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異界の刀銃使い  作者: 太公望姜子牙
天使の章
98/135

第93話 勝ったんだよ!

遅くなりましたm(__)m

「行くぞ」


 ミコトを腰溜めに構えて、慎也は2体のリビング・アーマーに向かって駆け出す。リビング・アーマーたちは、武器を持っていない方の手からそれぞれ炎弾と氷柱の魔法を放ってきたが、ユフィアの《聖霊の祝福(ホーリー・ブレス)》と自身の《我が身に宿れ火の精(マギア・ブレイズ)》の2つの強化系魔法によって身体能力が大幅に向上している慎也は、それれぞれの弾道を目視で測り、勢いを緩めぬまま姿勢だけを変えて楽々と回避した。


 すると、リビング・アーマーたちは《戦具に宿りし雷の精サンダー・エンチャント》を使用し、スピアの刃に雷の魔力を宿らせた。


(厄介だな)


 繰り出されるリビング・アーマーたちの雷槍を捌きながら、慎也は顔を顰めた。

 慎也がこの世界に飛ばされておよそ2年。これまで多くの戦いを経験してきたが、”生物ならざる存在”と戦うのは初めての経験だ。


 魔術で作られた動く鎧。感情の機微も無く、呼吸もしていないので動きが読みづらく、戦いにくい。


(中堅クラスの冒険者並みの動きに加え、魔法も使う。加えてまるで2体で1つの生き物のような完璧な連携――こんなものを、作った、って?)


 つまり、高レベルの魔法戦士を人工的に創造したようなものだ。もしもこんなものが量産され、それが邪な者の手に渡ればどうなるか、慎也には想像すらできない。


(少なくとも、面白くないことになるのは確かだな)


 バチッ、と闘気の刃と雷の穂先が衝突し、激しい火花を巻き上げる。


(そうさせない為にも、あいつらだけは絶対に捕まえないと!)


 ボルドたちやその黒幕の正体を突き止めないと、酷く面倒なことになる、という確信が慎也にはあった。そしてそれは、間違い無く自分たちにも累が及ぶだろう、と。


(そうならない為にも、まずこいつらを潰す!)


 決意を込めて突き出した刃を、リビング・アーマーの1体がスピアで受け止める。


 ここで、リビング・アーマーたちは予想外の行動に出た。


 1体が慎也の正面に出て斬撃を受け止めた直後、もう1体が慎也の脇をすり抜けてその背後――ユフィアの方へ向かったのだ。

 援護役を先に倒してしまった方が良い、と判断したのだろう。


「しまったっ!」


 咄嗟にホルスターの魔法銃に手を伸ばそうとしたが、眼前のリビング・アーマーが、そうはさせじ、と地面から掬い上げるように槍を振う。慎也は舌を打って、ホルスターに伸ばしかけた手を引っ込め、身体を横に投げ出して斬撃を回避する。


「ユフィア!」

「大丈夫です!」


 慎也の声に、ユフィアが答えた。

 迫りくるリビング・アーマーを前に、微塵も怯えた様子は見られない。


「《封魔の結界牢(ドラウプニル)》!」


 ユフィアに向かったリビング・アーマーの足元に魔法陣が出現し、そこから現れた光の檻がリビング・アーマーの周囲を取り囲み、閉じ込める。


 さらに――


「《聖なる光弾ホーリー・ボール》!」


 間髪入れず、詠唱も無しに放たれた神聖属性の弾が、光の格子の隙間から檻の中へと入り込み、次々とリビング・アーマーに炸裂し、純白の爆炎を放つ。


「おおっ!」


 もう1体のリビング・アーマーと戦いながらも、慎也はユフィアの妙技に感嘆の声を上げた。


 一見するとユフィアが無詠唱で魔法を放ったかに見えるが、実際は<発動待機>というスキルの効果だ。


<発動待機>とは、魔法の発動を一時的に待機させるというもの。呪文の詠唱が終わった段階――つまり、発動直前で待機させ、術者の任意のタイミングで発動させることが出来る、いわゆる時間差攻撃を可能とするスキルだ。

 さらにこのスキルの大きなメリットが、最初の魔法の発動を待機している状態で、別の魔法を唱えることも可能であるということ。


 ユフィアはこのスキルを使い、慎也が2体のリビング・アーマーと戦っている間に、《封魔の結界牢(ドラウプニル)》を《聖なる光弾ホーリー・ボール》の2つの魔法を詠唱し、いつでも発動できる状態で待機させておいたのだ。


 とは言え、<発動待機>は最近になって習得したばかりで、いまのユフィアのレベルでは2つの魔法を待機させるのが精いっぱいだが、それでもリビング・アーマーの不意を突くには充分なものだった。


 だが、機先を制してもユフィアは緩まない。すぐさま次の魔法の詠唱を始める。

 ガキィン、と、金属同士が激突する様な不協和音が轟く。見れば、いまだ残る光の檻に閉じ込められたリビング・アーマーが、スピアで格子を破ろうともがいていた。


聖なる光弾ホーリー・ボール》の直撃を受けたことで、フルプレートの甲冑のあちらこちらが砕け、聖炎によって焼け焦げているが、動きを止めるまでには至っていない。


(やっぱり、私の《聖なる光弾ホーリー・ボール》じゃ倒し切れない。あれを使うしかない)



 もう間もなく《封魔の結界牢(ドラウプニル)》の効果は無くなってしまう。そうなれば、ユフィアとリビング・アーマーの間に遮る者は無くなり、彼女は迫りくるスピアの穂先から身を守る手段を失う。

 だからこそ、それまでになんとしても魔法の詠唱を終わらせなければならない。

 つい最近覚えたばかりの、新しい魔法の。


 1つ目の魔法を<発動待機>で固定し、2つ目の詠唱を始める。


 半秒の遅れ、一言のミスが命取りになる。焦らず、ゆっくりと、だが確実に呪文を紡ぐ。


 ユフィアの詠唱が終わるのと、光の格子が消えるのとは、ほぼ同時だった。


 格子が失われた途端、手負いのリビング・アーマーが一直線にユフィアに向かって突っ込んでくる。


 だがもちろん、ユフィアはそれを計算している。


「《神秘なる光壁(セイント・ウォール)》」


 まず最初に発動したのは、ユフィアが良く使う神聖属性の防御魔法だ。本来は自分の眼前に光の障壁を展開して攻撃を防ぐ、という魔法だが、スキルレベルが上昇したことにより、ユフィアは発動させた光の壁をある程度動かせるようになっていた。とは言え、動かせるのは一度限りで、移動方向を変えたりは出来ない。


 ユフィアは、自分の眼前に発生させた防御障壁を、突進してくるリビング・アーマーに向かって勢い良く飛ばした。直前に気付いたリビング・アーマーは、咄嗟に回避しようとしたが、防御障壁の幅が広く、また飛んで来る速度もかなり速かったことや、自身も勢いが付き過ぎていたこともあり、回避が間に合わず、正面衝突してしまう。だが、頑強なシールドに激突されても弾き飛ばされたりせず、その場で踏み止まったのはさすがと言うべきだが、防御魔法である《神秘なる光壁(セイント・ウォール)》も簡単には消えず、その場で押し合いをする形になり、動きを止めざるを得なかった。


 それによって稼がれた貴重な時間とチャンスを逃さず、ユフィアが待機させておいたもう1つの魔法を発動させた。


「《浄化の聖域(サンクチュアリ)》!」


 瞬間、ユフィアの足元を中心に、半径15メートル程に渡って地面に荘厳な紋様の魔法陣が展開された。神聖属性の神々しい光を発する魔法陣が、リビング・アーマーに触れた途端、ビクン、と身体を硬直させたリビング・アーマーが、ガクガクと震え出したかと思うと、甲冑の隙間から黒い不気味な煙――あるいは靄のような物を噴き出し始めた。

 やがて靄が収まると、リビング・アーマーはまるで糸の切れた人形の様にその場に崩れ落ち、倒れた衝撃でバラバラになってしまう。


「ふぅ、成功しました」


 結構な魔力を消費したらしく、額に汗を浮かべたユフィアが疲れた表情で、しかし満足げに言った。


浄化の聖域(サンクチュアリ)》は、神聖系の上級魔法の一種で、その効果は、術者から一定範囲内にいる”不浄な生命やアンデッドを浄化する”というもの。

 不浄なる生命――つまり、自然の摂理に反する存在。生まれるはずのない生命や、動くはずのない死体といった存在。無論、その中にはリビング・アーマーのような魔術によって創造された人工生命も含まれる。

 まさに、アンデッドや魔術生命体に取っては一撃必殺の即死魔法なのだが、レベル差があり過ぎたりすると効果が無い、というリスクも含まれる。今回は、ユフィアとリビング・アーマーのレベルが僅差だった為、幸いにも成功したようだ。


 一方、慎也は――


(なんとなく判ってきたぞ)


 敵が1体だけになったことで、俄然戦い易くなり、リビング・アーマーの動きを観察する余裕さえ出て来た。


(確かにこいつらは動きが速いし、技のキレも相当なものだ。槍術と魔法を織り交ぜた攻撃は驚異的ではあるが、如何せん、動作が単調すぎる)


 リビング・アーマーが1体だけとなり、連携が失われた途端にその弱点が露呈してしまった形だ。

 魔術によって人為的に作られ、ほとんど意思も持たないせいか、リビング・アーマーの動作には柔軟性が無い。攻撃にフェイントを持ちいることもしなければ、剛柔掛け合わせることもしない。ただひたすら、スピアで突き、払い、魔法を撃ってくるだけ。


 非常に単純で、読みやすい。


 覚えておきなさい――


 いつだったか、ウィルに言われた言葉が脳裏を過る。


 技を活かすのは、それを磨き続けた志しだ――


 それにダブるようにして、『父親』の冷たい声が言った。


 信念の無い強さはただの暴力にすぎん。そんなものをどれほど磨いても、強くはなれん――


 初めてだったかもしれない。

 2人の『師』が重なって見えたのは――


(まったくもって、その通りだな)


 リビング・アーマーの醸し出す、空虚な、空っぽの強さを目の当たりにして、慎也は強く思った。


(こんな木偶に負けてたまるか!)


 こんな人形に負ければ、師匠たちの教えに対する最悪の裏切りになってしまう。それだけは絶対御免だ。


 真正面から繰り出された突きを、刀で弾き返す。リビング・アーマーはその反動を利用してスピアを反転させ、反対側の穂先で慎也の首を狙う。


 だがその時、突然、リビング・アーマーの槍と慎也の首との間になにかが割って入り、鈍い金属音と共にリビング・アーマーの槍を阻んだ。


「!」


 心なしか、リビング・アーマーが愕然としたような雰囲気を放った。

 そこにあったのは、1枚の盾。

 リビング・アーマーは知る由もなかったが、それは先程、慎也がナヴェットに要求されて<共有無限収納>から取り出し、そのまま置きっぱなしになっていた、盗賊討伐の戦利品の1つだった。それを《見えざる手(アステロイド)》を使って利用したのだ。


(地の利やその場の状況を活かし、臨機応変に、変幻自在に戦う――お前ら人形には逆立ちしたって出来ないだろう!)


 渾身の闘気を込めたミコトを、真下から掬い上げるように振り抜く。リビング・アーマーは咄嗟にバックジャンプしたが、本体の回避こそ間に合ったが、武器であるスピアは間に合わず、慎也の鋭い斬撃に半ばから真っ二つにされてしまう。


 使い物にならなくなったスピアを即座に放棄したリビング・アーマーは、後退しながら連続して炎弾を放ってきたが――


(単調な攻撃だな)


 リビング・アーマーの放つ芸の無い魔法など慎也に見切れないはずも無く、ひょいひょいと軽々と躱し――


「飛び道具はこうやって使うんだ!」


 ――魔法銃で応射した。


 慎也の放った魔弾は、リビング・アーマー本体ではなく、放たれた直後の炎弾を捉えた、

 魔弾と炎弾が空中で衝突し、激しい爆発を巻き起こす。

 それによって、リビング・アーマーの視界から慎也の姿がロストした。

 次の瞬間、爆炎の中を突き抜けるようにして、全身に闘気を纏った慎也が流星の如き勢いで突っ込んできた。


 突進しながら突き出された刀の切っ先がリビング・アーマーの胸甲に潜り込む。次の瞬間、切っ先を通じて伝播した破壊エネルギーが瞬時にリビング・アーマーの全身を駆け巡り、内部から粉々に粉砕した。

 傍から見れば、慎也の突きを喰らったリビング・アーマーが突然、爆砕したかのように見えただろう。


 リビング・アーマーを破砕しても慎也の突進の勢いは止まず、10メートル近くを滑空し、地に足を付いてなお、砂埃を上げながら数メートル進んでてようやく止まった。


 刀型戦技――砕牙。


 闘気、或いは魔力を刀を猛烈な突撃と共に繰り出す技だ。非常に強力な攻撃力を誇る反面、10メートル前後の助走が必要な上に隙も大きい為、使い勝手が悪く、使用できる状況が限られる、という難点がある。


「こういう技を状況に応じて臨機応変に使い分ける、ってのも、お前らには出来ない芸当だろ?」


 足元で、粉々の屑鉄と化したリビング・アーマーの破片に向かって、慎也は独りごちるように言った。


「おのれ、役立たずのガラクタどもめ!」


 頼みの綱であったリビング・アーマーが2体とも斃され、再度孤立無援となったボルドが忌々し気に吐き捨てた。

 セリシエルと結衣の2人を相手にするのはやはり厳しかったらしく、黒装束のあちこちが破れ、いくつもの傷を負っていた。


「もう降参するんだよ! これ以上戦っても、あなたに勝ち目はないんだよ!」

「黙れ、小娘が!」


 セリシエルの降伏勧告を、ボルドは激昂と闘気を帯びた斬撃で撥ね付ける。


「そんな攻撃、当たらないんだよ!」


 が、感情に任せた大振りなど、身軽なセリシエルに当たるはずも無く、彼女は屈むように体勢を低くして難なく攻撃をやり過ごし――


「ぐぅ!」


 がら空きになったボルドの身体に容赦無く小盾を叩き込む。くぐもった悲鳴を漏らして後退するボルドに――


「ぐぁ!」


 真横から結衣の電撃が撃ち込まれた。


「やっぱり効きにくい……」


 直撃を受けたにも拘らず、よろめいただけで倒れることすらしないボルドに、結衣が愚痴るように漏らした。


<雷魔法>の初級とはいえ、本来なら直撃すればかなりのダメージを与えられたはずだが、やはり彼の纏っている黒装束は魔法によるダメージをかなりの効率で低減するらしく、結衣では有効打を与えられないでいる。もっと強力な魔法を使えばそれなりのダメージを与えられるかもしれないが、如何せん、場所が場所だけに村の家屋に被害が及んでしまう可能性があるので出来ない。


「小癪な魔法使いガキめ……貴様から殺してやる!」


 結衣にターゲットを移したボルドが、剣の切っ先を彼女に突き付けるようにして走り出す。


「させないんだよ!」


 当然、そんなことをセリシエルが許すはずも無く、地を蹴って大きくジャンプし、ボルドの背中目掛けて飛び蹴りを放つ。


「馬鹿め!」


 だが、その直前、ボルドは突然剣を地面に突き刺し、剣と柄を握った手を基点にブレーキをかけると同時に身体を反転させてセリシエルの方へ向き直った。


「わぁっ!」


 さすがにこの行動は予期していなかったらしく、セリシエルが間の抜けた声を上げるが、いまさら飛び蹴りを止められるはずも無い。結果、待ち構えていたボルドに繰り出した足を掴まれてしまう。


「セリスちゃん!」


 セリシエルと密着した状態では結衣も魔法で援護することが出来ない。


「死ね!」


 セリシエルを捕まえたボルドが、反対の手で剣を地面から引き抜き、振り被ろうとして――


「やなんだよ!」

「なっ!?」


 突然、セリシエルの背中から現れた純白の翼に驚愕し、一瞬、動きが止まる。そのチャンスを逃さず、セリシエルは<飛行>で身体を宙に浮かせつつ、足を掴んでいるボルドの手を反対の足で蹴り払い、いったん空中へ逃れた。


「天使族だと!? 汚らわしい”人擬き”が、我々の崇高な理想を阻むとは――」


 どういう訳か、セリシエルが天使族だと判った途端、ボルドの怒りのボルテージが跳ねあがった。


「ヒトモドキ?」


 ボルドの口から洩れた聞慣れない単語に、結衣は一瞬怪訝な表情を浮かべたが、すぐにそれが「人擬き」――つまり、天使族を初めとした亜人種族全てを侮蔑する言葉だと気付いて、カッチーン、と来た。


「セリスちゃんが「人擬き」なら、あなたは「人でなし」だよ!」


 ルピィやケミナ村の人たちにした酷い仕打ちに加え、セリシエルやミリィを初めとした亜人たちに対する許しがたい侮辱に、結衣が滅多に見せない怒りを露わにした。


「《凍てつく吹雪(ブリザード)》!」


 結衣の杖の先端から、猛烈な冷気を帯びた吹雪が発生し、セリシエルに気を取られていたボルドの背後を襲った。


「しま――」


 彼が自身の油断に気付いた時には、吹雪によって身体の半分――足元から腹の辺りに掛けて凍結してしまっていた。

 黒装束のおかげでダメージこそ無かったが、下半身が凍結したことで、同じく氷に覆われた地面に縫い付けられ、身動きが取れなくなる。


「終わりなんだよ!」


 そんなチャンスをセリシエルが逃すはずも無く、彼女は空中から眼下のボルドに向かって小盾を投げ付ける。


「舐めるな!」


 だが、ボルドはさすがの反応を見せ、飛んで来た小盾を剣で弾き飛ばす。


 ドン!


「がっ……」


 だが次の瞬間、剣を振り抜いた直後のボルドの腹を、一条の閃光――セリシエルが指先から放った《光閃(レイ)》が撃ち抜いていた。


「ば、かな……」


 信じられない、といった様子で愕然とするボルド。彼も、いまのが光系の初級魔法である《光閃(レイ)》だと気付いていた。だが、その程度の攻撃では自身が身に纏う黒装束は撃ち抜けないはずだった。


「どんなに固い壁でも、穴が空いちゃったら意味無いんだよ?」


 セリシエルの指摘と、《光閃(レイ)》の直撃で発生した熱によって撃ち抜かれた箇所の氷が溶けて傷口が露わになったことで、ボルドもようやく気付いた。


 セリシエルが撃ち抜いたのは、先ほどまでの戦闘の影響で破れていたカ所だ。

 そこを、セリシエルは正確に《光閃(レイ)》で撃ち抜いたのだ。


「くっ……そ。このオレが、こんな、人擬き……の、小娘に……」


 がふっ、と口から血を吐き出して、ボルドは意識を失った。手から県が零れ落ちるが、下半身が依然凍結したままだったので倒れることはなかったが。


「勝ったんだよ!」

「やったー!」


 空中に浮かんだまま勝鬨を上げるセリシエルに釣られて、結衣も杖を振り上げて喜びをあらわにする。


 その首筋に、冷たい光を宿した刃が付きつけられた。


エンジェル・プラネットの方も同時更新しています。

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