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ネムくんと選択肢  作者: アメイロ ニシキ
15/15

予期せぬ拾い物

 運命選択による突然のスパルタ登校に憤りを感じつつ、周りからの視線すらも耐えながら俺は逆立ちでの階段踏破を成し遂げた。

 おかげさまで両腕プルプルだよクソッタレ。ライはライで途中でギブアップしやがったし……根性なしめ!


 「ぜぇ……ぜぇ……はぁぁぁ……クソが」


 「大丈夫か? ネム」


 「うるせぇ裏切り者」


 「これでも頑張った方だってば。そもそもネムと同じ領域で活動なんて無理だよ」


 俺の領域って何だよ。ヨイショするにしてももう少しくらい敷居下げろボケ。お前の中での俺ってどんな存在じゃ。


 「ねぇねぇあの人達誰だろ?」


 「うちの制服、じゃないよね」


 「わぁイケメン……!」


 「やっべあの娘タイプだわ」


 「あの髪色って珍しいよな。ちっこくて可愛い……彼氏いるのかなぁ」


 「隣の奴が彼氏じゃない?」


 「うぐっ……だとしたら勝ち目ねぇ〜」


 逆立ち歩行で目立ってしまった代償だ。あちらこちらからヒソヒソと声が聞こえてくる。

 まぁこれくらいは予想してたことだ。女子からキャーキャー言われてんのはライで、俺を見てニヤついてる野郎共が居るのもいつも通り。これが俺達を初めて見た奴らの普通の反応だ。まったく反吐が出るね。


 とりあえず俺のことをちっこいとか可愛いとか言ってた奴、いつか蹴り上げてやるからな。


 「ちっ……行くぞライ」


 「お、おう」


 いちいち相手してたらキリが無いので、無数の視線を掻き分けながら俺達は歩みを進めた。校舎はもう直ぐそこだ。

 一先ずエルラン先生を落ち着いて待てるように、どこか人目につかないところにでも……。


 「獣臭いですわ。どうしてこんな所に汚らしい獣人が居るのかしら」


 「お嬢様に臭いが移ってしまったらどうするのよ」


 「偉そうに立ってないで這いつくばりなさいよ獣が」


 行こうとしたら目の前で謎の女達とエンカウントしてしまった。聞いた瞬間に分かる典型的ないじめっ子集団である。

 別に俺達への言葉ではないようで、女達が足蹴にしているちっこい女の子へ向けられたもののようだった。


 わー、村にもああいう奴って居たけど、街でも普通に居るんだなー。しかもお嬢様だって? あの金髪娘いいとこの娘さんか。素行はともかくよい乳を持ってる。尻も合格ラインだ。うむ、嫁に来て良し。


 「ご、ごめ……なさぃ……痛ぃ」


 「はぁ? 獣が口答えするのかしら?」


 「獣は獣らしくワンと鳴いているのがお似合いよ」


 「その通りですわね。ほら、鳴いてみせなさい」


 「……」


 「鳴けと言っているのが分からないのかし、らっ」


 「あぐっ……!」


 ん〜……いや、嫁に関しては前言撤回だな。あれが嫁に来たら毎日のように暴力を振るわれそうだ。

 のんびりイチャラブ生活を望む俺としては論外の相手と言える。惜しいなぁ、良いもの持ってるのに。


 それにしても誰も止めないな。皆チラッと見はしても直ぐに離れていってしまう。ははーん? なるほど、あの3人組はここでも有名な厄介者と見た。

 皆面倒事には巻き込まれたくない口なのだろう。分かるぜ、俺だってそうだ。


 ならば俺が! とはならないのが現実。足蹴にされてる娘がエルラン先生並みにバインバインなら勇者よろしく即助けに入るが、悲しいかな理想とは程遠い。何がとは言わないけど全体的に小さい。これでは俺の食指も動かないってもんだ。

 それに獣人ってのがね……あの獣耳と尻尾からして間違いない。好みじゃないというか、未知というか。いざ恋仲になって致そうとして、脱がしたら悪い意味で凄かったってなりかねないもんな。何がとは言わんよ。


 とは言え見過ごしてしまうのも寝覚めが悪いよなぁ。……仕方ない。


 「よし、ライ任せ――」


 「あの! もしかしなくてもラインハルトくんですか!?」


 「え? あぁ、はい」


 「キャー! やっぱり!」


 「おい今ラインハルトって」


 「まさかっ、噂の勇者か!」


 「勇者だって!?」


 「是非ともお近付きに!」


 「わっ、ちょ……! ね、ネムー!」


 誰かを助けんのは勇者の役目だろうとライに押し付けようとしたら、どこからか湧いてきた有象無象共に親友が攫われてしまった。

 憐れ人の波に飲まれたライの姿はあっという間に見えなくなり、声すら消え失せる。


 タイミング悪いなおい。流石モテる勇者様は違うってか〜クソが。俺にも分けろよその人気。女の子限定でよぉ。


 (ライが使えなくなった以上、俺に出来ることは無いな。強く生きろよ小さな獣人ちゃん)



 【殲滅しよう】

 【隙あり!パンツは頂いた!】

 【颯爽と攫う】



 助けない選択肢わい!? テメェいい加減にしろよ! 手段が違うだけで別ルートへの分岐が無いだろうが! ってかこの場面でパンツを選択肢にぶち込んでくる意味が分からんわ!


 波風立てずにこの場を乗り切るには……やはり3つ目! 後のことはどうとでもならぁ!



 →【颯爽と攫う】



 選択肢を選んだ途端、足が勝手に動き出す。

 自分でも引くほどの踏み込み。軽く石畳がめくり上がる程の脚力で地を蹴り、瞬く間に3人組へと接近。そして……。


 「おーほっほっほっ! 無様! 滑稽! まさしくこの世の底辺の姿と言っても差し支えありませゔぁはぁぁぁぁぁぁぁ!!?」


 それはもう見事なドロップキックが金髪娘の横っ面に突き刺さりましたとさ。


 容赦なんてものは一切無い。手応えで分かる本気の一撃だ。なんとまぁ運命選択さんは随分とご立腹の様子で。だからっていきなり顔面行くかよ普通、引くわー。ってか攫うだけなら蹴り入れる必要無くない!?


 「へぶふぅ!」


 「「お嬢様ー!!?」」


 芸術点高めのきりもみ回転を披露しながら、       金髪娘が顔面から着地。痛そう。


 「こ、この! あんたお嬢様を誰だと――!」


 「黙りやがれアバズレーン1号!」


 「どぅゔぉふっ……!」


 「み、ミリアー!?」


 噛み付こうとしてきた2人目にも容赦なし。まさに神速の動きで背後に回り込み、両手を腰に回してガッチリ固定。

 そのまま持ち上げて地面へ脳天から叩き落とした。スカートが裏返ってフルオープンパンツ状態である。あ、眼福です。


 「ひぃぃっ!」


 「待て待てぇい!」


 「あびゃ……!」


 薄情にも逃げ出そうとしていた3人目を足払いですっ転ばせ、がら空きになった両足首を引っ掴みブンブンブンブン振り回す。お目々グルグル、おぇっ。


 「飛べ2号!」


 「いやあぁぁぁぁぁぁ!!!」


 乗りに乗った回転の勢いを一気に解放。憐れ3人目も庭に生えていた木の中に消えていった。


 結局殲滅してるじゃねーか。どれだけ許せなかったんだよ運命選択(コイツ)。何がお前の逆鱗に触れたんだ怖ぇな。


 「行くぞオラァ!」


 「えっ、ぁ、あのっ……」


 「うるせぇ! 黙って助けられてろ!」


 「は、はひ……」


 そんでそのままちびっ子獣人を抱き上げて猛ダッシュである。ライの事なんざ気にかけてる暇もないし、と言うか体が支配されている以上は何もできない。


 とにかく今は一刻も早くここから離れたいのだ。されるがままでもいいからキビキビ走れ運命選択(バカ)






――……







 で、まぁ事件現場から離れて人気の無い校舎裏まで逃げてきた俺達。到着した途端に体の所有権が戻ってきたので、抱えていた獣人娘をポイッと放り投げた。


 流石は獣人。いきなりそんな暴挙に出られてもクルリと華麗に着地してみせた。そしてそのまま妙にキラキラとした目で俺を見上げている。

 やめろそんな目で見るな。俺普通に見捨てようとしてたから罪悪感が凄いんだわ。


 「あ、ありがとう! 何かお礼がしたいです!」


 「いらんいらん。というか子供があんな所で何やってた? ここ一応学園だぞ?」


 「私もここの学生ですから。と言っても2ヶ月前に入ったばかりで……あはは」


 なぬ!? じゃあ最低でも15かこの娘!? どう見てもノノより年下にしか……いや人の見た目どうこう言えねーわ。俺だってこんなだし。


 「ほーん。ま、次からは連中を避けて行動するこったな」


 「あっ、ま、待ってください!」


 これ以上の面倒事はごめんだ。そそくさと退散するが吉と歩き出した途端、胴体をガッチリとホールドされて止められた。


 何だお前チビのくせに大胆過ぎん? 悪いが乳と尻デカくしてから出直して来な。


 「恩を受けたら必ず返すのが獣人流、ですっ。何かさせてください!」


 「えー」


 そこはかとなく面倒くさいことになった。別に恩なんて売ってないし。運命選択(バカ)のきまぐれに付き合わされただけなんだよこっちは。


 とは言っても見るからに離してくれそうにない。見た目に反して結構力あるじゃねーか。やろうと思えばあの3人組だって蹴散らせたんじゃない?


 「何かって言われてもなー」


 「あ、できればお金以外のことで!」


 そんなカツアゲみてぇなことするかよ! 俺を何だと思ってんだコラ!



 【お互いの両手を合わせよう】

 【腹を出して仰向けになるがよい】



 え、何だこの選択肢。どうしよう結果が予想できない! いつものどストレートな変態選択肢はどうしたよ!? いやこれも考え方によっちゃ普通に変態だけども、ホントにどしたよ!?


 上は……何だ? 手を合わせたら何が始まるの? どういう意味があるの?

 下も下で何の意味があって仰向けにさせんだよ。しかも腹出してって、キショいよ。


 え〜、むっずい。上は単純にこっ恥ずかしいし、下は意味わからんし。うーん……えぇい悩んでても仕方ない! 下を選んで寝っ転がってる間にサッサとトンズラだ!



 →【腹を出して仰向けになるがよい】



 「金銭以外なら何でもと、捉えてもいいんだな?」


 「はいっ! 私に出来ることなら何でも(・・・)!」


 「吐いた言葉は飲み込めないぞ小娘。……なら、その場で腹を出して寝転べ」


 「えっ!?」


 酷く驚いた表情を見せる獣人娘。まぁ当然である。お礼として腹見せろなんて変態以外の何者でもないもの。

 でもそれでいいんだ。おらサッサと寝転んで俺がズラかる隙を作り給えよ。


 「で、でも……それってつまり、あの……」


 「何でもと言ったのは誰だったかな?」


 「うっ」


 「それとも嫌か? まぁ無理にとは言わないさ。それならそれでこのままお別れするだけだしな」


 お、それでもいいね。とりあえずこの状況から逃れられるなら何でもいいぞ。


 「い、嫌じゃ、ないです。強い人に惹かれるのは獣人の性……あなたなら別に、むしろ……でも、その……あぅ」


 何かボソボソと呟いてんだけど。でもその手は着実に自分の制服の上着を脱がしていく。何だこの背徳感。

 いや落ち着け。見た目はアレでも子供ではないのだ。最低でも俺と同い年。何も問題は無い筈だ。


 だというのに、真っ赤になった表情ともじもじと脱いでいく姿を見せられては、いけないことしてる気分になるのは最早必然。はんっ、だからと言って欲情などせんがな! 俺の好みと真逆な体型におっ勃てるほど安くないんだよ俺はなぁ!


 「〜〜っ。わ、わ……私の全部、あげます……!」


 意味不明の発言と共に、獣人娘が仰向けに寝っ転がった。あわや大事な部分まで見えようかと言わんばかりに捲り上げられた服の下から覗く健康的な肌と、見た目にはそぐわないバッキバキに割れた腹筋。

 わーすっごい流石獣人。女の子なのに何て逞しいんだろう。ふふふ、ちょっと分けろよクソが。



 【よっしゃ負けないぞ(ぼろんっ)】

 【その意気や良し。これをくれてやる】



 腹筋見せられたからってナニで対抗しようとしてんじゃねぇよ!! どこで負けず嫌い発揮してんだバカ!

 論外だ論外! 俺の聖剣は然るべき相手にこそ抜刀するもんなんだよ! 無駄遣いしてたまるか!



 →【その意気や良し。これをくれてやる】



 「お前の覚悟、しかと見届けた」


 とんでもない上から発言をかましたかと思えば、徐に片手を差し出す俺。次の瞬間、掌に光と共に黒い何かが形成され…………え?


 「今日からお前は俺の弟子1号だ」


 そう言って、形成された物を獣人娘の首に装着する。


 なるほどチョーカーってやつか。うんうんなるほど……いや、ちょ、ちょっと待てぇぇぇぇぇぇい!!! その発言もどうかと思うが、お前今っ、何もない所から作ったよね!?

 何した!? どうやった!? 何でそんなこと出来るの俺!? いやこの場合運命選択(バカ)だけど、そんな細かいこたぁどうでもいい!


 も、もっかいやってみせろ! できれば脱ぎたてのパンツとか生成してもらえると助かります!


 「励めよ」


 「は、はい。ご主人様」


 「バカめが! 師匠と呼べい!」


 「し、師匠!」


 いや呼び方なんてどうでもいいからパンツ生成しろって! やり方教えろこんにゃろう! いつも好き勝手に色んな事やってんだから、たまには俺にもやらせろや!


 「あっ、いたいた。おーいネムー!」


 そしてこのタイミングでライの登場だ。どうやら揉みくちゃにしてた連中は撒いたらしいが、間が悪いなお前って奴は。

 嬉しそうに小走りで寄ってきたライの姿を見届けたところで、体の自由が戻った。


 もちろん俺は意識を集中したさ。両手にな。


 「よくここが分かったな」


 「ネムの気配を辿ってきたから楽勝だよ」


 「え、キショ」


 「ひでー。……ところで手なんか見つめて何やってるんだ?」


 「ん〜……なぁライ。無からパンツを生み出すことは可能か?」


 「え、なんでパンツ?」


 「うるせー。出来るか出来ないか聞いてんだよ」


 「そうだなぁ……出来なくはないんじゃないか? 確か、魔法で物を作り出す人も居るって聞いたことあるし」


 なんだと!!? じゃああれか、さっきのは魔法ってことになるのか! マジかよ俺魔法使えたのか!

 正確には運命選択がやった事だが、俺の体でやったんだから俺にも実現は可能! そういうことだろ!?


 「ふんっ! んんんんんんん〜〜〜……!! ぶはぁ……! ダメだ、踏ん張ったら別のもんが出そう」


 期待させるだけさせといて俺には出来ないってオチ? 勘弁してくれよ運命選択さぁん。ちょっとくらい良いじゃんよぉ。


 「……で、そっちの子は?」


 「あ? あぁコイツか。コイツは――」


 「はじめまして。私の名前はスオウ。この度ごしゅ……師匠の1番弟子となった者です。1番、ですっ」


 何でそこ強調したんだよ。別に1番でも何でもねーよ。それ勝手に運命選択が言ったことだから俺知らんもん。


 「弟子って、何がどうなったらそんな事になるんだ? ネム」


 「俺が聞きてーところだよ。まぁ簡単に説明するなら、ピンチの所を仕方なく助けたらお礼がしたいとか何とか言われて、何やかんやありつつ腹見せられてチョーカー贈ったらこうなってた」


 「端折り過ぎじゃないか!?」


 そう思うだろ? でもほとんどそのままなんだなーこれが。


 「いや、ちょっと待てよ? 腹って……もしかしてネム、この子仰向けになってお腹見せたりした?」


 「ん? おう、よく分かったな」


 「なっ……じ、じゃあそれをされた上でネムは贈り物をしたってこと!?」


 「え、うん」


 「なんてこった……!」


 さっきから何なんだよお前。顔色青くしたり白くしたり忙しい奴だな。確かに意味不明の行動ではあったけど、別にそこまで頭抱える程の事じゃなくね?


 「ネム、獣人には特殊な儀式というか、形式というか、まぁそういうのがあるんだけどな?

 女性獣人が異性に対してお腹を見せて寝転がるってのはつまり、その人に対して全幅の信頼を寄せると共に、文字通り自分の全てを捧げる意思表示の為の行動なんだよ。

 貴方になら全部見せる。貴方になら全部あげる。貴方の為なら何でもする。そういう意味が込められてるんだ」


 「…………へ?」


 「そしてネムは、贈り物をした事でそれを受け入れてしまった。しかもチョーカーといった首に巻くアクセサリーは言うなれば首輪。それは絶対的な主従関係を意味する。

 ネム、その子の一連の行動は謂わば求愛。プロポーズみたいなものなんだよ」


 「あ、改めて言葉にされると恥ずかしいです」


 え、ちょっと待って。じゃあ何か? 俺が選んだ選択肢ってつまりそういうことなの?

 お礼がしたいなら求愛行動して俺の物になれって言ったってこと? そんでこのちびっ子はそれを受け入れちゃったってこと? え? プロポーズ? え? つまり嫁? …………え?


 や、やっちまったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

 完全なる選択ミス!! たった一度の選択で勝手に主従関係型の嫁が出来上がっただ!? ふざけるのも大概にしろよクソ選択肢がぁぁぁぁぁ!!!


 正解は上だったってことか! 変に恥ずかしがってそっちを選ばなかった事が、まさかこんか結果になるなんて……!


 「……ま、待て待て! 一つ聞かせろライ!

 じゃあ仮に、腹を見せるとかじゃなくてお互いの両手を合わせるとかだったらどうなってた!?」


 「それは、お互い対等な立場で結婚しましょうって意味だな」


 どっちにしろ嫁になるのは確定なんじゃねーかクソがぁぁぁぁぁぁぁ!!!


 「こ、こんな事が認められていいわけが……!」


 「言いにくいけど、今更無効だって言うのはやめておいた方がいい。

 獣人はそういう儀式的なものを凄く大事にしてるから、無碍にしたら後でとんでもない報復を種族総出でされる可能性がある」


 絶望じゃねーか! 逃げ道完全に塞がれてんじゃん! ってか何でそんな獣人の内部事情に詳しいんだテメェ! 知りたくなかったよそんな真実!


 「う、うぉぉぉぉぉぉ……!」


 「大丈夫だネム! いざとなったら俺が全員蹴散らすからさ! 一応は勇者だし!」


 「いや勇者が嬉々として一般人蹴散らそうとすんなや! んなことしたら学園長のオッサンに目ぇ付けられるだろ! とばっちり食らうのなんざゴメンだぞ俺は!」


 「その時は学園長も蹴散らす!」


 「お前ホントに勇者!?」


 「師匠、末永くよろしくお願いします」


 「お前はお前で空気読め(・・)!」


 「えへへ、そんな()だなんて」


 やだもうバカしか居ない! 誰か! 誰か俺を助けてくださぁぁぁぁい!!






 なんて心の叫びが聞き届けられる事は当然なく、俺にはこの現実を受け入れる他に選択肢は無いのであった。



 【ひん】

 【にゅー】

 【最高】



 いっぺん死ねテメェ!!!

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