくり開きそこにいたのは恵理とのどかだった。
「ああ、文句なしの合格だ」
「伊織、、その?すごいな。お前の歌声は...これならアイドルですぐトップもとれるな..」
どこか寂しげにのどかはそう言った。
「のどか?はっきりいいなさい。最愛の伊織くんがアイドルになって誰かにとられないか心配なのよね〜?」
ええ?のどかが俺の事を好き?嫌いではないだろうけど、好きとまではいかないだろう
「ッ違うわ!私は別に、伊織と遊べる時間がすくなるのが嫌なだけだし..」
ああ、そんなことか
「別に俺はアイドルになったとしても、いつもと同じようにお前と過ごせるようにするつもりだが」
「はぁ〜こういう所。隼人にも見習ってほしいよ...」
えぇ?なんか俺変なこと言いました?
「伊織」
「は、はい!」
「お前はもうちょい自重したほうがいいぞ?ほら。のどかがりんごになっちゃってる」
恵理の言う通り、のどかは酷く顔を赤らめ、目をオロオロさせている
「え!あぁ。のどか、具合が悪いなら休んでもいいんだぞ?」
「は?こいつ、鈍感持ちかよ」
恵理は娘に倒せるかどうかわからない強敵を前にして、深くため息をついたのであった。
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