1月28日 心配
昨日、山川に言われたことをずっと気にしていた。まさか、アイツが、、、、、、。あの時、もっとちゃんと聞いとけばな。後悔があとをたたない。なぜ、何も言わず東京に行ったのか?僕は理解できなかった。試験まで残り3日。今日は、学校の荷物を取りに来ていたのだ。明後日からは、広島の方に向かう。あとは、もう運次第だと考えていた。
先生「どうした?」
僕 「下田は、東京に行ったんですか?」
先生の手は止まることはなかった。
先生「そうだ。聞いてないか?」
この人にとって、アイツはそんなに重要じゃない。
僕 「聞いてます。ただ、会ってないんで本当に行ったのかと思いまして」
先生「そうか」
気にも止めず、ノートの丸つけをしている。おそらく、違うクラスのものだろう。先生は、3年だけじゃなく1年の授業ももっていたのだ。
僕 「単位は取れたんですか?」
先生「まだ取れてないけど取れるよ」
この言い方的に取れるのは決まっているみたいだな。
僕 「そうなんですか?」
先生「ああ。あとは動画をみてレポートを出せば」
動画をみてレポート。つまり、学校に行かなくていいということ。
僕 「じゃあ、こっちにもう戻って来ないんですか?」
先生「おそらくな」
戻ってこないのかよ。
僕 「卒業式は?」
先生「無理だろう」
この言葉は、想定外だった。嘘だ、嘘だと言ってくれよ。
僕 「何でですか?」
先生「手術をする日と重なってるんだ」
何も言えなかった。まさか、、、、、。
僕 「じゃあ、下田はどうなるんだ?」
先生「また、落ち着いたら連絡するって言ってたよ」
落ち着いたらっていつだよ?
僕 「そうですか、、、、、、、」
先生「それよりも、試験は大丈夫なのか?」
全部の丸つけを終えた先生は、ペンを直していた。
僕 「まぁ、それなりに」
先生「心配してたぞ?下田も」
僕 「え?」
先生の顔を見つめた。
先生「こっちを出る前にな、受かるようにお祈りしてたよ。特にお前についてな」
そんなことがあったなんて知るよしもない。
先生「じゃあ、先生は行くからお前も気をつけて帰れよ」
僕 「わかりました」
先生「そうだ」
何かを思いついたかのように俺の方を向いた。俺もその期待に応えらように目線を戻した。