1月21日 祝い
慌てて、教室に入ってきたのは藤岡だった。大体何をしているのか検討はついた。このクラスの飾り付けを見ればわかる。すると、教室のドアがゆっくり開かれるのがわかった。クラスの女子たちは、歓声と拍手の音で教室の中に響き渡った。彼女は驚きで一瞬戸惑ったが、すぐに喜びで笑顔を見せた。教室の壁には飾り付けで色とりどりになっていた。時刻は、16時だった。昨日は、学校がなかったこともあり、誕生日を祝うことができなかったため、今日するのは、僕たちの女子であれば理解できた。
風船が天井からゆっくりと落ちてきた。どうやら、天井に吊り下げられていたものみたいだった。僕は、気にせず宿題に取り組む。中心人物であった高田と寺崎は「ハッピーバースデー!」と叫んだ。そして、それに伴うように、彼女の周りにいた林、藤岡たちが彼女の周りを囲み、歌を歌い始めた。満面の笑顔を見せていた。しかし、その周りには、新谷、蒼井、山川たちの姿はなかった。何をしているのだろうか?「ありがとう、みんな」。彼女は、笑いながら、みんなに声で言った。みんな受験が残っている。そんな中で、自分の誕生日を祝ってもらえる彼女の人望はやはり凄いのだろう。「まさか、今年祝ってもらえるなんて、思いもしなかったよー」。
すると、高田と寺崎が近づき、彼女の前に大きな箱を抱えて歩み寄った。どうやら、誕生日プレゼントみたいだ。彼女が開けるところを撮影しようと、林がスマホで撮影し始めた。勉強に集中しようと思うけど、彼女らの声で集中できない。彼女は、袋の一つ一つを丁寧に開けていく。どうやら、箱の中には、ネックレスが入っていた。「うわー、可愛い」。興奮が抑え切れないのか、彼女は大きな声を出した。その声に影響されるかのように、高田たちも喜んでいた。「ありがとうー!」。すると、寺崎が「一緒に写真撮ろうよ」と言い出した。まだ
続くのか。僕は、ツッコミたくなってしまっていた。寺崎は、スマホを取り出した。近くにいた中沢が撮るみたいだ。彼女たちは一緒にポーズをとり、最高の笑顔を浮かべていたのだった。
さっきまで騒いでいたのが嘘のように、みんな帰っていくのだった。僕は、5人ほど残ったうちの一人だった。僕は窓辺から外の夕暮れ空を眺めていた。彼女は、改めて特別な奴なんだと実感した1日だった。切り替えて、問題集を解き始めた。飾り付けが妙に残っているのがおかしく思えた。