1月12日 共通テスト
あと、8分で今日の勉強もおしまいだ。今日は、3日後に迫った共通テストの過去問を解いていた。なかなか難しい問題がほとんどだったが、本番前にいい勉強だったと前向きだった。志望校の本番までは時間があるが、共通テストは、一定数の点数は必要だった。俺は、5教科の合計得点を400点以上に設定していた。英語90点、数学70点、国語75点、社会85点、理科80点という内訳だった。個人的には、現実味がある点数だとふんでいた。しかし、周りのみんなからは、英語が高すぎると指摘を受けており、どこか不安だった。
この共通テストには、二つのカラクリがあった。一つ目のカラクリは、この共通テストが良かった者には本試験でアドバンテージが与えられるというものだ。例えば、共通テストで英語が80点。本試験で英語が60点だとする。一般的には、英語は60点の評価だが、本試験は70点くらいの評価となるらしい。逆にテストの点数が悪くても影響は受けないのだ。
二つ目のカラクリは、共通テストの合計得点が、自分たちの学校が他校から評価されるシステムなのだ。例えば、聖徳高校の共通テスト受験者の5教科合計得点が350点、淮南高校が370点、海美高校が390点という結果だったとしよう。その場合、ここら辺の地域の高校は、海美高校が学力No1の学校という評価になるのだ。このシステムにより、学校側も上手く勉強を教えないといけないと考えるというようになる。
聖徳高校は、どちらかというと、この共通テスト受験には、前向きな学校だった。少しでも可能性があるなら多少学力が低くても受験させる傾向にあった。一方で、淮南高校は、共通テスト受験には、否定的な学校だった。近年受験者も増えているし、推薦枠での大学入学も多い。変に学校の評判が落ちてしまう方が、高校にとってはデメリットが多いみたいだ。俺は、高校入学した頃から、共通テストは受けることに決めていたし、推薦枠を使うなんてことは考えていない。
だからこそ、この共通テストにかけていたし、本試験でもそのアドバンテージが活かされるならとこの3年間考えていた。そんな俺と真逆なのが、アイツだった。アイツは、いければどこでもいいといったタイプで、推薦枠でも問題なかったみたいだ。俺は、解いていた過去問を閉じて、筆箱にシャーペンを直し始めた。もう20時だ。そろそろ図書館も閉まるから、俺は椅子から立ち上がることにした。