番外編 圧倒的片想い。
わたしは白雪のどか。俗に言う「恋する乙女」だ
同じクラスの松阪伊織が気になるのだが、今までその気持は一体なんなのかわからなかった。
侍女に聞くと、それは恋なのだという。私には全く理解できんが、
ある日、母親に一本の電話がかかってきた。旧友からだという。
内容を聞いてみればひどいものだった。借金が多すぎるから、家は息子に任して海外に出る。
腐った親もいたもんだなとその親は私の母、白雪恵理に助けを求めてきたのだ。
「は?昔あんなこと言っておいて、何よ今更。絶対助けない。二度と連絡してくんな。松阪」
松、、坂?
不意に伊織のことが頭に浮かんだ。その子供は、おいていかれる子供は伊織かもしれない。そんなことを思うといても立ってもいられなくなった。
「ねえ、お母さん。その松阪って人の子って、伊織っていう名前だったりしない?」
「そうよ?どうしてあなたが知ってるの」
やっぱり、、!いや、違うこれは偶然なんかじゃない
「ねえ、どうしても助けてあげられない?」
「どうしてこんなクズ助けなきゃいけないのよ」
いつも穏やかな母の口調が今日は一段と怖く感じた。でも、諦めない
「助けてあげて。、、その子が可哀想だ」
「そうね、可哀想ね。でもあなたには関係ないことよ」
確かにそうだ。お母さんは私が普通に助けてって言っても助けるはずない。母は私にこそ優しいが、とても合理的で怖いところがある。でも、この人の弱点はわたしだ
「お願い、助けてあげて。その子だけでも」
「嫌よ。メリットがないもの」
もう....!!言うしかないじゃない
「私がその子のことが好きなの!!」
のどかとおそろいの大きい目は大きく瞬き、ぱちくりしている。すると、恵理は笑みを浮かべた
「ホントのことなのね?のどか」
「うん..」
「そう」
.......................
「いいわ。伊織くんだけは助けてあげる」
『本当か!?』
電話から興奮した伊織の父親の声が聞こえてくる
「るっさいわね。あんたは駄目よ。当たり前でしょ?」
電話を切り、まったくあんなやつからどうやってあんないい子が生まれたのよ、とのどかは呟いた後、のどかに向かって嬉しそうな声で言った
「あんたもそんな歳なのね..伊織くん、か。どうして好きになったの?」
「そんなのわかんない。体育の時間とか授業のときとかずっとチラチラ見てたら、なんか、、」
顔を上げると、ニヤニヤしている恵理の顔があった
「も、もういいでしょ!?」
「そうねー。じゃああなた二人暮らし、してみる?」
え?そこは一人暮らしじゃないの?二人暮らし?誰と?そんなの一人しかいない。
のどかは顔を赤く染め上げ、なんとしてでも恵理にだけは見られまいと顔を必死に背けるが、彼女にはバレバレなのであった。
「しないの?じゃあこの話はなしね」
恵理は立ち上がるとわざとらしくどこかへ行くふりをする。そんな、恵理の服の端を掴んではなさないのはのどかだった
「んー?はっきりいってみなさい」
「二人、暮らし、、します」
あんなに意地悪なお母さんはこれが生まれてはじめてだった。
「こんな気持ち、口調で隠すしかないじゃない」
今から念願の伊織とので、デート。可愛いかな?変じゃないかな?あれ?伊織のタイプってなんだったっけ
「のどかーまだか?」
彼が呼んでいる。
「ちょっとぐらい待て、それとも覗きたいのか?私の着替え」
あぁもう!私、バカだ。こんなに好きなのに素直になれない。ちょっとだけアピールしたのに伊織はそのことにすら気づいてないみたい
「馬鹿!覗かない、っつーの」
別にキミになら見られてもいいけど、、ね