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1月14日 前日

 今日が試験前最後の勉強だった。静寂が部屋を支配し、壁時計の秒針だけがチクタクと音を立てている中問題を解き続けていた。私は、テストさながら、60分間でどれだけ解けるかは、明日の試験のいい準備だ。窓の外には、激しい雨が降り注いでいた。嵐のような風が吹き荒れ、窓ガラスを叩くような音を鳴り響かせていた。

 机の横にある棚には、これまで解いてきた難易度の高い問題集が置かれている。こんだけやってきたんだ、俺ならできるだろう。これまで何ヶ月にも渡って勉強に費やしてきた。当然、今となればもっとやればよかったと思う気持ちもなくはないが、それだけやってきたという思いもあった。まだ十分ではないような気がするけど、焦る思いを落ち着かせていた。

 問題を解き終えた僕は、丸つけをし始めた。目標は、80点以上。シャーペンで書いた答案用紙は、消しゴムのあとだしわくちゃになっていた。答えを見ながら、解答を丹念にチェックしていく。正答に丸を付け、誤答にはバツを付ける。丸が続くとホッとするが、バツが出ると不安になる。昨年、似たような問題を解いた時は、ひどい出来だった。丸つけをしたら、ほとんどすべての問題が間違っていたのだ。僕は、一年後の受験が落胆で仕方なかった。

 あれから一年。僕は、文句を言わずに勉強をしていた。苛立ちで、何度も勉強をやめたいと思ったこともあった。それでも、明日の1日のために勉強をしてきた。すべての採点をし終えた。合計点数は、82点。ギリギリ目標点数に到達していた。僕は、間違えた回答をじっくり見ながら、どこで間違えたのかを分析した。すると、基本的なミスがほとんどであったことがわかった。本当に理解できなかった問題は一つもなかった。あとは、明日ミスをできるだけ減らせるのがポイントだった。

 最後に、さっきの解答用紙を、棚に直し、起き上がった。洗面所に向かう。これで、今日の勉強は終わりだ。後は、歯磨きをして明日を迎えるだけだ。やったことを忘れないように歯磨きをし始めた。歯ブラシが左右に動いている間も、さっきわからなかった英単語を唱えていた。しかし、頑張って覚えても、どうせ明日の試験には出てこない。意味がないことをしているとわかりながらも、最後まで必死にあがこうとしていた。歯磨きを終え、再び、自分の部屋に戻る。部屋の電気を消したまま、ベットに飛びこむ。そして、私は目を瞑り、明日を迎えることにしたのだ。

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