1月30日 平均寿命
お母さん「どう?勉強は?」
僕 「まぁ、ボチボチかな」
迫りくるテストに向けて、できる限りの勉強を続けていた。
お母さん「試験は、もう少しでしょ?」
僕 「ああ」
テストの初日は、2月3日だ。
お母さん「そういえば、お兄ちゃんがテスト頑張れって言ってたよ」
僕 「そうなんだ」
また、言ってたのか。どれだけ俺のことが気になるんだよ。
お母さん「テスト終わったら、連絡入れてあげて」
僕 「終わったら、連絡いれるよ」
そこまで言うんだったら。ただ、本当に思っているのかは怪しい。お兄ちゃんのことだから、口だけっていうことも十分に考えられた。
お母さん「お兄ちゃんと連絡とってないの?」
僕 「今はとってないね」
お母さん「そうなんだ」
時々、連絡は来るけどテキトウにリアクションをつけるので精一杯だった。
僕 「とってほしいの?」
お母さん「そういうわけじゃないけど、兄弟で仲良くしてほしいわ」
僕 「なるほどな」
お母さんの言っていることは理解できた。
お母さん「私もそんなに先が長いわけではないから」
僕 「そんなこと言うなよ」
自然とお母さんの表情が崩れた。
お母さん「ハハハハハ。みんな年老いていくのよ」
僕 「それはわかるけど」
弱っているお母さんは、あまり見たくなかった。
お母さん「お母さんもね、優斗みたいに若い頃はね。そう思うんだけど年齢重ねるとモチベーションも下がるのよ」
たしかにモチベーションは大事だ。
僕 「モチベーションね。人間なんて、30歳まで生きたらもう十分だろ」
お母さん「そんなことないわよ。平均寿命なんて80歳くらいなんだから。まだまだよ」
僕たち人間の平均寿命は、年々伸びていく。これは、人間にとって本当にいいのか疑問だ。
僕 「何歳まで生きるのよ」
お母さん「そりゃあ85歳くらいまでは生きないと」
僕 「そんなに生きるの?」
お母さん「そりゃあ、そうよ。おばあちゃんだって、まだ生きてるんだから」
たしかに、僕たちのおばあちゃんは90歳になった今も健在だった。
僕 「おばあちゃん今の調子どうなの?」
お母さん「おばあちゃんは、もうそろそろかなと思うけどね」
正直、こういう話はしたくないけど。いつかはしなければいけない話だった。