新しい家族
クッっっっっっっっッそ短めです。次の回から長めに書いていくのでご了承くださいな
私の娘と同居してほしい
そんなバカみたいなことを言われて、おれは一瞬、は?と狼狽してしまった。
白雪財閥、”当主”の娘となれば一人しかいないだろう。
「君も知っているだろう?紹介するよ。うちの娘の"のどか"だ!。」
やはり夢ではない。正真正銘うちのクラスのマドンナ、、白雪のどか。
でもなぜ同棲なんだ?特に関心を持ったことすらない。ただのクラスメイトだったのに。
「え、あ、もちろん存じ上げていますが、なぜど、同棲で...?」
そううろたえていると今まで黙っていた白雪が口を開いた
「私がわがままを言ったんだ。母の君の父親との電話を盗み聞きしたときにあまりにも君の境遇が、
その、可哀想だったから..ああ、その偉そうにと思うかもしれない、すまない」
なに謝ってんだよ。そうだよ今お前に腹が立っている。俺の気も知らないで、勝手に助けるような目線で救いをやるかのような。当然、俺がひねくれているのは自覚している。でもこの腹の虫を鎮めるには、この自覚は1mmも意味を持たないものだったのだ。
「提案は嬉しいが、正直同棲を受けるつもりは..ない。俺の父親が俺を捨てたって事実は変わりないし、他人に変えてほしくもない。俺を好きにコキ使ってはどうですか」
自暴自棄になってたんだとおもう。少しばかり後悔したが、今となってはもうどうでもいい。
「それはできないな、少年よ」
「い、伊織です」
「ああ、そうだったな。。伊織くん、私は君の父にこう頼まれた昔からの腐れ縁でね、5年ほど前から愛想は尽きていたが、最初はこんなの断るつもりだったのだが、娘の説得と父親の責任感らしい。あんなことしておいて責任を感じているらしいぞ?あの男は」
そういえばこのひとは小さい頃よく家に来ていた。父さんはよくこの人に会社のことを相談し、その相談によって父さんの会社が成り立っていたといっても過言ではない。でも、小学校卒業ぐらいのときだろうか、
父さんがあまりにも合理的で冷酷なこの人の判断に嫌気が指して、彼女からの助言を貰うのをとうとうやめてしまった。その後、彼女は二度と来ることはなかった。しかし、こんな形で帰ってきたのだ。
「ああ、やっと気づいたか伊織。あの頃は私もまだ未熟だった、当然あの男も」
恵理はクスリと笑った
「気づいたんだ。人を動かすには利益に基づく合理的な判断だけでは足りない。もっと感情的なものが必要だった。驚かないで聞いてくれよ?私はあの男が好きだったんだ。理解するまで3年余り掛かったがな」
困惑しながらも理解していた。不自然にも。後ろでは白雪さんがまだ申し訳無さそうにもじもじと立っていた。クラスで人気になるもんだろう。その姿でも十分映えるものがあった。
俺にはこの人に信じられないほど大きい恩を売られてしまった。しかし、やり直すチャンスをくれているのだ。
「ちなみに、拒否権は?」
ニカっと大きく笑い、
「あるわけ無いだろう!」
そうだろうなぁ。でも、答えは決めた。
「白雪さん」
ハイっ!と声ではない声を上げて俺の顔を見た彼女に言い放った
「不束者ですが、よろしくおねがいします」
そう覚悟にきめた伊織であった。
一見、伊織にデレデレ(?)なのどか。はて、同棲生活はそんな簡単なものなのか!?