12月17日 東京
今年も残り14日となった。目まぐるしく毎日が過ぎていくから自分でもよくわからなくなっていた。最近は、お兄ちゃんが家に帰ってきている関係で、いろいろ振り回されていた。そのことをアイツに話すと、とても嬉しそうにしていたのだった。
アイツは、一人っ子だからそういうことも経験したことがないのだろう。アイツも東京に居たらしいし、アイツも誘ってあげた方がよかったのかな?那奈と話していて思った。
那奈「優斗は、どうするよ?」
僕 「いや、行かねぇよ」
那奈は、興味津々に聞いてくる。
那奈「行かないの?」
僕 「うん。だって、知らない奴とサッカー見てもな」
もともとサッカーに興味はない。東京に行くチャンスだと思い、話し合いに応じただけだった。
那奈「じゃあ、私も連れてってよ」
僕 「えっ?」
なんだ、それ?昨日のお兄ちゃんもそうだけど、僕を惑わすことばかり言ってくる。
那奈「ダメなの?」
僕 「いや、知らないよ」
知らないとしか言いようがない。お兄ちゃんが何を考えて僕を誘ったのか?どうして来て欲しいのか?
那奈「知らないの?」
僕 「だって、お兄ちゃんが値段決めてるし」
昨日聞いたら、本当は4000円で行けるらしい。4000円で1泊2日できるのはありがたい。でも、ここに他の人がいるのであれば別だ。むしろ、お金をもらってもいきたくないくらいだ。
那奈「じゃあ、私の分も言っといてよ」
僕 「嫌だよ、面倒くさいし」
那奈は、しかめっつらをした。
那奈「そう言わないでよ」
僕 「でも、那奈も困るだろ?知らない人ばかりで」
いいところをつけたと思った。しかし、那奈は、まったく表情が変わることなく話を始めた。
那奈「困らないよ」
僕 「なんでだよ!」
俺は、大きな声でツッコンだ。
那奈「ハハハハ」
那奈は、とても笑顔だった。
僕 「ホントに行きたいの?」
那奈「行きたいよ」
とても真剣な様子だった。僕は、これ以上、那奈を拒むことはできなかった。
僕 「どうしてもって言うなら聞くけど」
那奈「お願い、聞いてよ」
大きなため息が出た。
僕 「わかったよ」
那奈「やったー」
大きく両腕を上げて喜んでいた。
僕 「じゃあ、明日どうだったか伝えるよ」
那奈「ありがとう。いい答え待ってるよ」
どうなることやら。俺は、呆れてしまっていた。