表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/80

12月17日 東京

 今年も残り14日となった。目まぐるしく毎日が過ぎていくから自分でもよくわからなくなっていた。最近は、お兄ちゃんが家に帰ってきている関係で、いろいろ振り回されていた。そのことをアイツに話すと、とても嬉しそうにしていたのだった。

 アイツは、一人っ子だからそういうことも経験したことがないのだろう。アイツも東京に居たらしいし、アイツも誘ってあげた方がよかったのかな?那奈と話していて思った。


 那奈「優斗は、どうするよ?」

 僕 「いや、行かねぇよ」


 那奈は、興味津々に聞いてくる。


 那奈「行かないの?」

 僕 「うん。だって、知らない奴とサッカー見てもな」


 もともとサッカーに興味はない。東京に行くチャンスだと思い、話し合いに応じただけだった。


 那奈「じゃあ、私も連れてってよ」

 僕 「えっ?」


 なんだ、それ?昨日のお兄ちゃんもそうだけど、僕を惑わすことばかり言ってくる。


 那奈「ダメなの?」

 僕 「いや、知らないよ」


 知らないとしか言いようがない。お兄ちゃんが何を考えて僕を誘ったのか?どうして来て欲しいのか?


 那奈「知らないの?」

 僕 「だって、お兄ちゃんが値段決めてるし」


 昨日聞いたら、本当は4000円で行けるらしい。4000円で1泊2日できるのはありがたい。でも、ここに他の人がいるのであれば別だ。むしろ、お金をもらってもいきたくないくらいだ。


 那奈「じゃあ、私の分も言っといてよ」

 僕 「嫌だよ、面倒くさいし」


 那奈は、しかめっつらをした。


 那奈「そう言わないでよ」

 僕 「でも、那奈も困るだろ?知らない人ばかりで」


 いいところをつけたと思った。しかし、那奈は、まったく表情が変わることなく話を始めた。


 那奈「困らないよ」

 僕 「なんでだよ!」


 俺は、大きな声でツッコンだ。


 那奈「ハハハハ」


 那奈は、とても笑顔だった。


 僕 「ホントに行きたいの?」

 那奈「行きたいよ」


 とても真剣な様子だった。僕は、これ以上、那奈を拒むことはできなかった。


 僕 「どうしてもって言うなら聞くけど」

 那奈「お願い、聞いてよ」

 

 大きなため息が出た。


 僕 「わかったよ」

 那奈「やったー」


 大きく両腕を上げて喜んでいた。


 僕 「じゃあ、明日どうだったか伝えるよ」

 那奈「ありがとう。いい答え待ってるよ」


 どうなることやら。俺は、呆れてしまっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ