1月17日 試験結果
クラスにつくと、アイツはいつものように近づいてきた。
アイツ「どうだったの?」
僕 「何が?」
おそらく試験のことを言っているのだろう。初手からそれを聞くなんて、相変わらず度胸があるというか、、、、、。僕にとってアイツの行動は理解できないものだった。
アイツ「いや、試験だよ」
僕 「ああ、試験ね」
知らなかったフリをした。
アイツ「そうそう。難しかったんじゃないの?」
僕 「まぁ、最低限のラインはクリアしてた感じかな」
アイツ「よかったね」
そこには、ニッコリとした笑顔があった。それは、どういう意味をさすのか。今の僕には、わからなかった。
僕 「そっちは、進路決まったの?」
アイツ「まぁね」
よくわからない表情をしていた。俺と会っていない期間に、何かあったんじゃないかと思わせてくれる。まぁ、いいんだけど。
僕 「どうするの?」
アイツ「それは、優斗が決まったら教えてあげる」
僕 「なんだよ、それ。早く教えろよ」
どういうことだ?でも、共通テストも受けなかったのだから、やっぱり就職するんだろうか?
アイツ「秘密でーす」
僕 「なんだよ」
アイツ「いずれわかるよ」
僕 「ふーん」
この時、僕は大事なことを見過ごしていた。こんなにも大事なことに気づけないなんて。
アイツ「真紀とかは、あんまりよくなかったらしいよ」
僕 「そうなんだ。てゆうか、人の結果教えていいのか?」
ここにいるほとんどの人が、共通テストを受けていたんだ。僕は、集中しすぎていて、誰が同じ会場にいたのかすら覚えていない状態だった。他の人からしたら、ありえないのかもしれない。
アイツ「いいも何も、優斗が励ますんでしょ?」
僕 「なんでそうなるんだよ」
その理論はよくわからない。
アイツ「私みたいに受けてないやつが励ましてもしょうがないでしょ」
僕 「別に受けてても変わらないだろ」
すぐさま反撃した。
アイツ「みんな受験勉強頑張っても、それぞれ結果は違うんだからね。わかる?」
僕 「わかるわ」
僕にもそれくらいわかる。けど、それはやる前からわかっている。それでも、みんな受験勉強という道を選んだのだ。
アイツ「だったら、優しくしてあげないと」
僕 「なんで優しくないんだよ」
自分が優しくないなんて、思いもしなかった。