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異界の刀銃使い  作者: 太公望姜子牙
冒険者の章
35/135

第33話 どうやら当たったみたいだな

投降失敗してしまいました(´;ω;`)ウッ…

「凄いです、シンヤさん!」


 ゴブリン・ナイトを一騎打ちで屠った慎也に、興奮気味に顔を赤くしたユフィアが駆け寄ってきた。


「いまの<閃駆>、私、全然見えませんでした。まるでお爺様みたいに」

「よしてくれ。オレの<閃駆>なんて、ウィルさんに比べたら、まだまだお遊戯レベルだよ」


 実際、慎也の<閃駆>はウィルから伝授されたものだが、師であるウィルの足元にも及ばないと慎也は思っていた。訓練の過程で何度もウィルの<閃駆>を見せてもらったが、本当に、一瞬にして姿が消えてしまうのだ。初めて見た時は、本当にテレポーテーションを疑ったくらいだ。


「でも、<閃駆>を使える人って、ほとんどいないんだよね?」


 結衣の言う通り、超高速移動法である<閃駆>を使える人間は、ごく一部の、本当に限られた武人だけだという話だ。それこそ、1級冒険者と同じくらい<閃駆>を使える人間は少ないらしい。


「それでも、オレの<閃駆>はまだ駆け出しレベルさ。スキルレベルだって……あれ?」

「どうしたの?」

「……なんか、<2丁拳銃>ってスキルを覚えたっぽい。さっきゴブリンを殺した時、銃を2丁同時に使ったからか?」

「どれどれー……あ、ホントだね。え? 覚えたてでスキルレベルが150もあるよ?」


 慎也のステータス画面を除いた結衣が驚きの声を上げた。確かにそこには、さっきまで無かったはずの<2丁拳銃150>と記されてあった。


「それは、シンヤさんが既に魔法銃系のスキルを覚えているからですよ」


 と、ユフィアが解説した。


「つまり、ある種のスキルを習得して、さらにそのスキルレベルを高めた場合、同種のスキルを習得しやすく、レベルも上がりやすいんです。例えば、<刀術>スキルと<二刀流>スキルとか。<槍術>と<短槍術>とか。<農業>と<栽培>なんかもそうですね」

「なるほど……そんな法則があったか」


 考えてみれば不自然なことではない。ある種の技術を覚えておけば、それに酷似した別種の技術が覚えやすいのは当然だ。

 例えば野球。1から野球を覚えるのと、元ソフトボールプレイヤーが野球を覚えるのとではまったく違う。


「っと、それよりも、いまはこっちだ」


 そう言って、慎也は自分が倒したゴブリン・ナイトの死体に歩み寄り、傍に屈んでその剣を手に取った。やはり剣身には人間とゴブリンの血が入り混じって付着している。指を付けてみると、ぬめっとした感触が指先を濡らした。


「この返り血、付いてから間も無いぞ」


 というより、本当についさっき付いたばかりのようだ。


「この杖、やっぱり街の武器屋で売られていた物と同じです」


 ゴブリン・ウォーロックが持っていた杖を手に取ったユフィアが、顔を曇らせて呟いた。


「こっちの盾と短剣も見たことあるよ」


 同じように結衣がゴブリン・ナイトが所持していた2振りの短剣を手に取り、地面に転がった盾を見下ろして言った。ついでに、慎也が持っていた剣にも目を向ける。


「その剣も知ってる。武器屋で売ってる安物の鉄剣だよ」

「おまけに新品同然だ。いかにも”新人冒険者が初めての魔物討伐の為に買った武器”って感じだな」


 それをゴブリンが持っていたということは、つまりそう言うことなのだろう。


「それじゃあ、やっぱりあの足跡の方たちが……」


 自分たちと同じ新人冒険者が辿った運命を想像し、ユフィアは顔を青くした。


「まだ決まった訳じゃないが、気になるな……」


 手にした鉄剣を見据えながら、慎也は考える。

 あくまで勘ではあるが、あの足跡の主と、これらの武器の持ち主は同一人物だろう。

 剣と盾、短剣、杖。これらをそれぞれ1人ずつが装備していたとすれば、足跡から導き出した人数やパーティ構成と合致する。


 2年前、ウォー・ウルフの餌食となった友人の亡骸が慎也の脳裏を過った。


 持ち主たちはすでに生きてはいないだろう。だが、万が一という可能性もある。ついさっきなったばかりとはいえ、同じ冒険者――仲間の危機なら、助けてやりたい。

 例えそれが、死を確認するだけのものであったとしてもだ。


 だが、それは同時に、自分たちも相応の危険に晒されることになる。


 いくらマナクレイの森での魔物狩りに慣れていて、他の冒険者に比べて高レベルだと言っても、所詮は今日登録したばかりのど新人冒険者だ。不測の事態に対応できるかと言われれば、かなり怪しいと答えざるを得ない。

 

 つまり、今度は自分たちが、この武器の持ち主らと同じ運命を辿ることになるかもしれないのだ。


(オレはともかく、結衣とユフィアがもし……)


 ゴブリンに生け捕りにされた場合、男は嬲り殺しにされ、女は慰み者にされる。結衣とユフィアをそんな目に遭わせるなど、到底看過できない。


「シンヤさん、シンヤさん」


 思考に没頭していた慎也の服をユフィアがくいくいと引っ張って、彼の意識を現実の引き戻した。


「あ、ああ、すまない。どうした?」

「私たちのことなら、気になさらないで下さい」


 笑顔でそう言われて、慎也は内心でぎくりとした。


「そーだよ。私もユフィアちゃんも、ゴブリンに負けるほど弱くないよ?」


 唇を尖らせて結衣が付け加えた。


「いや、オレは別に――」

「ううん。さっきの慎也君の顔、「助けに行きたいけど、私やユフィアちゃんがゴブリンにやられちゃったらどうしよう?」みたいなこと考えてる顔だった」


 異様に具体的かつ正確極まりない結衣の推測に、慎也は思わず舌を巻く。そう言えば、前にも自分が考えていたことをズバリと言い当てられたことがあった。


「私たちは冒険者です。困っている人を助けるのも役目の内です」

「おいおい、オレたちはついさっきなったばかりの新人ニューピーだぞ? ウィルさんみたいに強くも無ければ、経験も無いんだ」

「それでも、同じ新人の冒険者の方が傷ついて助けを求めているかもしれないのに、見捨てるなんて出来ません!」


 芯の強い、揺るがない意志のこもった瞳でユフィアは言った。


(危険だな……) 


 慎也は思った。弱者を、困っている者を助けたいという、ユフィアの頑な意志、そして優しさは危険だ、と。特に、地球、日本に比べて”死”が遥かに身近に存在するこの世界では、彼女の志は命取りに成りかねない。

 曲がりなりにもアメリカの、スラム街で暮らしたことのある慎也は、そのことを経験から知っていた。


「……けど、危険だぞ? それこそ、死んだ方がマシと思えるような目に遭うかもしれない」

「か、覚悟の上です」


 強がってはいるが、彼女の声には怯えが混じっていた。うら若き女性がゴブリンに捕まったらどうなるか、当然ユフィアも知っているだろうから、ある意味当然だが。


「大丈夫だよ」


 一方で、あっけらかんとそんなことを言い放った結衣の声には、欠片の恐怖すら宿っていなかった。


「なんでそう言えるんだ?」

「だって、慎也君が一緒だから」

「――!」


 笑顔で断言され、慎也は面食らう。


「危なくなったら、絶対守ってくれるでしょ?」

「それは、まあ……」

「だったら、大丈夫だよ」


 子供の様に無邪気な笑顔を見せられると、慎也もそれ以上なにも言えなくなってしまう。

 やれやれ、とばかりに嘆息し、後頭部を掻きながらも、内心では2人に感謝している部分もある。決心を付ける為の後押しをしてくれたのだから。


「よし。じゃあ、さっきの冒険者の足跡を辿って行こう」

「? ゴブリンたちの足跡を辿った方が良いんじゃないですか?」


 ユフィアが不思議そうに訪ねたてきたが、慎也は首を振った。

 被害者よりも、犯人の足跡を辿った方が確実なのでは、と思ってのことだった。実際、足跡の主がゴブリンの被害者とは限らないのだから。


「あのゴブリンたちが冒険者を襲って装備を強奪したのは間違い無い。しかも、強奪してからさほど時間は経ってない。けど、奴らが強奪現場から一直線にここへ来たとは限らない。森の中を獲物を探してうろうろと徘徊している内に、たまたまオレたちと遭遇した可能性が高い。その足跡を辿ってたら日が暮れてしまう。ここは、あの足跡の主=ゴブリンの被害者という可能性に賭けよう。時間をかけて森を捜索するほど、余裕も時間も無いしな」


 空を見上げてみると、日はすでに中天を過ぎている。日没まで、あまり時間は無い。夜の森は昼間のそれに比べて危険すぎる。


「そうですね。日が落ちる前には森を出ないと」

「そう言うことだ。場合によっては、見つける前に撤退することもあり得るから、それだけは理解してくれよ」

「判りました」

「はーい」


 さすがに危険を冒して夜の森を散策してやるほどの義理も理由も無いので、これだけは譲れない。ユフィアと結衣も納得した。


「そうだ。この武器はどうするの?」


 持っていた2本の短剣を両手で吊るすように掲げながら、結衣が訪ねた。


「……一応、持っていこう。当人たちが見つからなかった場合、ギルドに報告する必要があるだろうし」


 冒険者が行方不明になった場合、ギルドはライセンス・カードを使って探すことが出来るが、戦いで破損していたり、本人の手元に無かった場合も在り得る。そういった時の為に、一応、証拠となる物証は必要だろうと慎也は考えた。


 少々荷物になるが、剣と盾は慎也が、杖はユフィアがそれぞれ背負い、短剣は結衣が腰に吊り下げることにした。


「それじゃあ、行くぞ」

「はい」

「はーい」


 慎也を先頭に再び一行は森の奥へと進み始めた。


 ゴブリンの魔晶核(コア)を取り忘れたと気付いたのは、それからしばらくしてのことだった。


 ◇◇◇


 足跡を追跡すること30分余り。


「……どうやら当たったみたいだな」

「お腹痛いの?」

「その()()()じゃない!」


 馬鹿な返事を返した結衣を叱りながらも、慎也は眼下の足跡を指さした。


「ゴブリンの足跡が混ざってる」


 言われて結衣とユフィアも目を凝らしながら足跡を観察してみる。

 確かに、人間にしてはかなり小さい、子供サイズの足跡が複数、脇の林の中から出て来て冒険者たちと同じ方向へと進んでいる。


「数は30くらいか。明らかに忍び足で歩いてるな。足音を殺しながら、なにかの後を追跡している」


 恐らく、3人の冒険者たちはここでゴブリンの群れに捕捉されてしまったのだろう。

 そしてもうひとつ、気になることがあった。

 ゴブリンの足跡の中に、ひと際大きいものが1つだけあるのだ。


「デカいのが1匹いるな。歩幅からして、身長は180cm前後。体重は90~100㎏。ボブ・ゴブリンだな」


 ボブ・ゴブリンとは、ゴブリンの希少種で、子供サイズのゴブリンに対し、ボブ・ゴブリンは人間の大人よりも大柄で、普通のゴブリンとは比べ物にならない怪力を誇っている。戦闘力とレベルなら先程のゴブリン・ナイトよりも高く、大抵は群れのボスでいることが多い。


「3人組はまったく気づいてないな」

「急ぎましょう!」


 ユフィアにせかされて、慎也たちは前進を再開した。だが、その速度は遅々として、決して早くない。魔物の領域である森の中を迂闊に進めば、命がいくつあっても足りない。

 他の魔物の気配や、罠、待ち伏せ、追跡を最大限警戒しつつ、3人は互いが邪魔にならないよう、一定の間隔を保ったまま獣道を進んだ。

 

「……ゴブリンが駆け足になった」


 眼下のゴブリンの足跡が明らかに変わった。足跡の深くなり、歩幅が広まり、しかも力強く地面を蹴っている証しに土が跳ねている。

 群れが一斉に駆け出した証拠だ


「この先だ。念の為、警戒しとけ」


 魔法銃を手にする慎也に倣って、結衣とユフィアもそれぞれの杖を構え、いつでも魔法が放てるように呼吸と魔力を整える。

 そうして進んだ先では、想像通りの光景が広がっていた。



  名前:シンヤ

  種族:人族

  年齢:17

  性別:男

 レベル:28

 生命力:3472/3472

 魔力値:509/509

 経験値:3173/32257

  筋力:832

  魔力:451

  敏捷:778

  技術:667

  知力:253

  防御:310

  抵抗:429

  精神:687

  幸運:203


 スキル


 武器系

<2丁拳銃150(new)> 

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