2月6日 兄とは
静かな朝がきた僕は、ベットにあった時計を見つめる。時刻は、8時15分かぁ。昨日は、那由多と3時くらいまで話をしていた。那由多の家ということもあり、寝られないかなとふんでいたけど、まったくの逆だった。ベットに入った瞬間、既に寝てしまっていたようだ。窓の外はまだ薄い霧のようなものができている。そういえば、那由多はどこにいるのだろうか?体を起こしたが、那由多の姿が全く見えない。トイレか洗面所にでもいるのだろうか?すると、テーブルの上にメモ用紙が置いてあるのがわかった。メモ用紙を見てみると、三行ほど汚い字が書いてあった。「ちゃんと起きたか?俺は、バイト行ってくるから好きに家の中使っていいぞ。帰るなら、ポストに鍵を入れておいてくれ」。メモ用紙の横には、お金も置いてあった。どんだけいい兄なんだろうか?
那由多は、もうバイト行ったのか。大変だな。僕は、冷蔵庫を開き、水を口にしようと思った。そういえば、昨日開いた時は、全然何もなかったな。まだ、あるのだろうか?冷蔵庫を開けると、コンビニで買ったであろう飲み物が5本くらいあったのだった。朝から、わざわざ買ってきてくれたのたのか?これだけされると頭が上がらないな。昨日、那由多から言われた一言が忘れられなかった。「大丈夫だよ。お前なら必ず受かる」。今まで落ちてしまったらと考えると、自信がなくなってしまうことがあったけど、今はもうなくなっていた。冷蔵庫からお茶のペットボトルを取り出し、喉を潤した。時計の針はゆっくりと動いており、そろそろ動き出さないといけない気がしていた。
勉強もとりあえずしておくが、合格するような気に変わっている。まぁ、落ちたらまたそこで考えよう。僕は、完全に切り替えることができた。アイツは、あれからどうしてるだろうか?そんな心配もしてるだけ無駄だ。無駄なことを考えるよりも、今を生きよう。リモコンを手に取り、テレビの電源を入れる。朝のニュースが流れている。どうやら、最近の若者のトレンドについてのようだった。なんとも平和なニュースだ。僕は、あんまりニュースが好きではなかった。那由多から貸してもらったらパジャマから昨日着ていた服に着替え、家を出る準備をする。
テレビの横にある壁紙には那由多の好きなバンドのポスターが貼ってある。ポスターの端の方は既に痛んでおり、どこか趣があった。テレビ台の上に置かれたスマートスピーカーからは、天気予報が流れてくる。今日は、昼から雨の予報かぁ。早くこの家から出た方がいいかもしれないな。