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女神様が借金まみれの俺のお手伝いになるまで。  作者: 伯豆
女神様(?)降臨
10/11

葛藤、、それは成功への軌跡だ

ハァ、、


面接からの帰路で伊織は大きなため息をついた。ぶっちゃけ伊織はアイドルなんてやりたくなかった。

なぜなら、伊織はそうすることで両親からの接触がないとは言えなくなってしまうからである。

あの両親のことだ、、ビジネスチャンスとなれば飛んでくるだろう。たとえ、自分の身が危なくなったとしても。あの父親はそういう人だったんだ、、、ともう一度大きくため息を吐いた。

「どうした?伊織、さっきからため息ばっか吐いて」

「...なんでもない」

もうこれ以上他人に頼るのは嫌だ。アイドルなんてさっさと稼いで、やめてしまえばいいだろう...


伊織のこの妥協が己を苦しめるものであったのだと気づくのはこれからすぐのことだった。




『SHIRAYUKIプロダクションから初の男性アイドルのデビューが発表されました。名前はまだ公表されていませんが、今月中に初ライブを行う予定とのことです』


ある朝の天気予報が読まれ終わった後、流れ出したのは完全に伊織のことだった。しかし、伊織が気づいて選択を誤ったと感じたのは、伊織が”初の男性アイドル”ということだ。

たしかに、『しろぷろ』は女性しかアイドルを取らなかったのは間違いない。だがしかし、アイドルのことになんてサラサラ興味がなかった伊織には初耳のことだった。

すぐに、伊織は恵理のもとへ電話をはしらせた。

「は、初の男性アイドルって、、、説明してもらえます?恵理さん?」

『ああ、キミはアイドルになんて興味がなかったからそんなことも知らなかったのか。たしかのどかが言っていたな』

「ッッッッ!そんなことはどうでもいいんです!のどかに何を言われたのかは知りませんが、今すぐにでもアイドルをやめさせていただきます!」

、、、、、数秒の沈黙があった後で恵理は重々しく口を開いた


『それはできないよ』


な、

『なぜって?それが契約だからさ』

さっきまで軽い喋り方だったのが、急に重みを持った責任感のある言葉へと変わる。それに伊織は一歩身を引いてしまいそうになった

「契約?ってなんですか!俺の意向は全くを持って無視されるのですか!?」

『仕方のないことだ。それが契約。キミが無事に生活をするための契約だ、あのくそったれなお前の父親とのな』

親父...?親父がどうした...

『キミと初めてあったとき、私はキミに条件を提示した。私の可愛い大事な娘と同棲すること...ほんとにそれだけが条件だとでも思っているのか?』

ッッッ!たしかに思い返してみると、あの大金の肩代わりで一般男児ならメリットでしかないこの条件だけで済ますなんてことは普通はあり得なかった。ただ、俺はそんなものに興味がないというほど、自分と向き合うもの以外には無関心で、、だからこそ娘の花嫁修業に自分を利用したのではないかとご都合主義で解釈を曲げていた。

『それにキミを助けたのは紛れもない、お前の父親との契約だ』

「親父との...」

『お前が懸念してる両親との接触。それは案ずるな、決してお前の両親の目にお前の栄華が触れることは一生ない』

えぇ、怖。でも捨てたやつなんかに同情しない。捨ててくれたのには感謝もしてるが、それと同時に憎しみを覚えた。

『契約の内容はこうだ。松阪家は松阪伊織を白雪に養子として差し出すこと。松阪、改め白雪伊織との接触はこれ以降認められない。さらに、、”白雪伊織を養子にしたことで発生する、利益の独占”だ』

「利益の、、独占...?」

『ああ、この話をしたときお前の父親はうろたえた。お前を商材道具にするなんてな、と。こんなにも好条件な素材がいるというのにお前の父親が使わなかったのはなぜだと思う?』

おれはやっとのことで気がついた。そして信じたくなかった。両親の”裏切り”は裏切りなんかじゃなく、最後の愛情表現だったことに。そんな優しい両親がもう二度と会えないところへと行ってしまったことに。

「俺を息子以上のものとして見ていなかったから...」

『そうだ...。あの男は心のそこからお前を愛していた。だから商売がうまくいかなくても、どんなにつらくても大切なものは自分の懐から手放さなかった。まぁ、その判断が結局それを遅らせていただけなのだがな』

不意に伊織の目からは大粒の涙が吹きこぼれた。今まで大切だった家族に裏切られていたのではなく、変わることなく、身の破滅の最後まで愛してくれていたことを。どんなものより自分を大切にしてくれた父親を知ってしまったから。

『あの男は何回もそこだけは!...と懇願してきた。だから、お前に最大限の自由と自分の好きなように活動することを条件として、やっとのことで頷かせた』

「自由に...やって、いいのか??スケジュールに踊らされず、どんな曲を歌っても」

『それが契約だからな。ってことはさておき、お前は我が社のスターとなる奴だから、やめてもらっちゃ困るんだな』

伊織は涙と笑みでぐちゃぐちゃになった顔で決断した。



「俺は、、白雪伊織として、親父達が叶えることのできなかったビッグチャンスを掴んでやる」



恵理は、何も言わず電話を切った。まるで全てわかったかのように。

それから、”白雪伊織”のデビューの発表はその日の午後に速報として発表されたのだった。

デビュー曲は、、、


『恋の軌跡』

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