12月27日 容姿
昨日の会は、実に長かった。1日しかないのに、こんなに長く感じることは初めてだった。
ー12月26日ー
背後からやってきたのは、小野田だった。一瞬、誰だかわからなかった。しかし、どこか見た容姿。すぐに自身の名前を伝えてくれたのだった。彼女との記憶は、小学生までしかない。引っ越したというのもあるけど、彼女のことを気にする余裕なんてなかったからだ。
小野田「どうしたの?」
俺 「いや、、、。懐かしいなっと思って」
小野田の容姿に見惚れてしまっていた。
小野田「そう?私、一発でわかったのすごくない?」
たしかに、一度でわかるのは凄いと思う。
俺 「昔と変わってないからわかりやすいんじゃないの?」
小野田「そうかな?」
自分でも、あまり変わってないのは自覚していた。
俺 「そうだよ。陰キャのままだから、俺は」
小野田「そんなに悲観的じゃなくても」
そう言われると、余計自虐的になってしまう。
俺 「なんか、昔と変わった?」
小野田「変わった風に見える?」
昔の小野田とのイメージが違っていた。俺のイメージは情熱的。でも、今はクールという感じだ。
俺 「見える、見える」
小野田「どの辺が変わってる?」
どの言葉を使うか迷った。直接的に言うか間接的に言うか。
俺 「見た目かな」
口から出てきたのは直接的な表現だった。
小野田「ハハハハ。それは、化粧もするからじゃない?」
その通りだ。よかった。地雷を踏まなくて。
俺 「なんかそういうのじゃないんだけどな」
なんとか誤魔化しに成功した。
小野田「んー。そっかぁ。昔、ずっと本読んでたけど今でも読んでるの?」
やっぱり、小野田は昔の俺のことをよく覚えている。俺が、毎日のように本を読んでいることも知っていたなんて驚きだ。
俺 「読んでるよ」
小野田「私、昔、世田くんに薦められた本、まだ持ってるよ」
頭の中にハテナマークが浮かぶ。
俺 「えー、そんなのあったけ?」
小野田「あったよ。覚えてないの?」
私たちは、みんなが待つ集合場所が見えてきた。少し離れていたが何人かいることに気がついた。
俺 「まったく」
小野田「たしか、『スター』っていう本だよ」
あっ、あの本かぁ。俺が小学生の時にハマっていた本だった。