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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

何故、彼は勇者を裏切ったのか

作者: 後藤秀之真

勇者(チート持ち+ハーレム体質)の友人もしくは同性の仲間ならこのような感情を抱くのではと考え書きました


ん?

こんな所でどうした、少年。

入らないのか?



あぁ、もしかして冒険者ギルドは初めてなのか?

確かに、この時間帯の割には人が多い・・・どうした、そんなに呆け・・・て。

・・・いや、何でもないさ。



ほぉ、その年齢でよく俺の顔と名前を知っているな。

勤勉な少年だ。

そう、俺がここ帝都ガザリアの冒険者ギルド本部長、キルレートだ。

・・・ははは、その呼び名は恥ずかしいからやめて欲しいな。

確かに君の言うように、【英雄】とも呼ばれているがね。



ふむ・・・。

少年、名前は?

・・・ジョン、か。

なかなかありきたりな名前じゃないか、いや、気を悪くしたのなら謝る。

すまない。

だが、君の非凡さと釣り合わないと思ったんだ。


・・・あぁ、そりゃ知ってるさ。

辺境ロストル出身で、まるで彗星のように現れた将来有望な冒険者、ジョン=スミス。

山岳都市メキララキラを襲った凶獣タンクゴリラ討伐、この大陸の近海を荒らすスミー海賊団を殲滅、不夜城ソゥプでは街中に蔓延った悪霊を消し去る。

先日はヤコブ卿の令嬢様を誘拐犯から救い出したそうじゃないか。

君の風貌は知られてはいないが、その名前を知らない冒険者はいないだろう。


・・・ふむ、少年、今時間はあるかね?

拠点をここに移すのだろう?ならば、俺が手続きをしようじゃないか。

いや、構わんさ。

君の活躍を聞き、一度話をしてみたいと持っていたんだ。

勇者ダンザインの再来と言われる君と、ね。





まぁ、座り給え、今書類を用意しよう。

ん?何故本部長室に通されたのか、だって?

それはそうだろ、君がロビーにいれば周りが騒がしくなるからな。



・・・それに、聞きたい事があるのだろう?

そういう目をしている。



・・・俺が【英雄】と呼ばれるようになった理由?

んまぁ、自分で言うのもアレだが、その情報は集めやすいだろう。

それこそ、詩にも絵本にもなっている程度だぞ。


================================


ある日、勇者ダンザインとその仲間達が、魔王に戦いを挑みました。

勇者 ダンザイン。

聖女 テテス。

大魔導 モーリー。

重戦士 キルレート。

弓姫 ポポーパ。

剣聖 ナツミ。

ドラゴンテイマー ルナール。

義賊 プラコッテ。

賢者 イブリア。

聖銃士 ビチマルク。


彼らは魔王四天王を難なく屠り、魔王の城へと攻め込みました。

だが、魔王の力は強大でした。

勇者の仲間が一人、また一人と倒されていきます。

そして、ついに勇者がやられてしまいました。


勇者達の屍を嘲笑う魔王。

最後に勇者の屍を辱めようと、魔王は前へ出ました。

すると、瀕死の重戦士が最後の力を振り絞り、勇者の持つ聖剣を魔王へと投げました。


ギャアアアアアッ!


その一撃は魔王に大きな傷を負わせます。


互いに、あと一撃で敵を倒せる場面。

だが、魔王と重戦士は動けませんでした。


重戦士は考えます。

もしこのままお互いに倒れれば、大変な事になる。

人間の世界はすでに疲弊し、魔王に挑む戦力は無い。

そして魔王も倒れれば、統率を失った魔族が、無秩序になってしまう。


重戦士は、魔王に停戦を持ち掛けます。

魔王もここで死ぬよりは、と重戦士の提案を受け入れました。


かくして、戦いは意外な結果を迎えました。

「この世界を平和にする」という勇者の理想を、重戦士は受け継ぎます。

重戦士は進んで魔族との間を取り持ち、また、魔王は重戦士を信頼し、交流を深めました。



その結果、魔族との友好が生まれ、人間と魔族は融和しました。


重戦士は言いました。

「あの時、勇者達が、俺に最後の力を与えてくれたのだ」と。



魔王に戦いを挑み志半ばで散るも、確かに平和の礎を築いた9人。

彼らに敬意を表した各国は、彼らを模したナインスターを、平和の印としました。

そしてその印は、冒険者ギルドの象徴となったのです。




================================



・・・と、実に有名な話だ。

君も知らないわけじゃないだろう?




とは言え、こんなおとぎ話を聞きたいわけじゃないんだろう、君は。

あの時何が起こったか、話そうじゃないか。




勇者を殺したのは魔王ではない、俺だ。




・・・ん、どうした?

ワイバーンが石礫くらったような顔をして。

まぁ、俺が正直に話すとは思わなかったんだろ?



何故、殺したかだって?

そりゃ、憎かったからさ。


勇者は俺を信頼してたのに?

馬鹿を言うな、あれは信頼じゃない。

便利な奴といいようにこき使われていただけだ。



そんなはずがない?

ほぉ、君はまるで己がダンザインのように言うんだな。



・・・話を続けよう。




・・・あぁ、君の言う通り、俺とダンザインは同じ村で育った幼馴染だ。

それだけじゃなく、聖女テテスと、大魔導モーリーもだ。


ダンザインは血気盛んで、何事にも一直線だったな。

テテスは内気だが、ダンザインの暴走を諫める良い関係だった。

モーリーはまぁ、俺とは異性の親友・・・な感じだったと思う。


ダンザインはテテスと、俺はモーリーと恋仲だった。

将来の約束もしていたさ。



ダンザイン含め、俺達はどこにでもいるようなガキだった。

年上と喧嘩すれば負けるし、オオカミと出会った日にゃ小便ちびりながら逃げる位のな。



15歳の頃、俺達の村に大穴が開いたんだ。

ザーガじいさんが丹精込めて作ってたもろこし畑に、ぽっかりとな。

後で解った事だが、あれは神話時代の遺跡だったようだ。

だが、そんな事知らない俺達には、好奇心を満たすには格好の事件だった。


俺達は縄を持ち寄り、村長達が来る前に穴の中へと入りこんだのさ。



石壁の内部は、ヒヤッとしていたが明るかったな。

壁にくっついた苔が、青白い光を出していたよ。


特に化け物や幽霊も出ず、俺達は遺跡の奥へと着いた。

そこには、大人程度の大きさにの、朽ちた女神像があったのさ。


何だ、なにも無しか。

ダンザインがつまらなそうに零すと、女神の像が光りだしたんだ。


10秒・・・いや、もしかしたら3分くらい、もしかしたらそれ以上か。

女神像からあふれる光に目を細めると、女の声が聞こえてきたんだ。




<私は■■■■■■■■■■、もはや朽ちる定めにある存在です>



おい、石像がしゃべったぜ!

そう慌てる俺達を無視するかのように、女神の声は続いたんだ。

当時はよくわからなかったが、過去、魔族との戦いで敗れた女神らしいな。



<私の最後の力を使い、貴方達に魔族と戦える力を与えます>



ってな事言ってたが、意味が解らなかった。

だってそうだろ?

魔族は確かにいたが、俺達人間と戦争なんてしていなかった。

そりゃ小競り合いしてた地域もあっただろうが、友好的だったはずだ。

魔獣やアンデッドは、魔族とは関係ないしな。



<どうか せか い を  おね  がいし >



だが、なんたらって女神は勝手な事を言い残したんだ。

石像が崩れると同時に、俺達の体が光った。


・・・この時、俺達は力を得たんだ。



んで、どうやらそのなんたらって女神は、教会のお偉いさんにも言葉を残していた。

迷惑にもな。

まぁ、当時は心躍ったのは認めるさ。

俺は選ばれた人間なんだ!と無邪気に優越感に浸っていた。


ん・・・、大体3日後だったかな。

国が、俺達4人を招集したんだ。

俺達が住んでいたのはド田舎だったからな、王族の馬車が来ただけで大騒ぎだった。


で、その馬車に乗せられて、王城に行ったわけだ。

拒否権は勿論無かっただろうな。


正直、陛下を前に緊張しててな、何を言われたか全然覚えてねーんだ。

テテスもモーリーも、同じだった。

ただ、ダンザインだけが臆する事も無く、王族達に真っ直ぐな目を向けていたんだ。


あとで教会関係者に言われた事だが、要するに4人で魔族と戦えって話だったらしい。

魔族は表向き友好的だが、裏では狡猾に人間の国を支配し始めているんだとよ。


今思うとおかしいよな?

いくら女神の力があっても、こっちは4人だ。

何で国の軍隊を使わねーんだって話だ。


確かに、俺達の成長はすごいモノだったよ。

流石女神の力だ、ってな位だ。

だがそれでも、軍を動かした方が勝てるだろう、と思ったわけだ。



・・・理由は後程分かったがね。


まっ、それはおいおい話していくとするか。




俺達は強くなるよう、厳しい訓練を課せられた。

筋肉痛で喚こうが、体調が悪かろうがお構いなしだ。


俺達は女神に選ばれたんだぞ、という驕りは勿論あったさ。

だが、確実に強くなっていくのが解り、次第に楽しくなっていた。


ダンザイン達も含め、俺達4人で魔族を倒せる、と信じていた。

しかしなぁ、ダンザインと模擬戦をする内に、目が覚めたのさ。




あぁ、やはり勇者は、ダンザインは特別なんだ、ってな。




ダンザインが得た勇者って力は、そりゃもう規格外だったよ。

俺が1進んだら、アイツは10進んでたくらいだ。



次第に、周りの眼もダンザインを特別視するようになった。

比べられるのは、勿論俺だ。


ダンザインと比べて・・・と、毎日のように侮蔑の目を向けられた。


だったら、得意な分野を伸ばせばいい。

俺は重戦士と言う、防御に特化された力を得た。

なので、皆の盾になるために、必死に食らいついて行ったさ。


だが、現実は酷いもんだ。

俺が奥歯を軋ませて防ぐような攻撃も、アイツは涼しい顔して受け止める。

ならばテテスとモーリーを守ろうとするも、アイツが片手間で護って行く。


俺、何の為にいるんだろうな、って感じだったよ。



だがな、アイツは俺を大切な仲間と言ってくれていた。

それも、本心でな。


・・・俺のみじめさ、解るか?

・・・君には、解らんだろうな。

全てを持つ人間、って奴には。





ふぅ。

少し酒を注がせて貰うよ。

君も何か飲むかね?

・・・そうか。




結局、俺はパーティに残った・・・アイツの頼みでな。

最初は勘ぐったよ。

俺と比較させる事で優越感に浸ろうとしているとか、相手に良く見せたいとかさ。

だが、そういうのは全く無かったんだ。

心底、俺に居て欲しいと。

俺には別の強みがあると、そう信じて疑わなかったんだよ、奴は。


俺の強み、と言われても困ったもんだ。

全てにおいて、俺はあいつの下位互換だ。

丁度その時から、パーティーに仲間が増え始めててな。



世界樹を魔族から守った際に仲間になった、エルフ族の弓姫 ポポーパ。



異世界から迷い込みそのままパーティーに居座った、剣聖 ナツミ。



竜族との通訳として加入した、ドラゴンテイマー ルナール。



レゲン帝国の陰謀を暴く際に尽力してくれた、義賊 プラコッテ。



ダンザインに一目惚れし沈黙の塔から飛び出してきた、賢者 イブリア。



火の四天王との激戦で共闘した東国の姫、聖銃士 ビチマルク。




俺達が魔族と戦うにつれ、仲間になって行った連中だ。

志を共にする・・・では無く、ダンザインに惚れた奴らばかりだったがな。

何故か女だらけで、笑いが出るぜ。

その分、ダンザインの為ならばと戦う姿は、とても勇ましかったよ。


この辺りから、俺は戦いに参加しなくてもどうにかなっていた。

と言うか、明らかに俺を邪魔ものとして見る奴も出始めてな。

そこで俺は、裏方に徹しようと考えたんだ。



一応言っておくが、俺は必ずしも弱かったわけではないぞ。

ダンザインには遠く及ばなかったが、単純な戦闘能力はパーティー内で2番目という自負はあった。

騎士団総出でも倒せるかどうかのドラゴンも1人で余裕だし、迷宮都市の魔物暴走も俺だけで処理出来てたしな。


ただ、皆がダンザインと比較するんだよ。

だから、相対的に俺の評価が低いんだよ。


ん?

そんなの知らなかったって?


そりゃそうだろ。

皆、ダンザインに隠れて言ってやがったからな。

賢者なんか、ダンザインにチクればお前を消すとか言いやがったからな。


ダンザインがやる事は、皆褒め称える。

俺がやる事は、ダンザインだったらもっと上手にやれたのにと非難する。

頭がおかしくなりそうだったぜ。

いや、おかしくなったから、アイツを殺したんだな、くくく。


我慢できなかった俺は、何回かダンザインに言ったんだぞ?

アイツ、「皆がそんな事言うわけない、気のせいだろ」って笑ってたがな。


・・・記憶にない?

おいおい、俺は君には言ってないぞ、ジョン。

しっかりしろ。


・・・実際、記憶にないだろうな。

俺が必死に伝えても、「皆疲れて気が立ってるんだろう、一時的なモノだし我慢して欲しい」とか。

「ふざけてるんだよ、僕達のパーティーは仲がいいからね」とかほざいてやがったし。



ん・・・。

裏方に回るとな、色々な問題が見えてきたんだ。

まずは、俺達の旅の環境。

俺達の旅の資金は、基本的に国から出ていた。

国民達の血税だ。

なのに、戦いに全く関係のない出費が増えてたんだ。


服、化粧品と言った嗜好品だな。


始めは何かと思ったが理由は簡単、皆、ダンザインに良く見せたくて購入してたんだ。

アイツ等は貴族と接する際に必要と言ってたが、服を何着も買う必要はないだろ。

ダンザインに勿論報告したさ、だがアイツは女共の言葉を信じてたんだよ。

どの女が吹き込んだか解らんが「戦後に向けて、貴族達と縁を作る必要もある」ともな。

説得は無理だったし、俺も着飾るよう責められた。

世には衣食住を無くし苦しむ人も多いのに、だ。


・・・そういや、女共に、俺が買う武具こそ無駄遣いと言われたな。

あぁ、思い出しただけで涙が出るぜ。




次に、問題解決の事後処理だ。

ダンザインは、良くも悪くも一直線だった。

誰かが救いを求めれば、すぐさまそれを解決してたな。

俺は救われなかったけどな。



小さな村での、領主による圧政。

アルティナ公国の、ボボン火山大噴火。

ゲルニカ国で起こった、侯爵家の反乱。


例を出すと、こんなものか。



小さな村・・・確かトート村だったか。

この事件は、ダンザインの旅が魔族退治だけではなくなった側面を持つ。

トート村は人口200も行かない小さな村だが、そこの領主が血も涙もない搾取をしていたんだ。

農作物のほぼ10割を税として奪うどころか、水利等でも重い税を課していた。

まぁ・・・酷いもんだった。

・・・で、正義を燃やしたダンザインが、領主をぶった斬ってめでたしめでたし、って。

そんなわけないよな。


あの後あいつらは村人に囲まれてたが、俺はそれどころじゃなかった。

何せ、どんな理由があるとしても、領主殺しは犯罪だ。

俺達は魔族を殺してよい免罪符は持っていたが、人間は別だ。

王国の調査隊への説明後、なんとか不問になったがね。

逆に、有名になるから世直し的な事をどんどんして欲しいと頼まれた。


モーリーから「皆が感謝して宴をひらいてくれたのに来ないなんて、お高くとまりすぎ」言われたなぁ。

説明や事後処理でそれどころじゃなかったんだよ。

皆に説明しても、そんなのは国がしてくれるでしょ、とキョトンとしてたな。




ボボン山大噴火は、山の精霊の怒りだった。

アルティナ公国が領地を増やすため、禁忌とされていたボボン山麓を開発したのが、怒りに触れたのさ。

精霊と言えば、その地の守り神だ。

アルティナ公国は開発を即座にやめ、供物によって精霊の許しを得るべきだった。

なのに、ダンザインは愚かにも精霊へと剣を向けたのさ。

人の営みを脅かす敵、としてな。

んで、ダンザインは怒りに狂った精霊を倒しめでたしめでたし、って。

馬鹿すぎるだろ。


そもそも相手の地を侵略したのは人間であって、精霊はソレを排除する権利を持っていた。

なのに、公国のお偉方に乗せられ、精霊を排除した。

必死に精霊との和解をお願いしてた俺だけが、異物を見るような眼で見られていたさ。




ゲルニカ国の件については、呆れて物も言えない。

とある侯爵が反乱を起こしました。

ゲルニカ国のお偉いさんが、ダンザインに何とかしてと泣き付きました。

ダンザインはソレを受け、反乱を起こした侯爵軍を返り討ちにしました。

皆、ダンザインをすごい強いと褒め称えました、おしまい。


侯爵が反乱を起こした理由は、お偉いさんが侯爵の娘さんに手を出し、殺してしまったからだ。

一貴族として、その程度で反乱を起こすのもどうかと思ったが、いやぁ酷いもんだったぜ。

娘さんだけじゃなく、領地の若い女性に対しても同じ事繰り返してたようだ。

何か弱みを握られてた侯爵は、もはや我慢できなかったんだろうな。


ちゃんと調査するまで待てと俺が止めても、ダンザイン達は聞かなかったよ。

まるで見せびらかすように、侯爵の兵を殺して行った。

被害者であった人達を悪と決めつけ一方的に蹂躙していくのは、さぞ気持ち良かっただろうな。

そう思わないか、ジョン。



何、顔を青くしてるんだよ。

あぁ、話がちょっと凄惨だったか?

悪い悪い・・・だが、これらの話には続きがあってな。




まずトート村だな。

あの後、新しい領主が来たが、そいつも酷い奴だったらしい。

しかも、殺された領主の友人でもあった。

復讐を含み、村人はさらにひどい扱いを受けたんだ。

追い込まれた村人は、最後は皆で領主へ襲い掛かるも・・・全滅したぞ。

俺が駆け付けた時は、村に残された小さい子供は、皆飢えて死んでいた。



アルティナ公国は、知っての通り温暖な地で、広大な穀倉地帯を有してた。

だが、あの後急激に気温が下がり、今やまともに作物が育たない地となっている。

その地を守っていた精霊が居なくなったんだ、当たり前だわな。

あの国に住んでた奴らは精霊の祟りを受けた民として、どの地でも迫害されているそうだ。



・・・ゲルニカ国か?

お前、冒険者なら情報を更新するよう努力しろ。

先日、大規模な反乱がおき東西に別れたじゃないか。

多くの人が死んだそうだぞ。

原因は、ダンザインに救いを求めてきたあの貴族だ。

あの後、俺には勇者の後ろ盾があると国内国外でやりたい放題だったんだぜ。

ちゃんと調査してあの貴族を始末しておけば、こんな不幸は起きなかっただろうなぁ。




あぁ、そうそう。

コレは別件ではあるが、ナツミの奴が色んなもの作って、王都で売っただろ?

チョコとか、シャンプーとか、あの女がいた世界の奴だ。

あのせいで、王都や周りの店がほとんど潰れちまったぞ。

自由競争とかナツミはほざいてたが、そもそも技術が違うんだ、アレに敵うわけないだろ。

まるで自分が作り出したかのように自慢してたが、その陰で泣いてる奴がいるのを想像できなかったのかねぇ。

文句言ってきた商工ギルドも、ダンザインのせいでギルドマスター辞めさせられたからな。


ん、そりゃそうだろ。

勇者様の不興を買う事を恐れた国が、一方的に強制力を使って来たんだよ。




勇者が人助けをして名声を得てチヤホヤされる一方、その犠牲になった人がいたって事だな。




・・・ジョン君、他人事じゃないぞ?

君がやって来た事にも、結果というモノがある。

ほら、何震えてるんだ、ちゃんと聞け。




まず、君が討伐した凶獣タンクゴリラ。

君、死骸そのまま放置してただろ?

素材を剥がれた死骸は腐り毒を放ち、近くの街に疫病が蔓延したぞ。

人口の8割が、血を吐き、もがき苦しみ亡くなったそうだ。

しかも大地も毒され、あの辺りはもはや毒沼だ。



スミー海賊団もだ。

アイツ等は確かに船を襲ってはいたが、海上交易路の魔物を倒してくれていた。

なので、多くの商人は所謂通行料として、スミー海賊団に金を渡していたんだ。

君がどの商会に頼まれたかは解らんが、あの海上交易路は徐々に使えなくなるだろうな。

付近の港町はサビれ、物流に大きな被害があるだろう。

まったく・・・通行料をケチっただけで、結果的には大損害だろうな、君の知人は。



ソゥプの悪霊騒ぎは、君が殺したネクロマンサーが原因だった。

調べると、このネクロマンサーはもとは娼婦で、可哀そうな存在だったよ。

ソゥプには、とある客が良く訪れるそうだ。

で、こいつがまた変態でな。

娼婦を陰惨に痛めつけ、殺して、快楽を得るような奴だったのさ。

しかも街ぐるみで隠蔽してやがった。

で、ネクロマンサーは被害者一人で、娼婦達の無念を多くの人に気付いて貰おうと、事に至ったって訳だ。

君が消してきた悪霊は、可哀そうな被害者だったんだよ。

騎士団長ヘルエス・・・君と仲良しで、問題解決を依頼した変態の、ね。



あと、君が助けた令嬢様・・・ミリシア嬢だがね。

彼女はちょっと特殊な生い立ちでね、とあるお方の子なんだ。

それを、ヤコブ卿が引き取り、育てていたんだ。

だが、ちょっとしたお家騒動が始まり、ミリシア嬢は命を狙われる存在となったんだ。

まぁ、とあるお方の弱み、って奴だね。

ヤコブ卿は、彼女と恋仲の従士をつけ、隣国へ逃がそうとした。

なのに君は、従士達を誘拐犯だと思い込み、殺し、彼女を死地へと戻したんだ。

ミリシア嬢かい?多分、殺されているよ。

俺が手配した馬車には、誰も来なかったと報告を受けたからな。


・・・そうだ、君はとある方と顔見知りの様だが、いい様に使われたね。

口封じはしないだろう、彼らは君の価値を見出しているからな。

まぁ、彼女の犠牲は、醜い芸術家達に美談として描かれる事だろう。




・・・どうだい、君の正義は結局はその場しのぎで、多くの人を不幸にしている事実は。

ダンザインにも、何度も言ったさ。

本当かどうか、正義か悪か、調べて行動しろと。

だがアイツは、「あのような人が嘘をつくはずがない」と朗らかに笑っていたよ。




・・・いや、そうではない。

今までの理由で、ダンザインを殺したわけではないよ。

ちょっとした愚痴だ。




まぁ、結論を言うと、だ。

俺から大事な女性を奪ったから、殺したんだよ。



最初にも行ったが、俺はモーリーと恋仲だった。

将来、結婚の約束もしていたんだ。

ダンザインとテテスもだ。



だが、ダンザインが力を付けていく中で、その関係が歪みだした。

新しく仲間に入ってきた女共は、こぞってダンザインに愛を伝えた。

ダンザインはテテスが居ながらも、彼女達の愛に応え、日々体を重ねていたんだ。

理由が「彼女達を悲しませるわけにはいかない」「彼女達に恥をかかせられない」・・・とかふざけた事言ってたよ。

あと、折角の仲間がそれが原因で抜けるのを恐れていた事は、知っている。


とは言え、毎晩、野営地で嬌声を聞かされる身にもなってみやがれってんだ。


テテスはどんな気持ちだったんだろうな。

「ダンザインは優しいから」と言ってたが、悲しそうな顔をしていたな。



・・・ここまで言って解らないか?

何故、バレてないと思ったんだ?



お前がモーリーを抱いてたのは知ってるんだよ。

モーリーも見た事ない声と顔で、乱れやがって・・・。



なに驚いた顔してるんだ。

あぁ、女共が結託して俺にバレない様してたのは知ってるんだよ。

たまたま宰相殿との話し合いが早く終わって帰ってみれば、皆してふざけやがって。


モーリーとの会話もばっちり聞いてたぞ。

「本当は昔からダンザインが好きだった、でもテテスがいたから、彼で我慢してた」

「彼の子供と言う事にするから、妊娠させて欲しい」


・・・いつの間にか、口の中が血の味で一杯だったよ。

結局は、俺で妥協していたのかって。

全てにおいて、ダンザインの代用品だったって事だ。



なぁ、ダンザインは何を考えてたんだろうな。

俺を引き留めたくせに、人の婚約者へ手を出して、裏切って。


君は、どう思う?

なぁ、教えてくれよ。

教えろよ、一体どんな事考えて、人の女と寝たんだよ。



彼女は自分を見てくれない貴方に、女として不安を抱いたからでは、だと?

そして彼女が壊れそうだから、仕方なく抱いたのでは、と言ったか?



ははっ、はははははははははは!ははは・・・。




アイツ等の事後処理で、そんな暇あったかよ。

ダンザインが女共と乳繰り合ってる中、俺は必死に運営したり、アイツ等がやらかした事の後始末をしてたんだぞ。

モーリーに迫っても、今は大事な時だからできないと、拒絶された。

なのに、お前とはヤってたんだよ。

笑えるよな、いや、笑えねぇよな・・・ははは、はは・・・。



そんな理由でダンザインを殺したのか、か。

そんな理由、ね・・・。

だが、とても重い理由だ・・・、その青い顔を見るに、君も理解しているだろう?


あぁ、もちろんそんな理由だ。

それ以上の理由ももちろんある。



俺はすべてが嫌になり、引き留めるダンザインを振り切り、パーティーから逃げ出した。

女共は形だけの引き留めで、顔はニヤついてたよ。

モーリーは思う所があったんだろう、ずっと顔を伏せていた。

謝罪は無かったがね・・・あっても困ったが。



で、俺は辺境の地ロストルへと流れ着いた。

そう、君の故郷さ。


俺はそこで、一人の女性と出会ったんだ。

ルビー・・・彼女は、花を売って生活していた。

荒れた心に花は優しい云々言ってやがったな。

だが、彼女の人柄で、俺は救われた。


何時しか俺は、彼女の店を手伝うようになっていた。

ルビーは妹さんと一緒に働いてたんだが、力仕事にはやはり不向きでね。

そこは、男である俺が手伝っていたさ。



このまま幸せに過ごせればいい。

そう思ってたのに、ヤツらがまたしても俺の幸せをぶち壊しに来やがった。



ある日、俺は近くの山へ花を取りに行ったんだ。

ジュンブラ・・・、当時、平民の間で流行ってたモノでな、求婚する際にその花を渡すんだ。

綺麗に咲いてるものを見つけ、俺は心臓を五月蠅くさせながら、ルビーの元へと戻った。


そこに・・・、ダンザインが居たんだ。


理由はある程度解ってたさ。

俺が・・・裏方がいなくなり、問題を一杯抱え込んじまったんだろう。

実際、そうだったしな。



ふざけるな。

何処までも俺を都合よく使いやがる。



俺は断固拒絶し、アイツ等を追い払った。

だがな、ルビーの様子が変だったんだよ。

妹さんに聞くと、どうも暴漢に襲われたらしくてな。

しかも、それを救ったのがダンザインと来やがった。



悪い予感がしたんだ。



その夜、ルビーは外出した。

何時の間にか横で寝息を立てていた彼女からは、知らない匂いがしていた。


勿論、問い詰めたさ。

すると、ダンザインに一目惚れしたんだとよ。

んでもって、ダンザインは案の定、拒まずに抱いたって訳だ。

俺の好きな女、という認識は無かったんだろうな。



この時だな、アイツを殺そうと考えたのは。



俺は裏切り者のルビーへ別れも告げず、そのままダンザインのパーティーへと戻った。

女共は歓迎してなかったし、モーリーは目も合わせなかったがな。

だが、俺の中からは、モーリーの事なんざ吹き飛んでいた。

モーリーは何か言いたそうにはしていたが、無視させて貰ったよ。


あぁ、そういやアイツが俺に「最近モーリーに冷たいんじゃないか?彼女傷ついてるぞ」と言ってたな。

どの口が言うんだよと、夜中に涙流しながら笑ったぜ。




戻ってからの行動は早かったな。

俺はまず、魔族の長・・・魔王と連絡を取る事にした。


魔族ってのは意外と街に溶け込んでてな、俺にも知人が出来てたんだ。




・・・おいおい、何怒ってるんだよ。

何故敵である魔族なんか、だと?


敵、ねぇ。

そりゃあ、俺達は魔族を敵として戦っていた。




だが、そもそも魔族へと戦いを仕掛けたのは、人間なんだぜ?




理由は、俺達だ。




教会や国のお偉方は、俺達の力に疑問を持っていたのさ。


魔族を倒せるならば、良し。

無理であれば、俺達を切り捨てよう、ってな。



要は、俺達は試された、って事だったのさ。

なんてこたぁ無い、魔族は別に敵対なんてしてなかった。

今まで通り、良き隣人だったのよ。


だが、俺達4人が、魔族を襲ってしまった。

コヴィントン要塞で警備をしていた魔族を、侵略の準備をしている悪だと信じ。

俺達4人は、罪のない魔族を殺してしまったんだ。



お偉方は喜んだだろうよ。

俺達の、女神の力が本物だったんだからな。


これで負けてたら、誇大妄想の餓鬼4人の勝手な行動で処理されてたさ。

どうりで軍を動かさなかったわけだ。



覚えてるか?

「君達のお陰で近くの村が救われた、有難う」と宰相殿が言ってただろう。

ありゃ、嘘だったってわけだ。



おいおい、何呆けてるんだ?

…あぁ、そうか、コレは機密事項だからな。

魔族と人間、どちらから戦争を仕掛けたかは解らない。

それが、今現在の認識だからな。




つまりだ。

俺達4人が、大勢死んだ戦争の原因だったわけだ。

あぁ、間違いない、俺達のせいだ。




ま、ともかくだ。

俺は魔王と接触し、ダンザインを始末したいと伝えた。

そのために、手伝って欲しいとお願いした。



信じて貰えるわけないよなーと思ったんだが、魔王はすぐさま信じた。

俺から、んー・・・なんだっけ。

闇の波動を感じたから信じられる、みたいな事を言っていた。



計画は順調と言うか、あっさりだったな。



アイツ等、いつも俺に野営や索敵を押し付けていたから、簡単だった。

魔王とその部下を野営地の周りに待機させ、俺は料理に痺れ薬を入れる。

アイツ等、普通に毒物耐性を持っているからな、通常の数倍を盛らせて貰った。


まぁ一人だけ・・・、モーリーだけに眠り薬を仕込んだよ。



そして、無抵抗な生贄の出来上がり。




お前には、そこ辺りから記憶がないだろ?

普通であればお前を最後まで残し、俺の絶望を知って貰いたかった。

だが、勇者の力ってのは厄介で、先が読めない。

なので、まずはダンザインを殺した。

俺の剣で心臓を突き刺し、その後は魔物の餌にしたさ。



他の奴らをどう殺したか、一応言っておく。



ポポーパは、灼熱で燃やされ炭となり。

ナツミは、溶かしたチョコへ顔を浸し溺死。

ルナールは、暗黒竜に下半身からかみ砕かれ。

プラコッテは、足の指からじっくりと切断。

イブリアは、石となり砕かれ。

ビチマルクは、ぞうきんの様に捻じり殺された。



まぁ、そこまでやるか、だよな。

だが、魔族としては同族を殺しまわってる仇だ。

よほど恨みがあったんだろうよ。




ダンザインを殺した俺は、満足だった。

あぁ、そら満足さ。

俺に惨めさをくれ、愛した女2人を寝取りやがった糞野郎だったからな!




後は物語と一緒だな。

アイツ等を殺したが、世を平和にしたい願望が俺にもあった。

元々魔族もそこまで野心は無く、勇者達への恨みを晴らした事から、和解の道を示したんだ。


で、今に至る、って訳だ。



いやぁ、勇者という肩書は憎たらしかったが、あの時は役に立ったぞ。

勇者が死んで、人間側は魔族に勝てないと絶望。

魔族は、最大の敵勇者を殺せて、一安心。

和解、そして交流まではとんとん拍子だった。




あぁ、そうだ。

モーリーだが、目を醒ましたアイツには、皆、魔族の夜襲で死んだと伝えたよ。

ダンザインが居なくなった時、アイツがどんな行動をするか見てみたかったんだ。

・・・モーリーは、何をしたと思う?

ダンザインがいない世に絶望し、自害をしたのさ。

目の前に、俺がいるのにだぜ?


再び俺を選ぶわけでもなく、俺に縋るわけでもなく、あっけなく死にやがった。



アイツを・・・ダンザインを殺したが、何というかな・・・やはり、勝てなかったと、思ったわけだ。




さて、これが勇者ダンザインを殺した理由だ。

俺の事を酷いと思うか?

情けないと思うか?


なら、俺の大切なモノを奪ったアイツはどうなんだ?

そうして当たり前なのか?

受け入れるべきだったのか?




・・・ふん、ずいぶん大人しくなったじゃないか。

こちらへ向けていた殺気が、殆ど無くなってるぞ。



謝罪されても困る。

何に対しての謝罪か解らんよ。



あー、ちなみにな。

ルビーのその後だが、殺されたよ。


あの女、ダンザインの子供を産むと、中絶を拒否したんだ。

ダンザインの子は、勇者の血を引く。

だから、むやみに残せないんだ。

将来、禍根になるのは目に見えてるからな。



ん?そうだぞ?

アイツの子を宿した女は、中絶か、暗殺だ。

知らなかったとは言わせ・・・あぁ、本当に知らなかったんだな。

お前の、好意を寄せてくる女性を無下にできないやさしさ、って奴の結果、・・・知ってる限り、腹に新しい命を宿した女35人が、始末されてる。



・・・お前のせいだ。



あぁ、そういえば、君のお母様・・・ガーネットは元気かね?

そりゃ知ってるさ、顔見知りだからな。

ガーネットは、ルビーの妹だ。


あぁ、恋人がいたのに勇者に惚れ、勇者の子を身ごもり、最後は路地裏で冷たくなっていたルビーのね。

思えば彼女も君の被害者だな。

金銭的な支援はしているが、心は癒える事は無いだろう。

彼女も勇者を憎んでいる、悟られぬよう気を付けたまえ。







っと、来たか。

鍵は開いている、入っていいぞ。



すまないな、呼び出して。

覚悟はでき・・・ん、ありがとう。


ワインを持ってきてくれたんだね。

グラスに注ぐので、開封してくれないか?




ん、ジョン君、どうした?

何を泣いてるんだい?

何を震えているんだい?



紹介しよう。

俺の、愛すべき妻、テテスだ。



テテス、こちらは例の少年、ジョン君だ。




あぁ、テテスは殺さなかった。

と言うかね、協力者だったんだよ。

死んだ事になってはいるがね。



何の、って・・・ダンザインを殺す協力者さ。



嘘じゃない。

脅してなんかもいない。



なぁ、ジョン君、考えてもみたまえ。

ダンザインには、将来を約束したテテスがいた。


なのに、ダンザインは女をとっかえひっかえ抱いていた。

しかも、幼馴染の婚約者であるモーリーもだ。



ジョン君、ダンザインの行動は、テテスへの裏切りだと考えないか?


そして俺同様、テテスも、君から裏切られたと怒りを抱いていた、と。



テテスはね、本当にダンザインが好きだったんだ。

奴が女を食い散らかす邪悪であればそれで良かったんだが、なまじ悪意が無いだけに苦しんでいた。


・・・そうだね、確かに君の言葉に、テテスは同意したかも知れない。

だが、君が別の女を抱く度に、ひっそりと泣いていた。

毎朝、彼女の目元に涙の跡があったのに、なぜ気付かなかったんだい?



聞いたよ。

テテスはモーリーを必死に止めたと。

俺がいるのに、どうしてだと。


君も、モーリーを拒絶すべきだったんだ。

なのに、絆され、ずるずると関係を続けやがって。


テテスがどれだけみじめな気持ちだったか。

どれだけ、涙を流していたか・・・!



ほら、テテスの分だよ。

一緒に飲もうじゃないか。




・・・ふぅ。

まぁ、つまりだ。

俺もテテスも、同じ気持ちを持って、そしてそれをわかり合えて・・・こう、くっついたって訳だ。



はははっ。

気持ちはわかるぞ。

俺も、モーリーから同じような目を向けられていたからな。

勘違いするな、テテスは自らの意志で俺を選んでくれ、お前を捨てたんだ。

君の・・・お前の復讐をするために、ここにいるわけじゃない。



なぁ、ダンザイン。

お前はいいよな。


何をしても許されるし、周りが勝手に誰かと比較して価値を、高めてくれる。

黙っていても女が、寄ってくるし、モーリーも、お前を庇、うし。

俺が苦労、しても、お前は、それを、簡単に・・・ぐぅ。



あぁ、さっきのワインは、毒だ。

もう、助からねぇよ。



テテス、付き合わせ、て、すまないな。

・・・ははっ、有難う。

あの時、テテスが、恋人だったら、あんな事、せずに・・・。



・・・逝ったか。

本当、に、ありがとうな、テ、テス。

ありがとう…!

俺も、すぐに行く、から…。





くくっ、ダンザ、イン。

多分女神の、仕業だろうが、生まれ、変わって、わざわざここ、まで来や、がって。

女神、にまで、愛さ、れ、やがって・・・ほんと、ず、るいよな



くく、く・・・。





この部屋で、俺達が死んで、お前はどうなる、だろうな。

魔族との橋渡、し役である俺が、魔王とそれなり、に、仲良くやってる、俺が死んだら・・・どう、なるだろうな?

表面上は、仲が良いが、互いに先の戦争、での怨嗟が、燻ぶって、やがる、からな。

俺じゃ、抑えられないと、諦め、かけてたんだよ。



おめでとう、ダンザイン。

お前のお陰で、新しい、戦争が始まるかも、知れないぞ。



おめでとう、ダンザイン。

戦いの中、お前は、また輝き、多くの女を抱けるぞ!

次は、恋人がいる女を抱く、なよ!



くくくっ、あぁ、畜生。

みじめな、人生だった。






だが、お前には殺されてやらねぇ!






俺は、俺達は、自らの意志で死ぬんだ。




お前に、復讐されるわけじゃないんだ!




あぁ、そうだ。

お前の、その顔が、見たかった!





ざまぁ、みろ!



有難う御座いました



修正点(2021年6月18日)

勇者が種をばら蒔いた結果暗殺された娘達 97名→35名 (盛り過ぎた為)

タンクゴリラ出現地 辺境ロストル→山岳都市

他細々










以下各キャラの後日談となります

人によっては余韻を失う蛇足になると思いますので

自己責任でお願いします

(作者本人も彼らの幸せを願いたいため書く事にしました)


















■キルレート

そこに意地を貫いた達成感と、今後不幸となる人々へ謝罪しながら、この世を彷徨う魂となる

やがて光り輝く魂と邂逅し、寄り添うように、静かにこの世界から消えていった



■ジョン(ダンザイン)

キルレートの自害を目前で受け止め、その後自身の行いの結果を調べ、愕然とする

後悔はするが、「救われた人が居るから問題ない」「僕が悪くない部分も多かった」と国や事件の当事者達の対応のせいだと矛先を向ける

(そうしないと気が狂いそうだったため自衛が働いたと思われる)

また、キルレート夫婦の自害に事件性は無いと判断されるも、キルレート夫婦を慕う人達からは恨みが籠った眼を向けられる


魔族との戦争が再発するも前線で活躍し、見事停戦の立役者となった

多くの女性を相変わらず無自覚にも侍らせていたが、いざ行為をしようとするもキルレート達の事を思い出しそれがトラウマとなって所謂「不能」となってしまう

戦後もキルレートとテテスの事が棘のように残り、冨と地位と名誉は手に入れるも、心穏やかとなる日はほとんどなかった



■モーリー

ダンザインの次に転生させようと目論む女神に魂を導かれた

テテスが居ないならば今度こそダンザインと心通わせられるとキルレートへの謝意すら持たずに転生を受け入れようとするが、魔王により女神と共に封印され、悠久の苦しみを味わう

女神の力の影響を受け、キルレート達のその後を見る力を得て、その分苦しみに拍車がかかった



■女神

大昔、魔族に封印された存在

信仰が失われその存在が消える前にダンザイン達へ力を与え、憎き魔族を滅ぼすよう唆した諸悪の根源

ダンザインが好みだったので贔屓目に力を与えた

取り戻した信仰の力を基にダンザインを転生させ、再度魔族滅亡を企むが、力を使ったことにより魔王に居場所がばれ、再度封印されてしまう

ジョン(ダンザイン)が活躍することで信仰を得るため、封印される期間はほぼ悠久と化した(戦闘能力はない為封印からは逃れられる術がない、同時に、信仰が強い分寿命が延びてしまう)



■魔王

キルレートの覚悟と意地に畏敬の念を抱き、戦後は彼の遺灰を求めた

人間との戦争が勃発するも、女神を封印できたので抵当なところで停戦した

ジョンが活躍する=結果的に女神が苦しむことを理解してたため、ジョンの活躍はある意味彼によって仕組まれていた



■ガーネット

自身の息子が「勇者ダンザインの再来」と扱われることに嫌悪感を抱きつつある種の予感を抱いていた

そしてキルレートの自決現場に息子がいたと知り、予感は確信へと変わる

その後すぐさま息子の名が聞こえぬ田舎に夫婦で移り住み、キルレートの死後も援助される資金を基に、新しい子達と慎ましくも穏やかな生活を送った



■テテス

愛する人と共に逝く事へ後悔を抱かず、光り輝く魂となる

気付くと見た事もないほど発達した文明の世界で生を受け、公務員の夫婦に大事に育てられる

最近は隣に住む少年と仲良くなり、彼に懐かしい雰囲気を感じ始めた


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― 新着の感想 ―
[一言] ダンザインガチで何も考えてへんやん 職業:白痴やん ほんまモーリーとかいう恋人と親友同時に裏切った一番の糞女永遠に苦しむようになって万々歳やわ
[一言] いじめられっ子が恨みつらみをたっぷりこめた名指しの遺書を残したところで、いじめっ子どもはその後も性根は変わらず普通に図太く生きていくだけだから、命をかけた抗議なんてしても無駄死にだろ、と思っ…
[良い点] スッゴく面白かったです!
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