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異界の刀銃使い  作者: 太公望姜子牙
冒険者の章
51/135

第48話 遺跡だ

びっくりゴブリン大集合です(=゜ω゜)ノ

 慎也たちは驚愕のあまり言葉を失った。否、瞬きすらも忘れて眼前の光景を呆然と見つめている。


 ユフィアの言う通り、川の向こう側には木の1本も生えていない、芝生のような短い草に全体を覆われた小さい山があった。それは良い。元々そこにあったものだから。


 だが問題は、そのなだらかな斜面を、醜悪なゴブリンの集団がたむろしているということだ。


 それも、100や200では済まない数だ。ざっと見ても数百匹はいる。いや、見える範囲でその数なのだから、慎也たちのいる場所から死角になっている山の裏手にいるであろう数を考えれば、優に1000を超えるだろう。


 大多数は普通のゴブリンだが、希少種の姿も多く見られる。


 ゴブリン・ファイター

 レベル:7

 生命力:150

 魔力値:3

  筋力:145

  敏捷:100

 スキル:<体術129>

【ゴブリンの希少種。ゴブリンの格闘家。通常のゴブリンに比べて大柄で身体能力が高く、初歩的な格闘術を扱うことが出来る】


 ゴブリン・ソルジャー

 レベル:5

 生命力:100

 魔力値:3

  筋力:99

  敏捷:120

 スキル:<槍術121>


【ゴブリンの希少種。ゴブリンの兵士。強さは普通のゴブリンよりもやや強い程度だが、他の希少種に比べて数が多く、十数匹程度の集団での統率の取れた行動を旨とする為、通常のゴブリンよりも手強い】


 ゴブリン・サージェント

 レベル:7

 生命力:152

 魔力値:10

  筋力:130

  敏捷:98

 スキル:<統率209><剣術100><鼓舞124><指揮131>


【ゴブリンの希少種。ゴブリンの軍曹。ゴブリン・ソルジャーを束ねる部隊長的存在。ゴブリン・ソルジャーの集団は大抵の場合はゴブリン・サージェントが率いている。個体としての戦闘力はさほど高くないが<鼓舞>のスキルによって配下のゴブリンの力を上昇させる能力を持つ】


 ゴブリン・ライダー

 レベル:5

 生命力:102

 魔力値:4

  筋力:97

  敏捷:80

 スキル:<剣術77><騎乗戦闘136><魔物調教90>


【ゴブリンの希少種。ゴブリンの騎兵。騎乗戦闘に特化したゴブリン。個体としての戦闘力は高くないが、自らテイミングした足の速い魔物に騎乗している為、遭遇するとゴブリン・ライダーだけでなく騎乗する魔物とも戦わなければならない。騎乗する魔物の多くはストレイ・ウルフだが、イノシシ型の魔物や、飛行能力を持った鳥型の魔物に騎乗する個体も存在する】


 ゴブリン・メイジ

 レベル:9

 生命力:160

 魔力値:212

  筋力:51

  敏捷:40

 スキル:<火魔法153><氷魔法149><雷魔法165>


【ゴブリンの希少種。ゴブリンの魔法使い。ゴブリン・ウォーロックが1種類の魔法しか使えないのに対し、ゴブリン・メイジは複数の属性の魔法が使え、スキルレベルもウォーロックを凌ぐ。またウォーロックと違い、自然発生(ホップ)でしか生まれない】


 ゴブリン・プリースト

 レベル:9

 生命力:154

 魔力値:220

  筋力:43

  敏捷:38

 スキル:<神聖魔法162>


【ゴブリンの希少種。ゴブリンの僧侶。簡単な回復、防御、補助魔法を使うことが出来る反面、攻撃が苦手で単独での戦闘力は非常に低い為、多くの場合は他のゴブリンと共に行動している。ゴブリン・メイジと同様、自然発生(ホップ)でしか生まれない】


 ボブ・ゴブリン・スマッシャー

 レベル:15

 生命力:643

 魔力値:11

  筋力:423

  敏捷:190

 スキル:<怪力321><棍術287><物理耐性222>


【ボブ・ゴブリンの重戦士。通常のボブ・ゴブリンよりも大柄で遥かに優れた能力を持つ。生命力が高い上に鍛え上げられた筋肉ゆえに物理防御力に優れており、生半可な攻撃ではほとんどダメージを与えることが出来ない。反面、魔法に対する耐性はそれほど高くない】


 代表的な希少種だけでもこれだけいる。もちろん、通常のゴブリンもわんさかだ。

 その場にいる全員が確信した。最近、マナクレイの森周辺で起こっているゴブリンの異常増加、ここがその震源なのだ、と。


「ゴブリンのお祭りかな?」


 呑気なことを口にする結衣も、さすがに内心はそうでもないらしく、表情が引き攣っていた。


「オレも長いこと冒険者やってきたが、こんな光景を見たのは初めてだ」


 熟練の冒険者であるマクレーンですら、この光景は異常としか言えないものだったらしい。


「そんな……前に来た時は、こんな……」


 あまりの光景にユフィアは真っ青な顔で絶句していた。


 さらによく見れば、小山の周辺の森などに、ゴブリンたちが建てたと思しき粗末なボロ小屋のような物が見て取れる。周辺の木々や林にうまくカモフラージュしていて、パッと見ただけでは判りづらい造りになっていた。

 どうやらこのゴブリンの大群は小山の周辺の森の中にねぐらを構えているらしい。


「あり得ない……」


 エミリータが呟くように言った。


「これほどの数のゴブリンが一カ所に集結するなど、断じてあり得ない! いったいなぜ、どこから……」


 普段クールなエミリータも、さすがに冷静さを欠いて取り乱している。


 そんな中で、1番冷静だったのは慎也だった。

 ゴブリンの大群を目の当たりにした際、驚きはしたものの、それに飲み込まれることなく頭の片隅で冷静さを保ったまま、ゴブリンが集まっている原因を求めて視線を彷徨わせていた。いざという時にパニックに陥って我を見失わないようになる為の、ウィルの指導で行って来た感情制御訓練の成果だった。


「おい、みんな。あそこ!」


 その甲斐あって、慎也は一同の中で真っ先にそれに気付くことが出来た。


 彼が指さしたのは、山の中腹辺り。一面緑の雑草に覆い尽くされている小山の中で、一カ所だけ山肌が露出している部分があった。しかもそこには空洞が生じていて、しかもゴブリンが出入りしているのが確認できた。空洞のサイズは、ゴブリンの大きさと比較しても大きく、人間でも普通に入れるくらいだ。


「あるじゃねぇか、洞窟」

「そ、そんなはずありません! 前に来た時は、あんな所に洞窟なんてありませんでした!」


 マクレーンの言葉に、ユフィアは愕然として声を荒げる。


「……ねぇ、あの洞窟、変だよ」


 そんな折、洞窟の方をじっと眺めていた結衣が、あることに気付いた。


「なにが変なんだ?」

「掘り返したような跡があるよ」


 慎也が聞き返すと、結衣は洞窟の端の方を指さした。確かに穴の端の方に土を掘ったような跡があり、その近くには土が山積みになっている。

 つまり、あの洞窟は元々あったものではなく、ゴブリンが掘り返して作ったものである可能性が高い。


「ゴブリンに穴を掘る習性ってありましたっけ?」

「ああ。柔らかい地面なら自分たちで巣穴を掘ることもあるが……それにしたって、なんだってあんな場所に……」


 マクレーンも首を傾げた。

 先にも述べたが、ゴブリンは急斜面を上るのが苦手だ。故に、山の麓に穴を掘るなら理解できるが、わざわざ山を登った先、中腹の辺りに巣穴を拵えるなど、普通では考えられない。しかも出入りしているゴブリンの数を考えれば、穴は相当深いことが伺える。


 何故、ゴブリンたちはあんな場所に、あれほど深い穴を掘ったのか、冒険者経験が豊かなマクレーンにも理解できず、腕を組んで唸るしかなかった。


 答えに最初に気付いたのは、彼の相棒であるエミリータだった。


<遠見>を持ち、普段から偵察や斥侯を熟すことが多かった彼女は、5人の中では最も詳細に洞窟の様子を観察することが出来た。慎也たちのいる場所から洞窟までは300メートル以上あり、さすがに内部までは見通せなかったが、日の当たっている範囲であれば内部も見通すことが出来きる。


 結果、エミリータは、ゴブリンの巣穴にはあるはずの無いものを見つけることが出来たのだ。


(なんだあれは? 石柱?)


 洞窟の入り口から数メートル奥へ入った位置に、明らかに天然の岩ではない、遠目にも加工された物と判る石の柱のような物が、洞窟の両脇の土の間に垣間見える。

 当たり前のことだが、ゴブリンに石材を加工する技術など無い。仮に作れたとしても、なぜあんな場所に埋めているのか。そもそもあの山は全体に渡って雑草が覆い茂っているのだ。埋めたとしても相当日数が経っている。


 むしろ、元々そこにあったものを掘り返したような……


「!」


 その瞬間、エミリータの頭の中でカリチとなにかが音を立てた。


 ゴブリンの増加――

 原因――

 古代神器(アルティカ・ノーツ)である可能性――

 森の中の山――

 掘り返された洞窟――

 そこに垣間見える石柱――


 これらの単語が、エミリータの中で1本の線に繋がった。


「そうか……そういうことか……」

「おい、どうした?」


 我知らず呟きを発していたエミリータに、マクレーンが訝し気に声を掛けた。


「……遺跡だ」


 呟くような小声でエミリータは断言した。


「あの洞窟の脇に、石柱のような物が見える。恐らくあの山は自然に出来た地形の一部などでは無く、土に埋もれた、古代アルティカ文明時代の遺跡なんだ」

「遺跡? あの山が?」


 小さい頃から知っている、しかも、何度も訪れたことのある場所が、実は遺跡なんじゃないか、と聞かされ、ユフィアは信じられない思いでそちらを見やる。


「古代アルティカ文明時代の遺跡、ってことは、やっぱり、古代神器(アルティカ・ノーツ)か?」

「いや、まだ判らない。だが、可能性は高いと思う。だが少なくとも、あれが今回の騒動の原因であることは間違い無いと見て良いだろう。あの山に埋もれた遺跡の中に、ゴブリンを発生させたなにかがある。それが古代神器(アルティカ・ノーツ)なのか、それとも他の何かなのかは、実際に調べてみないと判らないが」

「なるほど……」


 マクレーンとエミリータの会話を聞きながら、慎也は改めて山の周囲を見回してみる。

 仮にエミリータの推理が正しかったとして、内部を調べようにも、見た所入り口は一カ所だけ。川を挟んだ対岸(こちら)側は手薄だが、向こう側はゴブリンの大群に完全に占拠されていて、蟻が入り込む隙間も無いほどだ。


「しかし、あの中を調べるのは、ちょっと無理じゃないですか?」

「そうだな。今日の所はここで引き上げた方が良い」


 そう言って、エミリータはあっさりと撤収を決断した。


「元々私たちの受けた依頼(クエスト)は、『ゴブリン増加の原因調査』だからな。少なくとも震源を突き止めることが出来たのだから、これで依頼は達成できたはずだ。いまは一刻も早くこのことをギルドに知らせた方が賢明だ。どう考えても、私たちだけでどうこうできるレベルじゃない」

「さんせー」


 エミリータの判断に、結衣が文字通り諸手を上げて賛成した。もちろん他のメンバーからも異論が出るはずもなく、慎也たちはゴブリンたちに気付かれないよう、密かにその場を後にするのだった。

次回更新は10/17日、18時予定です。

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