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異界の刀銃使い  作者: 太公望姜子牙
天使の章
99/135

第94話 どうしてここに?

逆転に次ぐ逆転ですヽ(゜д゜ヽ)(ノ゜д゜)ノ

「あ……」


 結衣の喉元で煌めいた銀光の正体は、大振りのナイフだった。


「ユイさん!」

「ユイちゃん!」


 ユフィアやセリシエルが気付いた時には遅かった。


(しまった……)


 慎也も、重大な失策をやらかしてしまった己の迂闊さを内心で呪った。


「オイオイ、ナベちゃんもボルちゃんもやられちまったのかヨ」


 おどけた口調で話しながら、結衣の喉元に背後からナイフを突き付けているのは――最初にセリシエルの不意打ちで倒れたはずのモークだった。


(気絶していると思って……)


 油断だった、と慎也はモークの存在を無視したことを心底悔やんだ。

 セリシエルの盾投げを後頭部にまともに受け、さらに背後から思い切り蹴られて昏倒したはずなのに、この短時間で目を覚ましたらしい。おまけにふら付いた様子も無くぴんぴんしている。


「しかもリビング・アーマーを2体共倒すとか、お前ら何者なにもんだヨ? お前らみたいなのがいるなんて聞いてねーってノ」


 だがそれでも、目覚めた時点で既に仲間2人とリビング・アーマーは倒され、決着がついてしまっていることに変わりは無かったが。


「……1度ならず2度までも人質を取るとは、どこまでも腐り果てた奴だな」


 最初にルピィを人質にしていたのもモークだったことを思い出し、抑えきれぬ怒気をにじませた声で慎也は唸る。


「なにしろオレたち悪党だからネ。卑怯、卑劣はオレらの存在意義そのものサ」


 と、モークはまったく悪びれる様子も無く、虚仮にしたような口調で言った。


「で、さっきオレのこと不意打ちしたのはそっちの羽のお嬢ちゃんかイ? ったく、人擬きはおっかなくてかなわないネェ」

(ヒトモドキ?)


 たぶん、亜人に対する蔑称だろうと、慎也は勘繰った。少なくとも、キアナの街で2年間生活してきた中で、そんな侮辱的な言葉を吐く人間はいなかった。

 結衣がそうであったように、慎也も瞬間的に頭に血が上りかけたが、どうにか怒りを鎮めて自分を落ち着かせる。


 いまはまだ、怒る時ではない。感情を押し殺し、結衣を助けることだけを考えろ――


「で、いまさら人質なんか取ってどうするつもりだ?」

「そうだよ! 仲間はもうやられちゃったんだから、無駄な抵抗は止めるんだよ!」


 慎也の言葉にセリシエルが追従する。


「確かにこの場は退き揚げるしかねぇみてぇだナ」

「退き揚げる? 逃げられると思ってるのか?」

「絶対に逃がさないんだよ!」


 怒鳴るように言って、セリシエルが翼を大きく羽ばたかせた。飛行能力をもったセリシエルから人質を抱えつつ逃げるのは至難のはずだ。


「甘いネ」


 にやり、とモークが嗤う。


「オレって臆病だからさ、こう言う任務に出る時は万が一の場合に備えて、予め逃走手段を用意してるのサ」

「逃走手段?」


 その言葉に、慎也は不吉なものを感じた。


「そう言うこト」


 得意げに言って、モークは結衣に突き付けたナイフを持っているのとは反対側の手で、懐からピンポン玉ほどの大きさの金色の宝玉を取り出した。


「羽のお嬢ちゃんが空を飛べたって、こいつを使えば――」


 その時――


 ドッ!


「ぎゃっ!」


 金色の球を持ったモークの腕を、細長いなにかが貫いた。

 その手から宝玉が零れ落ちる。


(矢!?)


 それは紛れもなく1本の矢だった。


 誰が? どこから?


 瞬間的に沸き上がった疑問を、しかし即座にかなぐり捨て、この降って湧いたような千載一遇のチャンスを逃すまいと、慎也たちは弾かれたように行動に移った。


 真っ先に動いたのは、モークに捕まっていた結衣だった。


 突然、矢に腕を貫かれた驚愕と痛みで、喉元に突き付けられていたナイフが大きく逸れた。


「えいっ!」

「ぐぅ!」


 渾身の力を込めてモークの脇腹に肘を叩き込む。2度目の不意打ちをくらい、悲鳴を漏らしてモークは数歩後退する。だが、元より非力な魔法使いの肘打ち。大したダメージを与えられるはずもなく――


「こノ!」


 怒りを煮え立たせたモークが、逃げようと走り出した結衣の背中にナイフを奔らせる。だが、切っ先が結衣の背を捉える寸前、突然、結衣が物凄い勢いで急加速し、間一髪でナイフの切っ先は空を切った。


「わわわっ! わぁ!」


 難を逃れた結衣は、急加速――というか、悲鳴を上げつつ手足をジタバタさせながら宙を飛んでいた。そしてそのまま、慎也の腕の中に納まる。


 慎也が《見えざる手(アステロイド)》を使って結衣を引き寄せたのだ。


「チィ!」


 腹いせなのか、それとも怒り任せなのか、モークは慎也と結衣に向かってナイフを投げ付けた。モークは高レベルの<投擲>スキルを有しているらしく、投げられたナイフは弾丸のような速さで一直線に宙を飛翔し――


 ガキンッ!


 結衣の背に刺さる直前に、ユフィアが張り巡らせた《神秘なる光壁(セイント・ウォール)》の障壁に弾かれた。


「えいっ!」

「うぉ!!」


 お返しとばかりにセリシエルが盾を投げるが、両者の距離が少々開き過ぎていた。間一髪で、モークは身を低くして飛んで来た盾を躱す。


(こりゃかなわねェ。逃げるが勝チ!)


 片腕を矢で貫かれ、人質を奪い返され、武器まで投げてしまった以上、もはや勝算は無い。モークは、先ほど地面に落としてしまった金色の宝玉へ走り寄り、手を伸ばす。


「!」


 が、寸前で視界の外から伸びて来た誰かの足が宝玉を踏みつけた。

 見上げたモークの視界に映ったのは、槍を携えた若い女の姿。

 それを見たモークは――


「ヘイ彼女、今度お茶しなイ?」


 ――何故か女をナンパした。


「お断りします」


 バッサリと断った女が振り下ろした槍の石突が、モークの頭をまともに捉えた。

 ごちんっ、という、聞くも痛々しい音が響く。


「そりゃ、残……念……」


 などと言う言葉を残して、モークは再度気を失ってその場に崩れ落ちた。


「フェルナ!」


 意外な人物の登場に、慎也が驚きの声を上げた。


「皆さん、ご無事でなによりです」


 モークを気絶させたのは、今朝、キアナの街へ向かったはずのフェルナだった。


「ってことは、矢を射ったのは……」

「もちろん、あたしよ!」


 予想通り、近くの茂みの中から弓を携えたシアーシャが、得意げな笑顔を浮かべて出て来た。


「ユイちゃん、ダイジョブだった?」

「ううぅ~、危機一髪でした。ありがとうございます、シアさん」


 命を救われた結衣が、涙目でシアーシャにお礼を言っていた。


「助かったよ、2人とも」


 慎也も仲間の危機を救ってもらった礼を述べた。


「けど、戻って来るのがずいぶん早くないか?」

「そうですよ。どんなに早くても、帰ってくるのは明日の昼以降だと思ってたんですけど」


 慎也だけでなく、ユフィアも疑問を呈した。


 ケミナ村とキアナの街の距離は、馬車で半日程度だ。

 2人がオーク集落の異常事態をギルドに知らせる為に村を発ったのが今朝。街に着くのはどんなに早くとも昼過ぎ。オーク集落での異常事態をギルドに報告した後、街に一泊する予定だったので、村へ戻って来るのはどんなに早くとも明日の昼以降――ギルドの采配次第ではそれよりもっと遅くなるかもしれない、と考えていただけに、2人がその日の内に戻って来たことには、慎也だけでなく結衣やユフィア、セリシエルも首を傾げていた。


「あー、それなんだけどね。ちょっとギルドの方でトラブルがあって……」

「トラブル?」


 バツが悪そうに頭を掻くシアーシャに、慎也は重ねて質問した。

 そこへ――


「そこからは私が話そう」


 この場にいるはずのない声を聴いて、慎也はぎょっと目を見張った。


「イアン様!」


 フェルナとシアーシャの背後から現れたのは、スアード伯爵の騎士団の長であるイアン・エルモントだった。

 慎也たちとは、例のゴブリン遺跡での一件で共に戦った知己でもある。


「誰、この髭のおじさん?」

「おじ……」

「ちょ――セリスさん!」


 唯一、イアンとは初対面だったセリシエルに何気に失礼なことを言われ、ショックを受けるイアン。一応名誉士爵の地位にあり、末席とは言え貴族でもあるイアンを侮辱すると不敬罪に問われかねないので、ユフィアは青い顔で慌ててセリシエルの口を塞いだ。


「申し訳ありません、イアン様」

「い、いや、構わないさ」


 寛大な大人であるイアンは、頭を下げる慎也に抑揚に言った。が、声と表情が若干引き攣っている。おじさんと呼ばれたのは地味にショックだったようだ。


「それで、どうしてここに? それに、トラブルと言うのは?」

「ああ、説明する前に……お前たち!」

「はっ!」


 イアンが背後に合図を送ると、遅れてやって来た20人ほどの騎士たちが、倒れている黒装束3人組やリビング・アーマーに駆け寄り、衣服や所持品などを調べ始めた。


「いったい、なんの騒ぎですか?」

「実はな――」


 イアンが慎也たちに事情を説明しようと口を開いた、その時――


「うわぁ!」

「貴様っ!」


 突然、背後で起こった喧騒に振り返ると、先程慎也に倒されたはずのナヴェットがシタールを振りかざして騎士たちと対峙していた。騎士の内、4人が剣を構えてナヴェットの周囲を取り囲み、1人が血を滴らせた肩を抑えながら地面に膝を付いている。

 どうやら騎士たちが衣服を調べている最中にいきなり目を覚まし、シタールで騎士の1人を斬り付けたようだ。


「ぜぇ……ぜぇ……ぜぇ……」


 とはいえ、ナヴェットは慎也に右腕を斬り落とされた上に《戦具に宿りし雷の精サンダー・エンチャント》をもろに受けて感電し、全身が焼け爛れていて、既に瀕死の状態なのは明らかだった。


「簒奪者の……末裔どもめ……」


 だが、血走ったその眼には明らかな憎悪が宿り、瀕死の身体とは裏腹に激しく燃え上がり、荒れ狂っている。


「道連れだ!」


 血を滴らせる口で叫ぶと、ナヴェットはシタールをその場に投げ捨て、懐からなにかを取り出した。

 血、いや、炎の様に真っ赤な宝玉だ。モークが持っていた物よりも大きく、ソフトボールくらいある。


「あれは!?」


 ナヴェットが掲げる宝玉を見た途端、イアンが顔色を失った。


「くくく、これは『魔爆珠』だ。《始動(リベラシオン)》」


 ナヴェットの手の内にある魔爆珠が真っ赤な光を発し、心臓の鼓動の如く明滅し始めた。

 

 魔爆珠。

法珠(スフィア)》と呼ばれる魔導具の一種で、簡単に言うと、爆裂系の魔法を込めた宝玉だ。《始動(リベラシオン)》という合言葉で作動し、一定時間が経過した後、内部に封じられた爆裂魔法を開放し、爆発する。地球で言うところの時限爆弾、或いは手榴弾のような物だ。


「こんなちっぽけな村など跡形もなく消し飛ぶ。簒奪者の末裔も、それを崇める愚民共も、皆、我らが正義の炎で焼かれ、地上から消え去るがいい!」


 狂気を露わにした顔で、ナヴェットが叫ぶ。


「全員、離れろ! 爆発するぞ!」


 イアンが声を上げるまでも無く、ナヴェットの周りを囲んでいた騎士たちを初め、周囲にいた者たちが脱兎の如くナヴェットから離れようと駆け出した。


 地球でも異世界でも、爆発寸前の爆弾を前にして人間が取る行動は、離れる、伏せる、隠れる――のいずれかだ。爆発というものは地球でも異世界でも同じなので当然だが。


 騎士も冒険者も、貴族も平民も関係無く、一斉に逃げ出し、物影に隠れ、或いはその場に伏せる。それが当たり前の行動だ。


 だからこそ、慎也の取った行動は、有体に言えば、例外。言葉を選ばなければ、常軌を逸するものだった。


 彼は逃げることも、隠れることも、伏せることもせず、その場に立ったまま、ホルスターから魔法銃を抜くや、ポイントと同時に発砲したのだ。

 放たれた魔弾は、魔爆珠を持っていたナヴェットの腕を肘の辺りで砕いた。


 その手から魔爆珠が零れ落ちる。


(間に合うか!?)


 宙を舞う魔爆珠の発する光はいっそう激しくなり、あと数秒もしない内に爆発するであろうことは明らかだった。

 それを、慎也は《見えざる手(アステロイド)》で引き寄せつつ、自らもそちらへ向けて走り出した。


「慎也君!」

「シンヤさん!」

「シンヤ!」


 思いもよらぬ慎也の行動に、結衣、ユフィア、セリシエルの声が重なった。それはそうだろう。爆発寸前の爆弾に、自分から近づいていくなど自殺行為――否、自爆行為だ。そんなことをする人間は、死にたがりか狂人だ。


 そう言う意味では、慎也はどちらかと言えば狂人の類だと言えるかもしれないが、彼は少なくとも、冷静な狂人だった。


 その狂気じみた行動には、ちゃんとした理由と、勝算があったのだから。


(爆発寸前の魔爆珠であろうと、《見えざる手(アステロイド)》で引き寄せられると言うことは――)


 臨海寸前、真っ赤な光を放ってブルブルと震え始めた魔爆珠。それを《見えざる手(アステロイド)》で引き寄せつつ、自身もそれに向かって跳躍し、限界まで身体を伸長させて目一杯手を伸ばす。


 慎也の指先と、炸裂寸前の魔爆珠が触れたその瞬間――


 いままさに爆発しようとしていた魔爆珠が、その場からふっと消えた。


 ジャンプして手を伸ばした勢いのまま、一瞬前まで魔爆珠があった空間を通り過ぎた慎也は、身体を地に投げ出し、そのまま地面で一回転してから膝立ちで停止した。


「――当然、収納空間に回収出来る、ってことだ」


 なんてことは無い。爆発する寸前の魔爆珠を<共有無限収納>で亜空間に回収しただけだ。

<共有無限収納>は、形があって、手で触れられる物なら大抵の物は収納できる。あまり大きすぎたり、手で動かせない物――例えば、地面と直結している建物や根を張っている木など――といった例外こそ存在するが、《見えざる手(アステロイド)》で動かせる程度の物なら問題無い。例えそれが、作動中の魔導具であろうと。


 そして、収納空間の内部は時間が止まった状態にある。故にこの中に放り込んでしまえば爆発することは無いのだ。


 なお、このスキルを習得している者は、収納空間の内部にある物を取り出さずとも確認出来るようになる。具体的に言うと、視界にステータス画面のような画面が表示され、中にある物の名前や状態を目で確認することが出来るのだ。

 念の為、収納空間内部で魔爆珠がどうなっているかを確認すると、『魔爆珠(作動中)』と表示されていた。やはり収納空間内で爆発する心配はないようだ。


「ば、馬鹿、な……」


 自爆を阻止されたナヴェットが愕然と呟いて、そのまま白目を剥いてその場に崩れ落ちた。


「もう大丈夫だぞ」


 慎也は皆を安心させるようにひらひらと手を振りながら言ったが、他の者たちは少々ショックが大きかったらしく、いまだ事態が飲み込めず、全員がしばらくその場で固まって呆然としていた。


「よ、よし。もう大丈夫だ。全員、直ちに奴らを拘束しろ」


 最初に理解が追いついたイアンが、慌てて部下たちに命令を飛ばした。


「他にもまだなにか持っているかもしれん! くまなく調べろ。絶対に見落とすな!」

「は、はっ!」


 団長の命令を受け、騎士たちが慌てた様子でナヴェットたちの元へ向かっていく。先程のような事態が2度と起こらないよう、入念に拘束した上で衣服を検め、他にも危険物を隠し持っていないか入念に調べる。


「慎也君、大丈夫?」

「いや、お前の方が大丈夫か?」


 結衣に安否を尋ねられた慎也が、思わず当人に聞き返した。なんと言っても、モークの人質になり、首筋にナイフを突きつけられていたのだから。


「もちろん、全然平気だよ?」


 見た所怪我も無く、精神的にもなんともないようで、結衣は笑顔でそう答えた。


「まあ、それなら良いんだが」


 取りあえず結衣が無事だったことと、事態が沈静化したことに合わせて、慎也はほっと胸を撫で下ろす。


「凄いです、シンヤさん」


 そこへ、なにやら興奮顔のユフィアもやって来た。


「爆発する前に魔爆珠を<共有無限収納>で回収してしまうなんて……しかも、あの一瞬で思い付いて行動するなんて。私なんか思い付きもしませんでした!」

「うんうん。私も凄いと思うんだよ!」


 と、セリシエルも追従する。


「たまたま、だよ。<共有無限収納>と《見えざる手(アステロイド)》が無かったら、オレだって逃げてたさ」


 と、慎也は謙遜する。

 普通ならば、魔爆珠を取り出した時点で逃げるか隠れるのが正しい。

 例えば、時限爆弾が仕掛けられているのをもし一般人が見つけたとしたら、状況を問わず、100人が100人とも避難を選択するだろう。だが、もし見つけたのが爆発物処理班だった場合、しかも、解除しなければ人命が、大切な者の命が失われる状況にあるとしたら、誰もが一か八か、爆弾の処理を試みるだろう。


 この異世界とは比べ物にならないとはいえ、地球においても命の危機と言うものは多分に存在している。そして、それに立ち向かう人間もまた、多く存在するのだ。


 犯罪に立ち向かう警察官。

 戦場に赴く兵士。

 災害現場に臨むレスキュー隊。

 爆発物を解体する爆発物処理班。

 身を挺して銃弾から主を守るボディガードなど。


 皆、なにかを守る為に、誰かを救う為に命を賭けて危険に立ち向かう者たち。


 そして、この異世界において、危険に立ち向かう者の筆頭が「危険を冒す者」。すなわち冒険者なのだ。


 ――危機に陥った時は、逃げるより前に、いかにしてそれを制するかを考えろ。もしそれが人間の手でもたらされたものであるなら、必ず人間の手で止められる。


 ――冒険者とは、戦えない人たちに代わって危険に立ち向かい、彼らを守り、戦う者たちのこと。全ての冒険者はその矜持を決して忘れてはならない。


 慎也を突き動かしたのは、父と師の教えだった。

 2人の教えと、たまたま魔爆珠を無効化する手段を持っていたこと。あの状況で逃げ出せば、仲間が死ぬかもしれない、という危機感が、慎也をあのような行動に突き動かしたのだった。


 危険に立ち向かい、多くの命を救った、という意味では、慎也は真の冒険者である、と言えるだろう。


「よくやってくれたな、シンヤ。おかげで私も部下も九死に一生を得たよ」


 イアンもまた、慎也の行動を讃え、感謝した。


「助かりました、シンヤさん」

「いやー、勇気あるよね、シンヤ君。あたしなんか一目散に逃げてたわよ」


 フェルナとシアーシャも慎也に尊敬の眼差しを向けていた。


「気にしないで下さい。それより、イアン様。どうしてフェルナたちと一緒にここへ来たのかをお聞かせ願いますか?」

「ああ、そう言えばその話だったな」


 思い出したようにポンと手を打って、イアンはここへ来た理由と経緯を話し始めた。

エンジェル・プラネットの方も更新していますので、よかったらそちらもどうぞ。

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