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悩める者に救済を
「賢者様、如何か、私を…………私の毛根を生き返らせては頂けませんか?」
どこかの貴族が極秘裏にやって来た。
「ウム、良いだろう。
私も苦労していたから………苦労していたから、お前の気持ちはよく解る!」
本当、マジで、メッチャ解る!
だからこそ、私は棚からガラス瓶を取り出した。
「これを…………持って行くがよい。
一日三回、必ず用法要領を守って使うんじゃぞ。」
「賢者………様……………あぁ!りがとぉごぉ!ざいぃまぁすぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
泣きながら頭を垂れた。
その頭は………光っていた。
「フン!何が賢者じゃ。元禿が!わざとらしく髪を撫でつけおって!」
貴族は禿げた頭にガラス瓶の中身を撒きながら帰りの馬車で暴言を吐いていた。
「これさえあれば………もうあの賢者にも、ヅラにも用は無いもんねぇ。」
ゲスい顔をしながらガラス瓶を捨て去る。
「さぁて………生えんかのぉ………」
そうやって頭を撫でている………と……。
ミョァミョアミョアミョア
瞬く間に髪が生えて来た。
「よっしゃぁ!グッバイ鬘!グッバイ禿!」