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異界の刀銃使い  作者: 太公望姜子牙
始まりの章
11/135

第11話 実際に武器を使ってみようか

あとがきで、今作に登場した武器、アイテムの紹介をやっています。

「それじゃあ、実際に武器を使ってみようか」


 そう言うウィルに従って、慎也たちはそれぞれに与えられた武器を手に家の外に出た。

 ウィルとユフィアの家は、森を切り開いた広場の真ん中に立てられていた。玄関から出た外は畑になっていて、その周囲を腰の高さほどの柵がぐるっと囲っている。その向こう側、少し離れた場所に太い丸太が何本も山積みされていた。長さはどれも2メートル程で、太さは子供の胴回りくらいある。ウィルは丸太の山に歩み寄ると、そのうちの1本を()()()と持ち上げた。


「うぃっ!?」


 見た感じ、丸太の重さは数十キロは下らないはずだ。それを、老人が軽々と持ち上げてしまうというショッキングな光景に、慎也は思わず変な声を漏らしてしまった。結衣もびっくりして目を丸くしている。


(いやいや、考えてみればここは異世界なんだ。しかもレベルという概念が存在するんだから、レベルが上がれば当然、力も強くなるはずだ。丸太を持ち上げるくらい当たり前なんだろ)


 頭を振って心の中で自分に言い聞かせる。

 そんな慎也を他所に、ウィルは丸太を肩に担いで慎也たちの前まで来ると、無造作にそれを地面に立てた。意外に重心がしっかりしている為か、ウィルが手を離しても丸太は倒れない。

 文字通りの棒立ちである。


「では、シンヤ君」

「はい」

「さっきの刀で、これを斬ってみなさい」

「……え?」


 ウィルの言葉に慎也は思わず目を剥いた。

『親』に無理やりやらされた剣術の訓練課程で、慎也は何度か真剣を振るったことがあった。その一環で、居合をやったこともある。だがその時斬ったのは単なる巻藁だった。その時の経験から、いくら名刀とは言え、人間の子供の胴回りほどもある丸太を切断できるとは思えなかった。


「いいから、やってみなさい」

「はあ……判りました」


 ウィルが勧めるからにはなにか訳があるのだろうと考え、慎也はイクサを手に丸太の前まで進み出た。元の世界でやった、居合とほぼ同じ間合いで腰を落とし、左手にイクサを携えたまま静かに構える。


「ふッ!」


 身体が覚えた動作通りに刀を抜き放つ。銀の剣閃は目にも留まらぬ速さで丸太に吸い込まれ――


「――?」


 ――そのままなんの抵抗も無く反対側へと抜けた。


(あれ? ミスった?)


 この間合いで失敗するはずはないと思ったのだが、傷ひとつ付いていない丸太と手ごたえの無さに首を傾げていると、すぐにそれが間違いだと判った。


 丸太が、ちょうど慎也の目線の高さくらいで斜めにズレていく。


「……マジで?」


 夢想だにしていなかった結果に、愕然とした様子の慎也の目前で、真っ二つになった丸太の上半分が地面に落ちた。


「お見事」


 ウィルの拍手の音で我に返る。


「すごいすごーい! 漫画みたい!」

「素晴らしいです! シンヤさんは剣術の達人だったんですね!?」


 結衣とユフィアが無邪気に褒め称えるが、慎也の耳には届かない。ただ茫然として、手に持ったままのイクサの刀身を見つめていた。


「凄い切れ味ですね……」

「確かにこれは名刀の類ではあるが、それだけではこうはいかない。君の技と身体能力が合わさってこその結果だ。<刀術>スキル200は伊達ではないということさ」


 ウィルはそう言うが、いまひとつ釈然としない思いを抱えつつ、慎也は素直に相槌を打って刀を鞘に納めた。


「じゃあ、次は魔法銃を撃ってみようか」

「はい」


 言われて刀を足元に置こうとした慎也だったが、切っ掛けがなんであれ、剣術をかじった者として、いままで見たことも無いような超絶的な名刀を地面に置くという行為は愚行に思えたので、仕方なく制服のベルトにいったん差して、ズボンのポケットにしまっておいた魔法銃を手に取った。


「扱いは難しくない。狙って引き金を引くだけさ」

「え? でも、魔法銃ですよね? 魔力とか込めなくていいんですか?」


 魔法銃と聞いて、なんとなく魔法の杖の拳銃バージョンを想像していただけに、ウィルの言葉は意外だった。


「普通はそうなんだが、これは初心者向けの魔法銃でね」

「初心者向け?」

「まあ、説明するよりも実際に撃ってみた方が早い。取りあえず、あそこにある岩を撃ってごらん」


 ウィルが指さしたのは、20メートルほど離れた場所にある、人間ほどの大きさの岩だった。

 言われるがままに両手で魔法銃を構え、銃口を岩に向ける。かつて、銃の本場であるアメリカで、『親』に散々やらされた射撃だ。身体に染みついてしまった動作に促されるまま、慎也は引き金を引いた。


 ぼっ!


 銃声は以外にも元の世界の銃と似ていた。しかし、銃口から飛び出したのは青白い光の弾。視界に一瞬だけ映ったそれは、恐らく実弾銃の弾丸と同じくらいの速度で宙を奔り、甲高い炸裂音を立てて岩に孔を穿った。


(威力なら普通の拳銃よりも上だな)


 岩に空いた穴の大きさから慎也はそう判断した。なのに、発射した際の反動がほとんど無かったのにはかなりの違和感を感じたが。


「シンヤ君、自分の魔力値を確かめてごらん」

「えっと……あ、減ってる」


 ステータスを確認すると、さっきまで40あった魔力値が3ポイント減って37になっていた。


「この魔法銃はヴェレタという名前で、さっき言った通り、初心者用の魔法銃だ。と言うのも、本来、魔法銃は使用者の意志で魔力を銃に込めないと撃てないんだが、これは魔法銃自体が所有者の魔力を吸い取り、魔弾化して発射する。つまり、魔力を持っている人間なら誰でも使えるという訳さ」

「なるほど、それで初心者用なのか……」


 慎也も納得した。現状、魔力を操ることの出来ない自分でも使えるのはありがたい。


「それともうひとつ、グリップの上にダイヤルが付いているだろう?」

「ああ、これ、オレも気になってたんですよ」


 拳銃で言えば、安全装置がある辺りに小さなダイヤルが付いていた。


「これは、魔弾の威力を調整する為のダイヤルでね。本来は自分で魔力を調整して魔弾の威力をコントロールするんだが、これはそれが出来ない者の為の魔法銃だからね。魔弾の威力を増減する機構が備わっているんだ」

「さすが初心者用」


 よく判らないことで感心する慎也。


「さっきのは下から2番目の状態だったが、今度は最大にして撃ってみなさい」

「はい」


 言われるがままに慎也はダイヤルを最小から最大に調整し、さっきと同じ様に岩に向けて撃ってみる。


 ぎゅぼぅ!!


 さっきの銃声とはまったく違う発射音。放たれた魔弾も、明らかにさっきのより大きい。恐らくサッカーボールほど。どう考えても銃口よりも大きかった。にも拘らず、弾速はほとんど同じ。

 サッカーボール大の魔弾は岩に接触するや否や、轟音を上げて岩そのものを粉々に粉砕してしまった。


「マジで……」


 あまりの破壊力に、慎也は銃を構えた体勢のまま呆然と呟いた。背後で見守っていた結衣もぽかんと口を開いたまま言葉も出ない様子だった。


「う……」


 突然、強い目眩が慎也を襲った。平衡感覚が失われ、視界が揺れる。言い様も無い疲労感が身体――いや、精神を苛いなんだ。立っていられなくなり、ふらつく頭を押さえてその場に膝を付く。


「どうしたの、慎也君?」


 いきなり崩れ落ちるように膝を付いた慎也に、我に返った結衣が慌てて駆け寄った。


魔力欠乏症まりょくけつぼうしょうだよ」


 ウィルが答えた。


「魔力、欠乏症?」


 言われて自分の魔力値を確認すると、撃つ前は37だった魔力値が一気に17まで減っていた。魔弾で消費したのだろうが、下から2番目の威力での消費量が3だったのに対し、最大では一発で20ポイントも消費するらしい。


「魔力を一度に半分以上消費すると、魔力欠乏症というものに見舞われる。症状としては、強い立ち眩みと強い精神的な疲労感。魔力が回復すれば治まるが、戦いの最中に起こったら致命的だからね。魔法戦士を目指す以上、魔力の消費には充分注意しなさい」

「了解です……」


 確かに、魔物なんかと戦っている時に立っていられなくなったら即アウトだ。早めに知っておいて良かったと、慎也はウィルに感謝した。


「これを飲んでおきなさい」


 そう言って、ウィルは赤い液体の入った小瓶を差し出した。


魔力回復薬(マナポーション)だ。魔力を回復させる薬だよ」

「あ、ありがとうございます」


 ふらつく手でどうにか瓶を受け取り、蓋を開けて中身を一気に呷る。味は意外に甘かった。飲み干すと、目眩と疲労感が少し和らいだ。見れば、減っていた魔力値が少しずつ回復している。


(ゲームと違って、一気に回復はしないんだな。まあ、薬ってのは効き始めるのに時間が掛かるもんだが)


 慎也がそんな風に納得していると――


「次はユイ君だ」

「はい!」


 両手で杖を握り締め、覚悟を決めた、なのにどこか嬉しそうな顔の結衣が返事を返した。「いよいよ魔法が使える!」と言いたそうな顔だ。


「精霊樹の杖は持っているだけで魔法が使えると言ったが、シンヤ君の魔法銃ヴェレタと同じく、使い手の魔力を消費して発動する。つまり、魔力を持たない、魔法使いとしての才能が無い者には使用できない。君なら問題無く使えるが、それでも魔法の修練を全く行っていない者が、一足飛びに魔法を使えるようになるというのは、便利に見えて意外に危険だ。気を付けない、といまのシンヤ君の様に魔力欠乏症を起こし、それが切っ掛けで最悪死ぬことにもなりかねない。充分に気を付けなさい」

「……はい」


 ぎゅっと結衣の杖を握る手に力がこもった。魔法が使えると浮かれてばかりいたが、それはつまり、運転技術を持たない者が車を運転するに等しい行為なのだと、ウィルの言葉から悟ったのだ。


「精霊樹の杖の杖で使えるようになるのは、火、雷、氷の三系統の初歩魔法。具体的に言えば、《火炎ファイア》、《雷電サンダー》、《冷気フリーズ》の3つだ」

(いきなり3つも使えるようになるのか……)


 凄いと思う反面、具体的にどんな魔法なのか知らないので評価し難い。


「それじゃあ、ユフィア。実際に見せてあげなさい」

「はい、お爺様。ユイさん、少し杖をお借りしてよろしいですか?」

「うん」


 結衣から精霊樹の杖を受け取ったユフィアは、杖の先端を、さっき慎也が試し斬りで両断した丸太に向けた。


「《火炎ファイア》!」


 ユフィアが叫ぶと、杖の先端に埋め込まれていた宝玉から手の平ほどの小さな火の球が飛び出し、丸太に触れるや、一瞬にして全体を真っ赤な炎が多い包んだ。


「うおっ!?」

「すごーい!」


 魔法自体は昨日、結衣の怪我をユフィアに癒してもらった時に見ているが、攻撃系、殺傷力を持った魔法を見るのは初めてだった。思わず慎也と結衣の口から驚きの声が漏れたのも無理からぬことだ。


 燃え続ける丸太を前に、ユフィアは再度声を迸らせる。


「《冷気フリーズ》!」


 今度は、さっきの火の球と同じくらいの大きさの、青白い光の球が飛び出し、炎上していた丸太を瞬時に凍結させてしまった。


「《雷電サンダー》!」


 三度みたびユフィアが魔法を放つ。杖の先端から放たれた紫電が、凍り付いた丸太に突き刺さるや、粉々に粉砕した。


「――以上です。どうでしたか?」


 精霊樹の杖を抱えたまま、笑顔で問うてくるユフィアに、結衣は無邪気に「すごーい、かっこいい!」と称賛の声を送っていたが、慎也の方は顔色を青くし、言葉すら無かった。

武器名:イクサ

分類:刀

攻撃力:20

特殊効果:???

解説:非常によく斬れる名刀だが……



武器名:ヴェレタ

分類:魔法銃(ハンドガン・タイプ)。

攻撃力:2、5、10、20。

特殊効果:威力の手動調整。

解説:初心者向けの魔法銃。扱いは簡単だが、消費魔力を調整出来ないので注意が必要。



魔力回復薬(マナポーション)(小)

解説:魔力を20回復させる。ただし効果はゆっくりしか表れない。

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