寝取られたのは僕だった
勢いで作ったのでかなり短いです。
僕、池間陽一には自慢の彼女がいた。彼女の名前は桜井朱音。僕はいつも彼女のことを朱姉と読んでいた。
朱姉は僕より一つ上の幼馴染で、高校では生徒会長をしている。容姿端麗で周囲からの評判もよかった。
ただ、僕には大きな悩みがあった。朱姉と違って僕には何の特技もなく、容姿も普通だった。つまり、彼氏として朱姉と釣り合いがとれていないのだ。
そんなある日、僕は見てしまった。朱姉とイケメンの副会長が抱き合っている姿を。
「ようくん、これは違うの!」
朱姉は必死に弁明しているけど、僕には来るべき時が来てしまったのだと思った。
「朱姉、ごめんね……。僕は恋人に相応しくないってことだよね……」
「違うの! 副会長がいきなり――」
僕は朱姉の話も聞かず、その場から逃げた。
「ようくん、待って!」
情けなかった、悔しかった。彼氏なのに、僕は副会長に負けてしまったのだ。
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「陽一、大丈夫?」
「わぁ!」
とぼとぼと帰り道を歩いていると、もう一人の幼馴染、山下美津希から声をかけられた。
「美津希か、びっくりさせないでよ」
「驚いた? それで、何かあったの?」
「実は……」
僕は美津希に全部話した。美津希は僕の言うことを否定せず、頷きながら話を聞いてくれた。
「そっか……辛かったね、陽一」
「うぅ……」
「大丈夫! 朱姉にフラれても私が傍にいてあげるから! 私なら陽一と釣り合いもとれてるよ」
「うぁあああああ!!」
僕は美津希の胸で泣いた。美津希は嫌がりもせず、僕の頭を優しく撫でてくれた。
失恋した僕は、その後美津希と付き合うことになった。
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アーハハハ! おっかしい! 副会長、朱姉が惚れてるって私が言ったら信じちゃうんだもん。ホント、馬鹿だよね。
「この泥棒猫! 絶対許さない!」とか言ってたけど、泥棒はあんたよ、朱音。
幼稚園の時にいきなり陽一の隣に引っ越してきて、私の陽一を奪ったのはあんたなんだから。
それだけじゃない、あんたは陽一を苦しめてた。劣等感に苛まれてた陽一の気持ちがあんたにわかる?
あんたと付き合ってた時よりも、私と付き合ってる時の方が陽一は笑顔が多いの。
陽一のファーストキスも純潔も私が貰ったって言ったら、あんたが大泣きしてこっちは最高の気分になれたわ。ありがと、私の踏み台になってくれて。
陽一、大好き。私がずっと一緒にいてあげるからね。
最後まで読んで頂きありがとうございました。