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ナロウシャーク ~アメリカのサメ、異世界に勇者として召喚される。ナーロッパの常識が通じないけど、異世界でも喰い殺すだけなので問題ありません~

作者: 一ノ瀬瑠奈

ナロウシャーク。異世界でも喰い殺す!!米国産のサメがナーロッパ世界に勇者として召喚されました。勇者の付属物にサメが付いてくるのではありません。サメそのものが勇者です。

 

 ナーロッパ王国地下聖堂。一人の少女が王や国の上級貴族に見守られる中、ある魔法を発動させようとしていた。

「いでよ、異世界の勇者」

 聖女の言葉と共に、辺りは光に包まれる。そして何かが召喚される。召喚された何かが危険な場合に備え、二人の兵士が盾と槍を構え少女の前に立つ。




 アメリカ某所。その生き物は街中を移動し獲物を探していた。30年ほど前は海中でしか活動できなかったが、映画監督の成果により陸上でも活動できるよう進化した。若者の中にはその生き物が海洋生物だったということを知らないものもいる。

 その生き物は獲物を見つける。意識の高そうなことを言っている男女三人組だ。その生き物は突進する。意識高い系は逃げればいいのに腰を抜かしてしまい逃げられない。意識はともかく腰は低いのだろう。その生き物が口を開けて、意識高い系を捕食しようとしたとき、その生き物は謎の光に包まれ消えてしまった。




 そして舞台は再びナーロッパ王国へ。


 召喚された生き物は勢いそのままに兵士に噛り付いた。兵士は鎧を着ていたが、そんな物関係なしに噛み千切られ、喰い殺される。もう一人の兵士は少女を置いて逃げ出したが、転倒したところを足先からいただかれた。

 少女は地面にへたり込んだまま動けず、周りの貴族たちも余りの出来事に硬直したまま何もできない。そんな中一人冷静さを保ったまま玉座に座っている王冠を被った人物、国王が召喚された生き物に話しかけた。


「勇者殿、突然の召喚をお詫びする。私はこのナーロッパ王国国王、ハレム・ナーロッパです。そこにいるのはあなたを召喚したこの国の聖女で私の娘、ナホ・ナーロッパです」


 聖女こと、ナホ・ナーロッパは立ち上がり、勇者と呼ばれたその生き物に一礼する。

「私があなたを召喚した、ナホ・ナーロッパです。この度は突然の召喚をお詫びします。この地での生活は私が補償いたします。ですから」

 ここでハレム王がナホを制止し、勇者と呼ばれたその生き物に説明を始める。


 三百年前ナーロッパ王国は魔王の領土を欲するために、四人の勇者を召喚した。その勇者は年若い少年少女で当時の国王の頼みにも応じ、一通りの訓練を受けた後、魔王の討伐に向かった。犠牲を出しながらも魔王は討伐され、生き残った勇者タカシ・カワバタは当時の姫と結婚し、幸せに暮らした。平和になり、タカシからもたらされた知識により文明は発展した。タカシは死ぬ間際に予言を残した。


『魔王は300年後くらいに復活する』


「その予言通りに魔王が復活し、国土を侵略しているのです。多くの民が殺され、プランテーションで働いていた獣人奴隷が魔王軍に奪われました」


 王は自国に起きた悲劇を説明する。王の言葉に姫は涙ぐんでしまう。そして姫の周りで起きた悲劇を語り始める。姫の友人は綿花農場を所有していたが、魔王軍に侵略され奪われた奴隷により、友人は家族ともども殺されてしまった。

「一人の友人として、彼女の仇を。そしてこの国の次期女王として奪われた領土を取り戻したいのです。あなたは勇者タカシが言っていた異世界の種族、シャークでは?」

 そこに王が付け加える。

「勇者タカシは人間だったが異世界には様々な種族がいると聞く。それに鎧を着た兵士を食いちぎる強靭な顎。勇者タカシも黄金を噛み千切ったという伝説がありますし、あなたはシャークにして勇者」

 シャークは反応しない。調子を取り戻した貴族が王の言葉に反応しないとは無礼と出てきた。そしてその貴族は喰い殺される。

「Fu〇k、タッカーズ伯父様」

 Fu〇kの言葉に反応するシャーク。そこで気づいた。シャークはこちらの言葉を理解していないのではないだろうか。マホは文献を読み込み異世界言語エングリッシュについてもマスターしている。

「This is the Kingdom of Naropa」(ここはナーロッパ王国です)

 シャークが反応した。シャークはその黒い瞳でナホをみている。ナホはエングリッシュでシャークに説明を続けた。

「I want you to defeat the Demon King with me. The Demon King can eat」(私と一緒に魔王を倒してほしい。魔王は食べれます)

 シャークはこの言葉に反応し、聖堂を出ようとするが慌てて引き留める。もちろんエングリッシュでだ。ナホはシャークの扱いを理解した。シャークは紛れもなく勇者だが人のようなしがらみがない。それはやっかいだがメリットもある。獲物がいる方向、どれを食べるか説明すればいいだけだ。

 ナホの侍女がシャークを引き留めようとしたが、ナホは口を押え、彼女を制止する。シャークにこの国の言語で話しかけても餌にされるだけだ。侍女を抑えながらナホはシャークに声をかける。

「Brave man, please eat that crowned man first. He is so lean」(勇者様、まずはあの冠を被った男を食べてください。身が引き締まっています)

 その言葉に反応したシャークはハレム王とその近くにいた数名を捕食した。そしてナホは血染めの王冠を手にし宣言する。


「私が勇者様を導き魔王を討伐してまいります。帰ってきたらすぐに戴冠式ができるよう準備をしておいてください」


 侍女に旅に必要なものを持って追いつくよう指示をだし、ナホはシャークを追いかけた。




 ナーロッパ世界を駆け回る勇者シャークと聖女の物語が始まる。





 以後ダイジェスト




 ・酒場にて



 チンピラは勇者を指さしながら笑う。

「この変な生き物が勇者だって?そんなのありえぎゃあああああああ」

 食い殺されるチンピラ。

 紆余曲折の上、女盗賊と戦士が仲間になった。ナーロッパ軍にも優れた盗賊や戦士がいるが、彼らは秘密裏に動いてもらう。そのためにはいつでも切り捨てられるデコイが必要だ。


「Brave man, we have more friends for the flock」(勇者様、群れの仲間が増えました)







 ・魔王軍四天王との戦い



 魔王軍に支配されてしまった都市、アズキバー。ここで勇者一行はこの地を支配している炎の四天王ファイアーを倒すため彼の根城に魔法を打ち込んだ。

 崩れる建物。四天王のファイヤーが出てきた瞬間、勇者が捕食する。こうして都市を解放した。

 人々の反応を見て、勇者も嬉しそうだ。盗賊にはそう見えた。




 ・夜、宿屋にて



「The mating is done by this woman」(交尾はこの女がしてくれます)

 そう言ってナホは縛られた獣人族の女を差し出す。盗賊が見つけてくれた友人の家族の仇だ。獣人族の女は手足があらぬ方向に曲がっているだけではなく、喉に傷があり声がでない。おそらく声帯を切り裂かれたのだろう。



「leisurely」(ごゆるりと)


 そう言ってナホはドアを閉める。久々の休息だ。ナホはワインを持ち、魔法使いと盗賊がいる部屋に向かった。今夜は女子会だ。

 勇者のいる部屋からすごい物音がするが、宿屋を貸切っているため問題ない。




 ・魔王城にて




 ついに魔王と相対する勇者一同。聖剣を授ける精霊を捕食し、聖なる力を手に入れ魔王に勝てると思われたが、魔王も勇者対策をしていた。魔王は対勇者専用ウェポン、チェーンソーで勇者の牙に対抗している。魔王もダメージを受けているのだが、今までと違い、シャークも負傷している。

 魔法使いが水の魔法で魔王の手下の死体から血液を抜き取りチェーンソーにかけたが動きが鈍る様子はない。盗賊は既にチェーンソーで切り裂かれ、腸丸出しで死んでいる。

 焦る魔法使いだが、ナホはなぜか余裕そうな表情をしている。

「流石は魔王。よくここまで持ちこたえましたわね。私の臣下になる気はありませんこと?そうすればこの魔族の国の半分をあげますわ」

 魔王はチェーンソーで斬りかかることで答えを示す。

「そう、それは残念ですわ」


 ナホの言葉と共に何かが飛来して魔王を覆いつくす。そのなにかは生き物のようで魔王に喰らいついている。必死に振りほどくが振りほどいても新たな個体が飛んでくる。

 シャークは聖女の方を見た。魔法使いも何か聞きたそうにしている。

「勇者様のベイビーですわ」

 そう、魔王にくらいついているのはシャークと獣人の子供だ。獣人が勇者との子を孕んだと報告を受けたので、強制的に死なせずに出産させた。産まれたシャークはこちらの言語で育てて、使い捨ての手駒としたのだ。

「Brave man, stop this quickly while your children are restraining you」(勇者様、あなたの子供たちが抑えている間に早く止めを)

 勇者は最後の力を振り絞り魔王に喰らいついた。そして魔王の首から上が無くなり、魔王は息絶えた。


「I did it! Dear Brave man. Thanks to you, this country will be at peace」(やりました!勇者様。おかげでこの国は平和になります)

 マホはそう言うと、魔王の血で魔法陣を描き始める。

 Now I will return the hero back to his original world with the spell of return(今から帰還の呪文で勇者様を元の世界に帰します)


 魔法陣を描き終え、呪文を唱える。最後の呪文を唱えると、シャークの体は透明になり消えていった。

 魔王がいなくなり、平和になった空を見上げる聖女であった。




 -fin-





 アメリカ某所



 勇者シャークはアメリカに帰還することができたが、都市ではなく山奥のようだ。まずは食料のある所を目指そう。途中の村で銃を持った保安官を食べエネルギー補給をした勇者シャークは都市にたどり着く。しかし都市は無残に破壊されていて街にはゾンビがうろついていた。勇者は聖なる力を発揮しゾンビを食い殺す。


 そう、シャークが異世界に行っていた間にアメリカはゾンビによって滅んだ。ここから異世界帰還者シャークの終末無双が始まる!




帰還後のシャークの活躍にご期待ください。 追記:聖女は無事王位継承できました


用語・キャラ解説

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